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リアルな映像を脳内に作る方法 ジェフリー・ディーバー再読(4)リンカーン・ライムシリーズ


大好きなミステリーを再読して、発見したことを記すことにした。ミステリーの味わいを書く楽しみがふえた。再読したのは、ジェフリー・ディーバー著、池田真紀子訳、ボーン・コレクターだ。
科学捜査、警察、FBIさらに医学についても専門的な記述があるので、ノンフィクションのように感じる。

映画監督はフィリップ・ノイス

この小説を原作にした映画は、フィリップ・ノイスが監督した。オーストラリア出身の映画やテレビドラマの監督、プロデューサーで脚本家。スリラーやアクションの作品がある。デンゼル・ワシントンとアンジェリーナー・ジェリーが主演した映画は、興行として成功した一方で、評価はまちまちとなった。

映画と小説を読んだ時の脳内映像が異なることはよくある。映画と小説は、別のアート作品なので、それでいいと思っている。
映画で意外だったのは、主役リンカーン・ライムを、アフリカ系アメリカ人であるデンゼル・ワシントンが演じたこと。ニューヨーク出身で演技力がある俳優だ。小説を読んだ時に、アフリカ系アメリカ人を想像しなかったのは、米国社会や文化に慣れてないので、文章だけでは想像できなかったためだろう。

リンカーンという名前から、かつてのアメリカ大統領を思い起こす日本人は私だけではないだろう。そういう文化の違いで生まれる想像が、映画の主役をみたときに意外感をうんだのだろう。リンカーンという名前は、5−6年前から米国では人気になっているようだ。

(リンカーンという名前は)最も有名な持ち主の死から150年以上経った2016年に、初めて男子の名前のトップ50にランクインしました。これは特に注目に値します。なぜなら、リンカーンは90年代後半になって、常に流行遅れで、常にトップ1000の最下部近くに浮かんでいたからです。

https://nameberry.com/babyname/lincoln/boy

脳内映像に現実感を足すために

ボーン・コレクターは、脳内映像を堪能するのに適したサスペンスだ。世界中から人が集まるニューヨーク、マンハッタンのイメージがあり、事件現場の番地まで書いてある。異なる文化の国の読者でも、ニューヨークのイメージをもとに想像はたやすいので、多くの国で読まれている。

地理と歴史分野についての好奇心を刺激されて、再読するときにGoogleマップ・ストリートビューを試した。ストリートビューは10年ぐらい前の映像も見ることができる。脳内映像とのギャップがおもしろい。

例えば、被害者が見つかった場所は、マンハッタンにある11番通りと37番街が交差する付近だ。この付近を俯瞰した画像を、このページのタイトル画像にした。
ストリートビューを見てほしい。イメージの記憶があると、小説を読むとき脳内映像を立体的な動画にしやすくなる。これで小説への没入感が増して、読みながら映画を見るような感覚を味えた。読者によって好みがあるので、小説の文だけに集中して読みたいという人には、おすすめしない。


つづく



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