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夫警察をやめた

「あ、またこれやってない」

我が家は明確な家事の分担はしていないが、夫は在宅勤務の日も多いため、家事も育児も率先してよくやってくれている。

特に洗い物は、私が嫌いな家事なので夫がやってくれることの方が多い。

里帰り先の実家から自宅に戻ってきてからは、育休を取っていないにも関わらず、毎晩息子の寝かしつけをしてくれていた。

そんな一見文句のつけどころがないような夫だが、産後は家事育児でよく揉めた。

私は細かいことが気になる神経質な性格で、夫は反対におおらかで忘れっぽい。

ちなみに自宅には家族や友達、訪問看護など、よく人が来るのだけど、決まってみんな「部屋の中、綺麗にしているね」と言ってくれるほど、片付いている。

妊娠前は夫にそんなに家事をやってもらうこともなかったし、自分で好きなように好きなだけ綺麗にしていた。
しかし、育児をしながら家事を今まで通りに完璧にこなすのは物理的に不可能だ。

夫婦で協力して家事育児をそこそこ目を瞑りながらやっていくしかないが、私と夫では「そこそこ」の家事基準ラインが異なっていたのだ。

新婚時代は、おおらかなところもゆったりとした性格で素敵!と思っていたのだが、産後一変した。

夫の「雑な仕上がり」「忘れっぽさ」がとても気になり、

「食器に洗い残しがあるよ!」
「洗ったバスタブに泡が残ってる!」
「洗濯物の量多過ぎて、このまま洗濯乾燥回したら乾かないよ!」

と夫の挙動ひとつひとつをパトロールし取り締まる「家庭内警察」を始めていた。
私の姿はさながら、昭和のドラマで嫁の粗探しをする姑だ。

ひとつ弁解させてほしいが、私は夫に対して事前に「できないことはできないでいいよ。私がやるから」と伝えている。

しかし夫は、私が快適に過ごせるようにしてあげたいという思いが強過ぎて「俺やるよ!」と言って、いつも前向きに取り組んだ。
悲しいことに、いかんせん夫は忘れっぽい。

「寝室から最後に出てくる時は、窓を開けて換気しておいてね」と伝えると、翌日にはやってくれるのだが、もうその次の日には忘れている。

私がやってほしいことを具体的に伝えた後、やる気のある返事が返ってくるのだが、なんでもすぐ忘れてしまう。
できないならそれでいいのに、一度やると言ったことをやってもらえないのが、かなりストレスだった。

夫は夫で私をイラつかせようなんて毛ほども思ってない。私をラクさせてあげたいと頑張ってくれてるのだ。
私がイライラして夫にチクチク言うたびに、夫は申し訳なさそうに小さくなって「ごめんね」と言うだけだった。

やっているのに文句を言われるのは辛かっただろう。夫はわざとやっているわけではない。それでも頑張ろうとしてくれていたけど、お互い疲れてしまった。なので、もうケチをつけるのをやめることにした。

きっかけは、母と姉が遊びにきた時に「家の中の雰囲気が前より悪い」と言われたことだった。
家の中で快適に過ごすための家事の効率化だったのに、息苦しくなっていては本末転倒だ。

それに、気づいた。私は完璧主義だけど、もちろん完璧ではない。自分だってうっかり忘れていることが多々ある。
そんな私を夫は一度たりとも責めたことはない。
ただ黙って、私のミスをカバーしてくれていたのである。

私は間違っていた。
たかが電気のスイッチひとつ、汚れのひとつ、ササっとやってしまえばいいことだ。

私は家庭内で夫への取り締まりをやめた。

まだそれから2週間ほどしか経っていないが、夫がニコニコしていることが増えた。前以上に私への愛情表現をするようになって楽しそうだ。

もちろん、お互いのうっかりが減ったわけではない。私が夫にイライラすることもあるし、夫が私に我慢していることはあるだろう。

それでも家の空気は良くなったし、お互いリラックスして過ごすことができるようになった。

取り締まりがなくなり、家庭内には平和が訪れたのである。

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