見出し画像

3/9 【子どもの貧困問題】

【要点】

新型コロナウイルスの感染拡大の影響とその長期化により子どもの貧困問題が深刻化してきた。与野党からひとり親世帯への現金給付といった支援策を政府に要請する声がある。

記事には以下のようなデータが記されている。(以下は新聞記事から引用)

 コロナ前の2018年に中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合「子どもの貧困率」は13.5%だった。とくにひとり親世帯では48.1%で、経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最も高いレベルにあるとされる。
 コロナ禍で環境は一層厳しくなる。国連児童基金(ユニセフ)は日本を含む先進国で少なくとも今後5年間は子どもの貧困がコロナ前を上回る水準が続くと予想する。
 独立行政法人の労働政策研究・研修機構の昨年11月末時点の調査で、ひとり親世帯は年末への暮らし向きで「苦しい」が6割だった。直近1カ月で必要な食料が買えないことが「あった」が35.6%に上った。

画像1

以上の引用の強調部分にも記されているように、子どもの貧困はひとり親世帯において深刻である。この「ひとり親世帯」とは、シングルマザーが多く、コロナ以前から問題になっていた。コロナによる雇止めなどによりこの問題がより顕在化する形となっているのだ。

悪影響は経済面だけにとどまらない。外部との接触機会が減る現在、生活不安なども重なり児童虐待の報告件数も過去20年で最高になった。

この問題の解決策として、記事では2つの論点が出されている。一つは困窮するひとり親世帯への現金再給付、もう一つは縦割り行政の排除だ

現金再給付はひとり親世帯をはじめとした貧困家庭に直接的な支援となる。しかし、どのような基準で現金を給付するのか、平時の生活保障との相違などについては議論の余地がありそうだ。

もう一つの縦割り行政の打破は、主に児童虐待関連の問題について取り上げる際に出てくる論点である。現在、児童虐待関連では児相は厚生労働省、配偶者の家庭内暴力は内閣府、学校は文部科学省など所管が分かれており、一元的な調整が難しい。旧民主党政権が「子ども家庭省」の新設を計画して頓挫したが、省庁横断的な統合調整が必要とされる。

【感想】

子どもの貧困は、上記の通りコロナ以前から問題になっていた。コロナが子どもの貧困に関する諸問題がを顕在化させる契機となったが、それらの諸問題とはいったいどのようなものがあるかを明確にしてから、個々に対応する必要がある。

(私がそんなに詳しいわけではないですが)「子どもの貧困」問題を簡潔に観点別に分けると①(親の)経済的困窮②(子の)教育機会の減少③(親子の)社会的立場の脆弱性という3点に分けられると思う。そしてこの3つの観点の中でも多様な問題があると思われる。

①に関しては(1)ひとり親の非正規雇用の多さ(2)子育てにお金がかかりすぎること(3)(ひとり親世帯における)養育費の不払いなどの問題がある。
②に関しては、①の経済的困窮と関連するところが多いが、(1)保育所・幼稚園などの受け入れ体制の欠如(2)教育のモノ・サービスの欠如があげられる。
③に関しては、(1)伝統的家族観をもとにした制度設計の限界(2)相談体制・社会的受け入れ体制の問題(3)「ひとり親世帯」に対する冷たい視線(4)「相談しにくい」社会文化の醸成などなどたくさんの問題がある。

素人である私でもこれほどの論点を挙げることができるほど、この問題には多様な方面からのアプローチが必要になってくる。そのほかにも多くの問題を抱える行政だけではこの問題を解決することは難しい。官民を挙げて取り組むことが必要だ。

実際上の記事にも挙げたように、こども食堂や無料学習塾といった支援活動が水面下で行われている。これらの活動が「新常態」として続いていくことを願っている。


#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?