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111.三題噺「手相占い、マヨネーズ、ムーブメント」

「あれ? 同クラさん?」

「えっ……? あっ、こんにちは」

 歩いていたら、偶然同クラさんを見つけた。

 思いがけない出会いだったからか動揺している。
 これは、1人でいたい感じかな?

 僕が帰ろうとすると、同クラさんに袖を遠慮がちに掴まれた。

「もう少し一緒にいたいんだけど……ダメ、かな?」

「いいよ。暇だったし」

「勇気出してよかった……」

 ファミレスで話をすることになって、向かい合わせでテーブルにつく。

「試したいことがあったの」

 同クラさんは何か僕にしたいことがあるみたいだ。

 今はポテトにたっぷりマヨネーズをつけて食べていた。

「やっぱりポテトにはマヨネーズだよね」

 るんるんで同クラさんはポテトを頬張り、唇に残ったのを舌で舐めとっている。

「僕はケチャップかオーロラソース派だな」

「それは邪道だよ」

 同クラさんは同意をしてくれなかったことにむすっと膨れた。

「ごめんごめん。そういえば、やりたいことって何?」

 あっ、そうだった。と同クラさんは手を打ってカバンの中から一冊の本を取り出した。

 そのタイトルを見てみる。

「手相占い……?」

「うん。面白そうだと思わない?」

「一度は占ってもらいたかったんだよね」

「じゃあ、やるね?」

 細くしなやかな指が僕の手相をつーっとなぞっていく。

 くすぐったくもありつつ、触れ合ってるのが恥ずかしい。

 しばらくの時間そうしていて、突然パッと手が離された。

「結果……でた?」

 僕は内心変な気分にならなかったことに安堵しつつ、聞いた。

 同クラさんは眉間に皺を寄せて難しい顔をしてる。あんまりよくなかったのかな。

「運命線を中心に見たんだけど、君は流行、つまりムーブメントを生み出す存在になるみたい」

「その占い結果……。ほんとに合ってる?」

「うん。合ってると思う」

「どうしてそう思うの?」

「だって、恋愛運を見たら、モテ線がたくさんあったから」

「え、それ根拠になってなくない? 僕、誰からも好かれてる気はしないんだけど……」

 同クラさんは僕の表情を見て、はぁとため息をつき、呆れ気味に微笑んだ。

「まったくもう。君は……まったく……」

 そう言いながら、同クラさんの人差し指でほっぺたをツンツンされた。

 なんでだろう。



作者です。
三題噺を書きました。
題目の選定は以下のサイトを使用させていただきました。
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