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女性向けラノベ表紙デザインの話(傾向とか、求められてることとか)

どーも、沖果南です。つい先週バレンタインデーだった気がするのですが、気づけばなんだか夏! 光陰矢のごとしですね。

さっそくですが、今回はラノベ表紙デザインのお話をしたいと思います。
昨今、個人出版のハードルが低くなり、web中心の小規模レーベルさんも多く目にするようになりました。

ここで一つポイントになってくるのが、表紙デザイン。どんなに内容がよくても、やはり表紙がよくなければ、読者はついてこないのです。

しかし、小説表紙デザイン界隈はまだまだ未成熟。個人勢、小さなレーベルさんのデザインへの力のいれようはまちまちといったところ。現段階では、需要の小ささは否めません。
ただし、デザインについてのノウハウがある程度確立されていけば、小説の表紙デザインの需要はかなり高まってくるのではないかと睨んでいます。

一方、表紙デザインのコミッションを見てると、同人表紙デザインがほとんどです。ラノベの表紙デザインできるデザイナーさんってあんまりいない気がしていて。見つけたとしても、「コンセプトがちょっと違うような…?」と首をひねったり。今回トピックにしている女性向けラノベ小説の表紙デザインなんかも、めったに見つけられません。

装丁のコミッションをしているデザイナーさん、わりと女性向けラノベに詳しくない説…?

ということで、超入門編ですが、女性向けラノベ「っぽい」表紙をつくるために、女性向けラノベデザインの傾向や求められているものについて簡単にまとめておこうと思った次第です。

私自身はただのデザイン好きの作家なので、全方向に物足りない記事となると思います。わからないことがあったら、あとは自分で調べてね☆

二次創作同人誌との違い

最初に、コミッションでよく見る同人誌の表紙デザインとラノベの表紙デザインの違いも軽く触れておきます。
言わずもがなですが、二次創作同人誌の表紙とラノベ系表紙はコンセプトが違います。同人誌のデザインをそのまま流用してほしくないな、と思うのはそのあたりが原因です。

大前提として、読んでもらうためにはなにかしらの「動機(きっかけ)」が必要となります。

二次創作系の同人誌は既存のキャラクターを使った創作物です。内容が不透明でも「知ってるキャラクターがいる作品」なので、動機という観点では一次創作より一歩リードしているんですよね。そのリード分、芸術性にステータスを振ることができるわけです。

ですが、ラノベ(つまり一次創作)は、例えるなら作者一人がだけ活動している零細ジャンルみたいなもの。読んでもらうための「動機」がかなり薄いのです
だからこそ、興味を持ってもらい、「どんな内容か」を認知してもらう必要があるため、ラノベの表紙にはわかりやすさが求められます。「どんなジャンルなの?」「どんな内容なの?」等々がパッと見てわかることが理想的。こうなるとパターンや型がある程度決まってきてしまいます。人によっては「垢抜けてないなぁ」とか「ありふれてるなぁ」みたいに感じられるデザインになるわけです。(ただし、ジャンルにもよります)

女性向けラノベの傾向をつかもう!

それまであった既存のものを再構築・再配置するのがデザインの基本

優れたデザインを創るには、当然ですが商業誌を研究するのが筋というもの! 本屋さんに並んでいる本は、手に取ってもらうためのノウハウの結晶です。

ということで、私感ですが、ラノベの各ジャンル表紙デザインの傾向をまとめてみました。ただし、私の好みが入りまくりなので、その辺はご容赦ください!

今回、女性向けラノベとざっくり書いていますが、ジャンルとしてはざっくりTL小説、BL小説、全年齢の女性向けファンタジー小説となります。

男性向けはどなたか頼むぞ…

BL小説

まずトップバッターはBLジャンルです。

BL小説を読む層は、同人誌もたしなんでいらっしゃる方が多いせいか、とにかくデザイン性重視で、デザインの傾向もクール系からポップ系まで、バラエティに富んでいます。(BL漫画ほどではないですが……)

タイトルロゴは絵にマッチするようにつくられており、可読性の低いタイプのロゴもよく見かけます。筆記体などのタイトルがわかりにくいロゴは、別途わかりやすい字で小さく記載されていたり…。初めてタイトルが二カ所に書いてある……って気づいたときには興奮しました。もはやタイトルロゴは絵の一部!

帯に関しては、昔はけっこうゴチャゴチャしていた気がするのですが、最近はすっきりして、キャッチフレーズとカプ表記のみになってきた気がします。やはりデザインの観点でしょうか。

私の好みの表紙はこちら。センスほとばしっていて最高ですね…!

TL小説

次にTL小説こと、ティーンズラブ小説のデザインです。

BL小説とかなり対極の位置づけで、デザインに関してはおおよそ保守的かつクラシカルです。ほとんどがフェミニンめなデザイン。BLと比べるとまだまだ頭数的にも出そろっていないので、今後は傾向が変わってくるかもしれません。

タイトルの可読性はかなり高め。黒で縁取りしたり、文字の下に白ぼかしをいれたりして、パッとタイトルが読めるものが多いです。タイトルもまたセールスポイントの一つですので、可読性は高くなければいけないのです。
また、タイトルが長い作品も多いので、複数フォントをつかったり、大事な文字を大きく表示するなど、強弱をつけてインパクトを出している印象です。

また、TL表紙のタイトル文字には、ぴょろんとしたあしらいがついていることが多いです。

このあしらい、親の顔より見てる

最後に、帯の話。意外なことに、わりと帯の情報量は少ない気がします。ヒーロー or 主人公のセリフが入っていることが多いです。そういうのぐっとくるので私は好きです!

このジャンルで好きな表紙はこちら。

ジュエル文庫さんは、最近ダーク系の攻めたデザインをだしてくれるので大好きです!

一般ラノベ(女性向け)

最後に女性向けファンタジージャンルの表紙です!TL小説と被るのですが、一応別にしておきました。

BL、TLに比べて表紙から得られる情報量が圧倒的。ほとんどの作品が、異世界ファンタジー・疑似西洋ものというジャンルを扱っている性質上、他の書籍と差異をつけるためでしょう。

TL小説と同じく、タイトルの可読性が高いです。表紙のパターンもだいたい決まっています。男女二人+αといったところでしょうか。(男性ものの場合だと、人物一人の場合もあります)作品数の割に表紙パターンのバリエーションが少ないのは、ひとえにキャラクターコンテンツの色が強いからでしょう。
たまに四人とか五人とか表紙に人物が描いてあると「おお、豪華だ!」と思います。
あと、個人的な話なのですが、長いタイトルで背表紙のタイトル部分が二行になっていたりすると、なんか文字がいっぱいで興奮します…!

帯ですが、こちらも情報量も多いです。あらすじ、セリフ、受賞作品であればその旨も書いて……という感じで、てんこ盛り。フォントを変えたり、フキダシのようにしてみたり……と、ここでも飽きずに文字を読ませる工夫が随所に見られます。

このジャンルで好きな表紙はこちら。

番外編

ちなみに、webtoon系(縦読みの漫画)は傾向がまったく違います。そもそも帯の概念がないので、わりとタイトルロゴも自由配置。タイトルロゴが下半分にドーン!と載っているタイプのものも見かけます。表紙デザインとしては珍しいような気もしますが、webtoon系は目立ってナンボの世界なので……!

書籍化した際はロゴを組み直している場合もありますね。(まあ、版元が違う関係でそのままデザインを流用できないという側面もありそうですが……)
そう考えてみると、書籍にした場合とウェブ掲載の場合は、ロゴの組み替えを考えなければいけないかもしれません。

ただ、twitterの宣伝やKindleの表紙などは、帯があると表紙の情報量が増えてお得(?)なので、私はなるだけ帯つきの書籍のような表紙が表示されると嬉しいなぁと思います。見た目ごちゃっとするの点が課題ですので、適宜掲載する場所の情報をうかがいつつ…。

最後に

当たり前ですが、各出版社によって表紙の傾向が違います。ふわっと「こんなもんかぁ~」程度に思っていてください。実際に各レーベルのホームページにいってざっと眺めるだけでもかなり傾向は掴めてくると思います。

それから、表紙デザインで「これ好きだな」と思うものは、たいてい角川ビーンズ文庫さんです。オーソドックスだけど上質!

いつか表紙デザインの統計とりたいな……。どなたかすでに集計をとっている奇特な方がいらっしゃったら、沖までご一報ください。

おしまい


沖果南 (syosetu.com)

成人向けの小説を書いてます。寡作ですが、楽しんでもらえたらうれしいです。
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