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カバー写真は、友人の「ロクガワトモヒロ」さんの作品です。

ご縁があって仲良くさせてもらっているのですが、ちょうどいま作品展示のイベントを開催しているため楽しませてもらいました。

「生む」というテーマのもと、学生時代に描いた作品なんですって。彼の世界観に引き込まれると同時に、生き生きとした毛並みや表情を描く技術の高さにも感服いたしました。絵描きの友だちがいるって、何となく鼻が高い感じがしますね(笑)


技術の高さはもちろんなんですが、その感性や創造性の豊かさは彼だけが持つ独自の能力(=技能)なのかなと思います。

今日はその「技術」と「技能」の違いについて書いてみます。



1.技術・技能の定義


まずは辞書から言葉の定義を引用します。

ぎ‐じゅつ【技術】
1 物事を取り扱ったり処理したりする際の方法や手段。また、それを行うわざ。「技術を磨く」「高度な表現技術」
2 科学の研究成果を生かして人間生活に役立たせる方法。「先端技術の導入」「産業界における技術革命」

デジタル大辞泉:小学館

ぎ‐のう【技能/▽伎能】
あることを行うための技術的な能力。うでまえ。「—を身につける」「特殊—」

デジタル大辞泉:小学館

どうやら、
技術=方法、手段
技能=能力
という意味が込められているようですね。


2.技術とは


技術とは、方法や手段として客観的に表現できるものです。

筆の使い方や色の混ぜ合わせ方、下絵となるデッサンの描き方など、教科書やマニュアルに沿って修得できる技を指します。

人から切り離された「他の人に伝授できるもの」として確立されている技が技術ということになります。

情報処理の世界に技術者=エンジニアが多いのは、命令や関数、アルゴリズムなどが体系化されているので、技術として伝承しやすいからなのかもしれません。


ただ、伝承できるとはいえ、型だけを身につけても上達するというものではありません。学んだ型を駆使して、試行錯誤して、様々な経験を積む中で、身体に染みつくような「熟練の技」に昇華してこそ、本物の技術になると思います。

その本物の技術を身につける過程で、技術を使いこなすその人独自の能力が開花します。それが「技能」です。



3.技能とは


技能とは、腕前と評されるような能力で、主観的な要素を含んでいます。

例えば、新人とベテランが同じ機械を使って同じ技術を用いて作ったとしても、そこには差が現れます。熟練の技を能力として身につけたベテランにしかできないものがあるわけです。それは人に依る部分が大きいわけですね。

ロクガワトモヒロさんの作品も、彼にしか描けないものであり、いくら真似をしても100%の再現はできないでしょう。つまり彼だけの技能があってこその作品ということになります。

プログラマも熟練の域に達すると、その人にしか作れないような特殊なプログラムを組むこともあります。一目見て、美しさに震えるようなプログラムも実在します。(ただし、あまりに独自性が高いと汎用性が低くなるので推奨しがたいのですが……)

この域になると、単純に言葉だけでは表せない感覚的な要素が含まれてきます。「勘」「感覚」「センス」といったものです。これを人に伝承するのはなかなか難しいんですよね。本人は「結果としてできた」のであって、どこをどうしたら他の人が再現できるかという説明がうまくできない部分があるはずです。それこそが技能なのでしょう。


その技能を身につけるまでのストーリー(人生や生き様)も影響を与えています。技術を高めるような経験があって、真摯に取り組んだ結果、徐々に技術が磨かれていったわけですよね。だから、技能を伝承することは簡単にはできないのでしょう。(職人が弟子入りする理由がここにあるのかも)

そういえば絵画は、作者の名前を冠した展覧会が開かれますよね。初期の作品から最新作まで、技術の変化とともに、作者のストーリー(人生や生き様)も味わうように企画されているのかもしれません。



4.まとめ


ここまで書いて、考えたことをまとめます。

  • 技術 : 方法や手段、こと、外在的、客観的、一定レベル、画一的

  • 技能 : 能力、ひと、内包的、主観的、熟練レベル、個別的


どうやらわたしはこう捉えているようです。

『 技術 × 人 = 技能 』


技能を身につけるためには、技術とともに人を磨くことも欠かせないということです。

いくら技を学んでも、それを使いこなす人の成長がなければ、熟練の技には昇華していきませんからね。


『キャリアコンサルティング技能士』という名称も、高い技術を身につけた熟練の域に達した人に与えられる資格、ということなのでしょうね。そして技術だけでなく、人に依る部分も必要とされているのかもしれません。

いずれ挑戦しますが、それまでに技術と人を磨いていきたいですね。



明日も素敵な一日でありますように。

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