国民にとって減税と給付金はどちらがいいのだろう
コロナによって冷え込んだ経済を復活させるための政策としてよく「給付金」と「減税」の二つが議論される。どの経済学の視点(古典派経済学やケインズ経済学など)かでそれぞれの有効性について議論が出てくるのは仕方のないことだが、どちらの方がいいのだろうか。
給付金というのは政府による財政支出によって行われる政策であり、その財源は税金である。すなわち財政支出とは政府が税金によって賄うという視点のもと行われることが特徴的だ。財政支出は政府が計画的に予算を市場に投じるということで市場に活況を生み出そうとする。例えるなら市場へのドーピングのようなものだ。そして一度、ドーピングをするとドーピングせずとも同じ状況になるまで依存してしまう可能性があるのが特徴ともいえるだろう。
そのため給付金は政策として行った場合、後々にその給付金として市場に投じた分を国民から徴収することで賄われる。一種の貸し出しのようなものでいずれその分は回収されることになる(またはあらかじめ税金として徴収していた分から支出されている)。こう考えると果たして給付金は一時的な幸福でしかない。日本の場合はこれをもって増税をしようとする機運がすぐに高まるためよろしくない。国家は人間のように寿命があるわけではないので、その時の経済状況に応じて考慮すべきだが、日本の財務省はそうは考えていない。このような高圧的な態度は日本経済に深刻な影響を及ぼしている。
さて一方で減税はどうだろうか。これは政府からの歳出そのものを削減することに繋がる。日本の場合は元々税金で賄っている以上の歳出を予算として組むという体質があるため予算を組む側が国民の意思を無視して削減しないなどという愚行に出ないとも言い切れないがそしたら本格的にこの国に民主主義はない。
給付金との決定的な違いは毎年、国家から徴収される金が減っているので結果として所得は減税によって増えるということだ。給付金はまとめてまとまったお金がもらえるので実感がある。しかし、結果として徴収される。減税策はまとまってではないが、細かく徴収されている分が減っているので「もらえる」というよりは「取られない」ということで個人が自由に使える資金が増える。しかも、減税策は長期になればなるほど税率が下がれば下がるほど個人の自由に使えるお金が増えるのでいい。
ただ社会保障が削減されるという批判がされるだろう。ただ私の実感だが、年間30兆円以上のお金を社会保障に投じているというのにメディアがいう社会問題やリベラルのいう「貧困」なども全くと言って解決していない。これは正直政府が予算を投じても問題は解決しないということの表れであると同時に税金は平等に徴収されているというのに私はその社会保障の恩恵にあずかっているとはとても思えない。制度を知らないまたは制度を使ってないからというのも当然あるのだろうが、私は政府による手続きだらけの社会保障を待つよりもコミュニティを形成して助け合うシステムを民間でつくることの方がよっぽどいいと考えている。
あらゆる立場や視点によって良い悪いがあると思うが、私は「給付金」よりも「減税」の方がよっぽど経済対策としても長期的な景気対策としても効果がると確信している。
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