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以前、『三人の石工』(三人のレンガ職人)について書きました。

ドラッガーの「マネジメント」にも取り上げられた物語です。
経営視点で語られたこのお話は、わたしにとって自分のあり方を考えるヒントになりました。

今回は、キャリアの側面から捉えてみます。



1.「暮らしを立てている」第一の男


なんのために働くのかと問われ、「お金のため・生活のため」と答えているように見えます。

仕事はきちんと行い、その働きに見合う対価を得ています。

ただ、自分のキャリアをじっくり考えたり、この仕事を通じてどう成長していきたいかまでな考えが及んでいないようにも思えます。

なんだか比較的若い世代のキャリア形成に見えてきました。

学生たちと話していると、やはり「お金」「休み」「ホワイト企業」といったキーワードが多く出てきます。まだ「働くことの面白み」を知らないため、どうしても目に見える条件に意識が行くのでしょう。

この第一の男も、目の前の仕事に取り組み、その対価を得て生活を整えることに必死なのだと思います。



2.「石切りの最高の仕事をしている」第二の男


知識や技術を極めることで、より質の高い仕事を目指しているように見えます。プロフェッショナルなスキルを身につけ、一流の仕事ができるように取り組んでいる感じです。

第一の男が仕事を通じて成長し、この仕事における技術を高めていきたいという段階でしょうか。自分の身につけたスキルを活かし、より大きな仕事を成し遂げ、評価も高まり、ますます仕事の面白さが実感できているようです。自信を持って働く姿が思い浮かびます。

課長係長クラスのバリバリキャリア、できる人のイメージがありますね。リーダー兼プレーヤーで、後進を育てつつ自らも成果を出していくような働き盛りの世代のキャリアです。


しかし、ドラッガーは「問題は第二の男」といいます。おそらく「このままでは自己満足で終わってしまう」ということではないでしょうか?

質の良い仕事=最高の仕事と捉えているため、自らの仕事の質に意識が偏っています。「顧客とは誰か」の意識が抜けているともいえます。だからマネジメントの視点を身につける必要があると、ドラッガーは訴えているのでしょう。



3.「教会を建てている」第三の男


なんのために働くのか、仕事を通じてなにが実現でき、なにを提供し、なにが貢献でき、どう社会とつながるのか、をわかって働いています。

脚色されたお話しでは「教会を建てているんだ。祈りをささげて心を癒すための場所をつくるために働いていると思うと、楽しくて仕方ないよ」といったセリフが足されています。

誰のために、なんのためにという本来の仕事の目的を明確に意識できているため、高いパフォーマンスが発揮できている状態にも思えます。「顧客とは誰か」がわかっているため、利他の精神が表れた働き方ができています。

マズローの欲求でいうところの「自己実現」の先、「自己超越」の領域で仕事をしているのが、第三の男なのかもしれません。



ここまでのまとめ


キャリアの視点で捉えると、三者三様の働き方に優劣はありません。その違いがあるだけです。

わたしは人生のステージによるキャリアの変化を表していると感じました。

ですが、これだけではない働き方もたくさんありますよね。きっと第四・第五の男も存在する・・・ように感じます。

ということで、明日はこの続きを考えてみようと思います。

お楽しみに!




明日も素敵な一日でありますように。

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