詩・散文 「まったくあの犬って奴は」
まったくあの犬って奴は
まったくあの犬って奴は、
どうして尾っぽなんぞを振りやがる。
まったくあの犬って奴は、
どうして舌などをベロンと垂らすんだ。
見てみろ、あの、犬って奴を。
尾っぽを千切れんばかりに振り回してついて来る。
追い抜いたと思ったら戻ってきて、
と思ったら、私の胴をクルリとなんて回りやがるんだ。
そうして、
どうして、
犬って奴は、
あんなにも人を信じ切った目をしているのか。
そんな目でお前に見上げられていると、
私は、このまま、 消えてなくなってしまいたい。
2015年頃 岡村正敏
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