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マレーシアで野良犬に追いかけられた話。

3年前、マレーシアとベトナムへ旅行に行った。

日本からマレーシア クアラルンプールに着き、夜行バスでイポーに向かった。

イポーという街、私は友だちに教わるまで知らなかった。マレーシアに住んでいたことのある友だちが「もやしがおいしいよ!日本のもやしとぜんぜん違うの!」と言っており、別にもやし愛好家でも(どちらかといえば好きだけど)ないけど興味を惹かれ、マレーシア旅行のついでに行くことにした。

私のひとり旅は、移動は節約。最安を求めた結果、夜行バスでの移動になった。海外の夜行バスで少し困るのは、たいてい到着が朝早すぎること。そしてバスターミナルが街の中心部から離れていることが多い。私は朝5時半にイポーのバスターミナルに着き、お店の多いエリアまでは歩いて30分程度のようなので歩くことにした。朝ごはんを食べるのに良さそうなお店が、着く頃にはちょうど開くはず。

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9月の終わりだけど、まだ陽がのぼっていないから涼しい。時々地図を確認しながら、方向だけ間違えないようにてきとうに気分よく歩いていた。知らない土地を歩くのが好きな私には、お店の前に描かれた金魚がかわいかったり、道端に馬の像があったり、中国のような雰囲気もあったり、人通りがなく静かな街の散歩はおもしろかった。

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こっちに行ってみよう、と角を曲がった。さっきまでの大通りと違い、細い道。街灯が少ないから薄暗く、家の灯りもまばら。この道はお店がないなあと歩いていたら、建物の下で黒い影が動いた。黒くて大きな犬。一瞬、目が合って、やばい、と思った。すぐに犬は唸り声をあげ、こちらに走ってきた。逃げなきゃ、と思うと同時に、犬が3頭いることに気づいた。1週間分の荷物が入ったバックパックの重さが気にならないくらい、必死で走った。ちらっと振り返ると犬は3頭とも、吠えながら追いかけてくる。襲われたら終わる。噛まれただけでも破傷風で、終わる。リアルバイオハザードか!とか思いながらとにかく走った。静かな街に私の足音と犬の高速爪音、鳴き声が響いていた。2つ角を曲がってしばらく走ったところで、自分の足音しか聞こえなくなった。振り返ると、黒い集団はいなかった。助かった。でもまた別の野良犬がいるかもしれないし、そもそも暗い時間に暗い道を選んだのが間違っていた。大通りに戻り、息を整えながら歩き続けた。

だんだんお店が増え、陽ものぼってきた。チェックしていた点心のお店は口コミの評価がよく、おいしそうだった。大きく、開放的な店構え。朝6時なのにまばらにお客さんが入っていた。チャイナ服のお姉さまが迎えてくれて、やっとホッとした。

おいしい点心の話と、もやしの話は、また今度。


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