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STUMP


中3の頃だっただろうか。

同級生の友人たちとバンドを組んだ思い出がある。



私たちがバンドを組んだのには理由があった。



同級生の男友達が
転校するという噂が流れたからだ。



盛大に送り出してやりたい。
そんな一心だったのだと思う。
(いや、面白半分が10割)


兎にも角にも
始める理由ができた。


正に青春にはもってこいの案件。









当時はバンド大ブーム期。

とにかくバンド!


父が高校時代からずーっと現役でバンドをしていることもあって、家には近所の7〜8個上の兄ちゃんたちがよくギターを習いに来ていた。

若くてカッコいい兄ちゃん達が家に来るのが嬉しかった。

同級生とはかけ離れた色気に、
花の中学生なんかイチコロだ。

この兄ちゃんが弾いていた、
ジャパハリネットに感化された私は
この青春を
It’s human load と心の中で呼んでいた。


そんなこともあって、
ギターの機材だけはプロ並みに揃っている。

言わずもがなギター担当として、
誰よりも整った環境でスタートした。




メンバーは勿論、
いつも連んでいた友人。



小指の短い面白美人キーボード
何でも笑ってくれるボーカル
ワールドワイドなカスタネット
恐ろしさ満点超破天荒ベース

不動の陽キャラ揃いだった。



選曲はZONEの"シークレットベース君がくれたもの"。


多分、これがしたかった為に
誰かしらの転校を心待ちにしていたような気もする。












本当はチャットモンチーか
エルレガーデンが良かったと

全員がそう思っていたに違いない。









だが、全ては"転校"という感動の展開の為だ。


キーボード以外未経験の友人達とのロックな青春が幕を開けた。

















ベース担当は未経験にも関わらず何故かベースを持っていた。

ステージ1、クリア。

ステージ2、講師探し。

隣町の中学の同級生が吹奏楽部でベースをやっていると聞きつけ、学校終わりに落ち合った。

流石吹奏楽、基本に忠実だったが大変勉強になった。

もういっそ、この子でいい気がする。
誰もがそう感じたと思う。

ステージ2クリア。














ステージ3、 ハモリ。

ボーカル担当の家に集まり
皆んなでハモリの練習をした。

ボイスで録音した自分達の無様な声に笑い倒すだけになった。


その子の家のピンシャー犬がライブハウスの客のように跳ねまくっていた。









ステージ4、ドラム

薄々お気づきかとは思うが、
このバンドにはドラムがまだいなかった。

公共施設のソファーに座り、
暇そうな友人を呼んでオーディション兼オファーをした。

それっぽく、
机を叩いてもらうだけだ。

確か記憶が正しければA組のCちゃんに決定したはずだ。

バンドという理由がなくても
こうして友人連れ回りとはダラダラ一緒に過ごしていることが多かったので誰がメンバーかすら実は記憶があまりない。

















ある日の放課後。
運動会の練習をサボり、
教室に集まってグループ名を決めた。

と言っても笑い話に花咲くだけなのだが。

どうぞこうぞ
なんとなく
テキトーに決めた。




黒板にでっかく

STUMP!

と書いて集合写真を撮った。












まだ、ロクに練習もしていない割に達成感で満ち溢れていた。

楽しくて仕方なかった。




ステージ5、練習

いつかの週末。
当時誰も住んでいなかったカスタネット担当の空き家に忍び入り、
泊まり込みで実際に楽器を持ちよって練習をした。








ただ、
















飲んで騒いだ記憶しかない。


















多分、これがしたかっただけだと

そう思っている。
















この練習は楽しすぎて
何回かしたと思う。



















だらだらと

楽しい日々を

笑い倒す月日を

重ねた。

















重ねて
重ねて













重ねて
重ねて

















重ねても
重ねても








































待てど
暮らせど




















そいつは転校しなかった。

















どうやらガセネタだった。

今年度中に転校する奴はいないか
クラス中聞いて回ったが、
中々転校してくれなかった。


































こうして誰一人欠ける事なく卒業を迎え、
私たちのロック期は幕を閉じた。








いつしかバンドブームは去り、
時は大恋愛時代。
加藤ミリヤブームとなっていた頃


1ミリも良さが分からない私は一人
時代を遡り続け、

皆が恋愛に勤しむ最中
THE MODSを聴きながら

このロックという名のlose gameに

一人、謳歌した。
















そしてそのまんま十数年が経った。

この熱はずーっと今でも温め続けている。


またいつか、

あの頃ののように
誰かのために面白半分でバンドを組み、
その誰かのために解散をするくらいの
それくらいの失礼極まりないモチベーションで集まった友人たちと


全力で笑い倒したい。













私のit’s human load 

死ぬまでにもう一度歩みたい。

oki

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