044.雪にさした線香花火

（1Aメロ）
昼から降り始めた牡丹雪ぼたんゆき
日暮れ時には地面を覆おおい
たしか凍いてついた学生寮で
ふと思い出した夏の忘れ物

（1Bメロ）
実家から送ってきてた
スボ手牡丹てぼたんの線香花火
引っ掴つかんで夜の公園へ

（1サビ）
火薬の部分を上に向け
雪にさして火を点けた
蕾つぼみが開いて牡丹になって
松葉にならずに散ちり菊ぎくへ
十秒で消えた冬の花
あんまり美しかったから
十年経ってもまだ覚えてる

（2Aメロ）
あのとき誰かを呼んだ気がして
遠い記憶を辿たどってみたら
橙だいだいの火花に浮かぶ君の顔
ふと思い出した恋の落し物

（2Bメロ）
赤いマフラー巻いてきた
かじかんだ君の冷たい手を
引っ掴んで夜の公園で

（2サビ）
寒いからって不機嫌だった
でも火が点いた瞬間に
たまや・・・って楽しそうに笑ってた
君にあっさりフラれたのは
あの前だっけ？後だったっけ？
思い出す必要もない

（Cメロ）
結局ただの友達だった
今はもう友達ですらない
とっくに結婚したってね
そういえば一度だけ
キスしたような
してないような

（ラスサビ）
今日は久々の雪予報
やっぱり今年も余ってた
スボ手牡丹の線香花火
十年ぶりにやってみようか
雪に咲かせる冬の花
呼び出す相手もいないけど

（エンディング）
また思い出したりするのかな
十年に一度　雪の降った日に
また思い出したりするのかな
十秒で散る火花に照らされて

【self writer notes】
ビジュアルのイメージ（雪景色の中の花火）が先にあって、それを起点に物語化していきました。

回想から始まって、ラスサビで現代に戻る展開です。
線香花火には大きく分けて2種類あり、持ち手が和紙でやわらかい長手牡丹（こちらが一般的）と、持ち手が固いスボ手牡丹があります。
この歌詞では雪にさしたかったのでスボ手を指名しました。

十秒と十年はわかりやすい対比として。

この曲を機に、真冬の線香花火が流行するといいなあ。