見出し画像

1/26 【ジョブ型雇用】

【要点】

・経団連が、春季労使交渉の企業向け指針として、ジョブ型雇用を促している。ジョブ型雇用は欧米でできた雇用慣習であり、日本型雇用とは大きく異なる特徴をもつ。ジョブ型雇用をこれから取り入れる企業にとっては、組織・人事・雇用などあらゆる方面において変化が求められる。

画像1

(引用:上記の記事から)

・上記の画像にあるように、ジョブ型の特徴として、「職種別採用」「ポストの公募」などがあげられる。「職種別採用」は、新卒一括採用を行い社内研修で人材を育てる日本型雇用とは全く異なる。日本型雇用では、(特に総合職において)多様な部署を行き来するが、職種別採用では特定の職種内でしか業務できず、いわゆる「専門的」な立場になることを目指す。

そのような職種別採用において、社内・社外でポストを公募することは理にかなっている。専門的スキルを持っている人を即戦力として公募により取り入れるのだ。また、自律的なキャリアを築くうえでも、この公募制は有効である。専門性・主体性を高めるうえで、ジョブ型雇用の「ポストの公募」の特徴は重要なものになってくる。

・日本企業もそれをジョブ型雇用を取り入れようと努力している。記事には以下の記述がある。

ジョブ型雇用は本来、社外からも多様な人材を集め、環境変化への対応力を高める制度だ。日立製作所がジョブ型制度の導入を急ぐのも、デジタル化が急速ななかで企業が成長するには人材の流動性の向上が不可欠だからだ。技術革新やグローバル競争の最前線にいる企業ほど、ジョブ型雇用は適している。

しかし、ジョブ型雇用にすることは非常に大きな変化が求められる。この雇用形態を取り入れる目的を明確にしながら、検討が進められる。

【感想】

・以前似たようなnoteを書きましたが、ジョブ型雇用の在り方について今回も考えていこうと思う。

まず、ジョブ型雇用と日本型雇用を比較する。以下の画像は以下の記事から引用したものだが、このように大きな違いが見受けられる。

画像2

よくジョブ型の「成果主義」的側面に目を向け、「高い賃金に見合った成果が出せていない中高年社員の人件費抑制策」ととらえられるが、本質を見誤っている。ジョブ型の本質とは、①適材適所に人材を配置すること②主体性の発揮③雇用の流動化の3点にあるのではないか。

①②に関しては【要点】においても言及した。現在の年功序列・新卒一括採用の在り方では、ポテンシャル採用や賃金の下方硬直性により、適材適所な人材配置ができているとはいいがたい。ジョブ型雇用により、職務とそれに見合った賃金が配分されるなら、現在の人事制度への不満は解消されるかもしれない。

③に関しては、ジョブ型の「ヨコのつながり」から考えられることだ。「ヨコのつながり」とは、欧米で「職種別組合」におけるつながりが強いことからいわれており、企業との「タテのつながり」が強い日本とは全く異なるあり方だ。公募制はこの「ヨコのつながり」が発揮される一例であり、企業の一方的な人事権の強さは見られず、「個人と会社の個別交渉」といった個人主義的側面が強くなる。

ジョブ型雇用ではただ組織・人事の在り方だけでなく、採用の在り方にも変化が求められる。そう考えると、大学教育に関しても検討が必要だ。ただ企業内で雇用の在り方を変えるだけでなく、国全体の多方面も加わった検討が必要ではないだろうか。また、日本型雇用は明治の官僚性から見受けられる伝統的なものだが、それを一気に変えることはできるのだろうか?日本の伝統的構造の問題点とジョブ型の問題点を比較検討し、その導入の在り方を見直すべきだ。

#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?