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なぜ僕が気候変動に興味を持ち『熱波』という作品を完成させたのか

非日常的な祭典、気候変動や災害、パンデミックにより世界中が混沌としている今、「自然」に対する考え方が変わったり、搾取されているプロトタイプへの限界を感じ始めてきたりした人は多いのではないでしょうか?僕もその一人です。作品を発表していく中で、一縷の考える葦としてどう発信していけばいいのか、大きな環境問題やシステムの不全に対してどういう風に立ち向かっていけばいいかを常に考えてきました。

僕は声を上げたり作品として発表したりすることで、その発信自体が、誰かの新しい視点になれるのではないかと考え活動してきました。そんな中で今回は自分がなぜこういうことをしているのか、背景も含め、話してきたいと思っています。


背景

僕が気候変動について初めて言及したものというか、視点を持ち始めたのはフェアトレード問題がきっかけでした。確か、高校生の時です。きっかけは些細なもので、コーヒーを買いに行った時に札に書かれてあった、「フェアトレード」という言葉を、これは用語としてどんな意味なんだろうなと調べ始めたことがきっかけです。調べていくうちにそれは倫理的な取引が行われている証拠であることがわかったんです。 当時の僕には「倫理的な取引」というものが全然わからなかったから自分なりに調べてみようということでそれを最終的にアウトプットとしてブログに残したんですね。 僕らが今当たり前に過ごしている物っていうのはやっぱり訳があって倫理面において不全が生じてしまう。実は歴史的にコーヒーはこういったような搾取される関係性を性質的に持っていて、フェアじゃないなく取引が行われていないということに、僕は驚きました。

--珈琲だけが、想像力ゆたかなこの労働機械の活動を再々うながす黒い油であった -- 
そう語るのはオノレ・ド・バルザック。 今や、全世界の一日の消費量は約4億杯 眠いとき、落ち着きたいとき、朝の一杯などなど日頃生活に欠かせない。そう。世界共通で当たり前となった飲み物「コーヒー」だ。 そんなコーヒーの市場やこれからのあり方など深く掘り下げて記事にしました。 やっと書き上げました。 
「僕が大好きなコーヒー。これからのコーヒ業界とフェアトレード問題。」 --珈琲だけが、想像力ゆたかなこの労働機械の活動を再々うながす黒い油であった -- http://okkaaakun.hateblo.jp/entry/2017/02/05/142903 

もうすでにこのブログは閉鎖してしまっています。若い頃の文章なので少し恥ずかしさも感じます。 でも今思えばこうやって社会問題に対して何か解決策と言うか自分なりの考えを提示したような体験はフェアトレード問題が初だったかもしれません。それを当時の高校の先生に、文章を添削してもらったのを覚えています。まぁ、その当時から僕は割と主体的に物事を見ていきたいという節もあって自分から問題を探しに行ったりとかアウトプットしたりするみたいなことすごい好きでした。その原点はこの記事からかもしれませんね。そういうこともあってエシカルな消費や、気候変動問題について次第に僕は興味を示して行くようになります。

(昔僕が解説した記事は既に消えてしまっていて、詳しい内容は以下を引用させていただきます。)

フェアトレードとは...

フェアトレードとは何でしょうか。フェアトレード(Fair Trade)は、直訳すると公正な貿易。”Fair”はスポーツでよく使う言葉「フェアプレー」のフェアです。 かんたんにいうと、フェアトレードとは「発展途上国との貿易において、フェアなトレード(公正な取引)をすることにより、途上国の人々の生活を助ける」しくみのことです。 しかし、「フェアなトレードをすること」というのが具体的にどういうことなのか、イメージしにくいかもしれません。 フェアトレードを理解するためには、「フェアでないトレード(公正ではない貿易)」について知る必要があります。 かんたんに理解するために、貿易をする2つの国を例にとって考えてみます。 A国は農地が多く小麦を生産し、B国は技術が高く自動車の生産が多かったとします。A国は小麦を、B国は自動車を相手の国に輸出することでお互いに利益を得て、A国もB国も輸出によってお金を得て、輸入でほしいものが手に入り、「貿易する前」よりも豊かになります。 このように、そもそも貿易とは、輸出する国と輸入する国の両方に利益をもたらすものです。 しかし実際には、「一方の国は豊かになるが、一方の国は豊かにならない」という貿易が行われているのです。

引用;https://www.cuc.ac.jp/om_miraitimes/column/u0h4tu0000002cxc.html#:~:text=%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89(Fair%20Trade)%E3%81%AF,%E5%8A%A9%E3%81%91%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

大学に入ってからは、その思いを実装させるフェーズに移行していった気がします。(もちろんこの「熱波」という作品もそう。)以前大学で、低炭素行動を可視化し習慣化するアプリケーションの提案を行ったことがあります。もっと身近にアプリケーションやサービスを通して気候変動やエネルギーに対して新たな解決策を提示できるのではないかという考えをサービスに移行させる試みです。内容としてはワンタップで簡単にCO2排出量に着目した環境問題を可視化させ,実際にアクション・保護ができるサービスの開発を行っていくというもの。 アプリケーションを通して現在の気候変動問題に対して新たな見識を提示するとともに、環境問題身近に解決できるという新たな解決策を提示しました。

また作品として問題に対して立ち向かうということもしてきました。昨年発表した「virus」などです。忌野清志郎の「ウイルス」にインスピレーションを受けた作品で、歌詞”How dare you”は活動家・グレタ・トゥーンベリの言葉によるものだ。世界の大人たちに対し感情をむき出し”How dare you”と叫んだ様子がセンセーショナルに世界中に響いていた。



Virusは実はテーマができてから1日で完成し、その日にリリースしました。親友のガッキーに歌詞を添削してもらい修正しsoundcloudで公開。当時、納品からリリースまでの間楽曲の魂が抜けてしまう感覚にどうしても馴染めず出来立てのまましっかりと歌を届けたいというのがあった。今思うと本当に、不思議な楽曲。ミックスも歌も拙いけどその時の閉塞感は純度100%で伝わってくる。20201月リリースから順番に聞いていくとやはりこの曲はすごい形相をしている。今じゃ絶対書けないと思います。



熱波という作品に込められた想い

今回僕は音楽x短編SF小説という軸で「熱波」という作品をリリースします。熱波というキーワードは、気候変動の問題を調査していく上で出てくる異常気象、干ばつなどからきているものもありますが、非日常の祭典のカオスの熱から感じる怒りや悲しみ、全て引っ提げてこの感情を歌にできないだろうかと考えたのがきっかけです。

今のこの瞬間をやり過ごすための作品ではない。それは停滞しているのと一緒だ。この場に及んで常識論を振りかざす口当たりのいい作品を出すつもりは更々ない。今僕にとってできるのは目に見えぬ魂の交換ができる作品を作り続けるだけなのだ。
https://note.com/okkaaa/n/n508e9925d3c5 (過去noteより)

非日常的な祭典、気候変動や災害、パンデミックを通じて、僕らは正しくもないし美しくもない。だけど常に一縷の考える葦として考えを巡らし良い方向に持っていくことはできる。悲しみの美しさという類の作品にするのではなく、その悲しみの美しさの裏に累々と冷酷な現状があるということを自覚して、それと向き合い、言葉にして歌う。それこそが今僕にできる新たな啓蒙の一歩なのだと思うのです。

短編は8/13(金曜)公開予定。
隔週にわたって連載します。9月頭までの連載です。



気候変動、今世界で起きていること

ここでは僕が調査した問題や現状をいくつかシェアします。この調査からまた新たな気づきが生まれることを願います。

まずはこのグラフをみてください。 この数年、Co2の濃度が濃くなるにつれて気温があがっていることがわかるかと思います。

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年間の世界平均表面温度とCO 2濃度の相関図  

大気中のCO 2濃度が増加すると、約半分は100年ほどで植物や上層海に吸収されますが、残りの半分は何千年もかけて大気に留まり温度の放出を妨げます。このような温室効果ガスは気候に重要な影響を及ぼします。その値は上昇し続けている。 国際共同研究団体「グローバル・カーボン・プロジェクト(Global Carbon Project )」が12月初旬に報告したところによると、化石燃料による排出量は2019年には推定0.6%上昇して370億トンを記録し、3年連続で増大した。 (Rising carbon dioxide https://www.datawrapper.de/_/NFnS9/) 

また、排出量が増大していく中、いつ排出量のピークに達するのかが問題になりますよね。下の図が示すように、危険な温暖化の臨界点を回避したい場合、ピークに達するのが遅くなるほど、次の年から、より多くの二酸化炭素を削減しなければならなくなります。この10年を浪費したことで1.5℃の気温上昇を食い止めることがどれだけ困難になったか、その感覚を掴むために、UNEPは動的な図を作成しています。下のものは画像ですが、ぜひリンク先に行って、図をクリックし、2010年に頭打ちになっていた場合のグラフの傾斜と2020年にピークに達した場合の傾斜を比較してmitekudasai。

スクリーンショット 2021-08-10 16.32.16

[2](“UNEP: 1.5C climate target ‘slipping out of reach’,https://www.carbonbrief.org/unep-1-5c-climate-target-slipping-out-of-reach)

気候変動は既に危機的状況 

12月初旬に世界気象機関(WMO)が発表したところによると、2019年はおそらく史上2番目か3番目に温暖な年となり、「例外的に気球規模で暑い10年」を締めくくることになるという。過去5年から10年間の平均気温は、まず間違いなく史上最高になる。 また、実際2010年代は、少なくとも客観的に物事を見ようとする人にとって、気候変動による影響が明白になった10年だ。気温が上昇するにつれ、北極海の氷はモデルが予測したよりもはるかに急速に溶けた。世界のサンゴ礁は、広範囲にわたり破滅的な白化現象に見舞われた。世界中の様々な地域が、史上最も損失が大きく、多くの人の命を奪う極端な干ばつやハリケーン、熱波、山火事に見舞われている。おりしもこの8月9日(月)には、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が第6次評価報告書で、地球の平均気温が2030年前後に産業革命前に比べて1.5度上昇すると公表した。主な原因として、初めて人間活動の温暖化への影響を断定しています。


カナダの熱波

 29日(火)、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州のリットン(Lytton)という小さな田舎町で、気温が49.6度まで上昇しました。ほぼ50度になるなどとは、住民はもちろんのこと、多くの気象関係者も予想していなかったことでしょう。そもそもリットンの6月の平均気温は25度ほどです。日本国内に例えるなら、今はまるで仙台のようなさわやかな陽気が広がっているはずの場所なのです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/morisayaka/20210630-00245629 

35億人を襲う熱波、2070年までに居住不可能に

国際研究”,”CNN.co.jp”, https://www.cnn.co.jp/fringe/35153349-2.html 

地球上で最も気温が高いのはアフリカのサハラ地域で、年間平均気温は29度以上。そうした過酷な環境に覆われている地域は地球の陸地の0.8%にとどまる。しかし研究チームの予測では、この極端な暑さは2070年までに地球表面の19%に拡大し、35億人に影響が及ぶ。
ただし希望はある。世界の二酸化炭素排出量を、迅速かつ大幅に削減すれば、過酷な暑さにさらされる人の数を半減させることも可能だと研究チームは指摘している。


2010年代の課題 「失われた10年」

2010年代は地球温暖化にとって「失われた10年」となった。いったん頭打ちになったかに見えた二酸化炭素の排出量は、その後、急激に増加し、パリ協定の目標である気温上昇を1.5℃未満に食い止めるという夢はほぼ確実に砕かれている。実際、2℃の上昇を防ぐためですら、今から必要な変化の速度と規模を実現できるとは想像し難い。急速に拡大している危機の中でもとりわけ、この1.5℃の違いにより、世界のサンゴ礁が死滅し、世界人口の40%が驚異的な熱波に定期的にさらされるようになる可能性があることは肝に銘じておくべきだろう。

  https://www.technologyreview.jp/s/178164/the-2010s-were-another-lost-decade-on-climate-change/ 

とあるアーティストの事例 

これらの問題をアートの側面から解決する表現者も多くいます。 The1975は環境問題に言及した作品や、自身の発信からペットボトル削減・ペーパレスなどを訴えています。


僕たちは、この永遠に続く熱の中で生きていく。

もちろんこういった問題に接していく上で、フェアトレード問題については僕は直接的には消費者としてしかその側面を知らないし、異常な熱波が発生した環境に実際に行ったということはありません。でもこれらの一連の問題を調べを終えた後で、僕はそう言った問題に強い興味を抱くこととになりました。フェアトレード問題に関して言えば、正直に言ってその人たちの生活は楽なものではありません。だけど彼らにとってそれは当たり前の生活になってしまっている。僕はそんな問題を調べ終えた頃には、僕の中で社会のシステムとして負の部分が生まれているこの大きな構造問題を知ることが大切だと思うようになりました。負の構造というのは今でも僕の大きな命題なのです。

そこで自分たちに何が出来るのかとか、一端の消費者として僕らがどう考えるべきなのかみたいなことをずっと考えていきたいんです。そんな中で大きな社会問題にぶち当たった時にニヒリズムに浸り、虚無感に襲われることもありました。ただ問題は個人からしか生まれないし、その内面の中で改革をしていくことはできる。

でも、こういう問題に対して調べたりしていくことで、簡単に言ってしまえばその問題を好きになることができるんです。個人的に。どんどん知りたくなるし自分の問題として内面に蓄えておくことでそこで考えた答えが違う側面でも生きてくる。この好きは一時的な消費ではなく、未来へつながる目となる。皆さんもいろんな問題と向き合ってどんどんその問題を好きになっていってほしいと願っています。

そして熱波という作品を通して、一人でも多くの人に気候変動のこの状況と負の構造と向き合える機会を提供できればいいなと思っています。あなたはこの曲を聴いてどう感じる?ぜひ感想も呟いてください。本日の夜公開です。どうぞよろしくお願いします。

[歌詞]熱波


熱い波に
さらわれる肌
眠らない街で
空を見てるだけ

月が消えていく
今は水平線を  
ほのかに光らせてるだけ
そんな選択はしたくはないの

ただこの世界に
触れていたいだけ
純粋な心で
愛してたいだけ 

適度な愛
うわべだけのマインド  
考える葦だと知るが
薙ぎ倒され近代化の夢の中に散る

手にした真実すらもFake
Greenよりもfuel?
半ば浸るニヒル
異常な気象はマジックでリアル
真実には涙しないや

God tell me... why...
(これからどうなるかはまだ判明はしないまんまだ)
God tell me... why....
(ここに留まることしかできないようだ一晩中)

ただこの世界に
触れていたいだけ
純粋な心で
愛してたいだけ 

熱い波に
さらわれる肌
眠らない街で
空を見てるだけ

未来永劫
この熱は
続いていくだろう
だけども心に愛を
この熱とうまく溶け合おう  





他愛もない独白を読んでくれてありがとうございます。個人的な発信ではありますが、サポートしてくださる皆様に感謝しています。本当にありがとうございます。