142.三題噺「引く、風呂、神」
僕は後輩ちゃんと通話をしながら勉強をしていた。
ちなみに後輩ちゃんはベッドでごろごろしているらしい。
もうすぐ中間テストだけど、後輩ちゃんは大丈夫なのかな。
もしかしたら忘れているのかもしれない。生徒会選挙があったし……。
これは先輩として後輩の面倒を見てあげなければ。
「後輩ちゃん。今から僕の家に来ない?」
「え、えええ! ど、どうして急に……。で、でも、これってチャンス到来かも!」
後輩ちゃんは引くくらい動揺していた。
「お、お風呂入ってから行きますね!」
お風呂? 寝起きだったのかな。
でも、この焦り様は、やっぱり中間テストのこと忘れてたっぽいな。
学年は違うけど、一個下の勉強なら教えてあげられるだろう。
秒で後輩ちゃんは僕の家にやってきた。
「後輩ちゃん、やけにおめかししてない?」
「だ、だって……先輩の部屋で、い、色々されたりしたりすると思うと……」
後輩ちゃんはモジモジと体の前で手をいじいじして視線を泳がせた。
その視線は机の上に固定された。
「せ、先輩は真面目ですね〜。休みの日も勉強してるんですか?」
「いつもじゃないよ? もうすぐ中間テストだから念のため勉強しておきたくて」
「……え? テスト?」
後輩ちゃんはバタバタと鞄を漁って手帳を取り出した。
「ほ、ほんとだ!? えっ、待って!」
「やっぱり中間テストのこと忘れてた?」
「そのまさかですよ! 生徒会選挙のことで頭いっぱいでしたよ!」
「僕が気づけてよかったよ」
「せんぱーい……。どうしよー……」
後輩ちゃんが泣きついてきた。
「私は天才的頭脳の持ち主ですし、普段から予習復習はかかさないので平均点どころか高得点は取れますけど……。でも、不安です」
「勉強見てあげるよ。そのつもりだったし」
「勉強道具も持ってきておいてよかった……。でも、先輩の家で二人っきりなのに。勝負下着だって、覚悟だって準備してきたのに……」
何か呟いてるけど、後輩ちゃんは勉強する姿勢になった。
「すみません。先輩も勉強しなきゃなのに」
「僕のは夜に後回しすればいいから大丈夫」
「やさしい……。先輩は神様ですか? そんなところも好き」
「冗談言ってる暇があったら手を動かして」
「むぅ……。はぁい」
後輩ちゃんは不満そうにしながらも集中し始めた。
「そうだ。先輩、突然女の子を家に誘うなんてよくないですよ。勘違いしちゃいます」
そこそこ長い時間後輩ちゃんの勉強を見ていた僕は、最後に叱られた。どうしてだろう。
作者です。
三題噺を書きました。
題目の選定は以下のサイトを使用させていただきました。
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