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【活字で食べるごはん】旅先の子連れ飯

この1週間、夏休みを取って家族で旅行に出かけていた。行先はシンガポール。ただぶらぶらと旅をする、夢のような時間だった。

書きたいことは色々あるのだが、とりあえず「旅先の子連れ飯」、つまり美味しかったものを書き連ねてnote復帰としたい。もぐもぐと心の中で反芻しながら、もう一度美味しくいただくのだ。結論から言うと、やっぱり子連れにアジア飯、最高だった。

文章の後に写真も添えて、どうぞ心の中でご賞味ください。

*ジンジャーチキン 

到着した日の夕方、ホテルに荷物を置いてパラゴンというデパートへ歩く。うだるような暑さだが、街の喧騒にすら心が躍る。

目指すは、SOUP RESTAURANTのジンジャーチキン。シンガポールと言えばチキンライスが有名だが、私はどうしてもこれが食べたかった。

しっとりと蒸された鶏肉に、きゅうりを添えて、醤油ベースの生姜ソースをかけ、レタスに包んでいただく。うまい。さっぱりとしていながらも、生姜ソースのパンチが効いている。(子ども達には生姜が不評だったが、揚げ出し豆腐のソースでごまかせた。)

付き出しの茹でピーナツや揚げた魚の皮のチップスも愉快だった。未開の地が広がっているのだと、喜びを胸いっぱい吸い込む。

*フロストースト

私は甘じょっぱいものが大好きだ。アメリカンドッグとか、マックグリドルとか、ターキーにクランベリーソースとか。ケンタッキーのチキンには、こっそりとビスケットのシロップを付けて食べる。

フロストーストは、シンガポールで初めて出会った。トーストにフロス(甘くてパサパサの肉でんぷ)がかかっている。これだけですでに甘じょっぱいが、温泉卵に甘目の醤油、おそらく胡椒を入れて混ぜ、そこにトーストを付けて食べるのだ…!思わず唸る。

甘いカヤジャムが挟まったカリカリのカヤトーストもこれに付けて食べるが、当然美味しい。中華圏は、魅惑の甘じょっぱいワールドなのである。

(別日になんの変哲もないパン屋で購入したサンドイッチも、美味しくて言葉を失ってしまった。カリカリベーコンと目玉焼き、細切りにして塩もみした胡瓜が薄いパンに挟んであるだけなのに、妙に甘くて美味しい。異様に美味しくない?これ?と言ったら家族もブンブン首を縦に振ったので、もう1つ買いに走ってしまった。あれは一体、何だったのだろう)

*乾伴麺(ガンバンミエン)

珍しく、夫がもう一杯頼みたい…!と懇願するほど気に入ったもの。鼎泰豊の乾伴麺。原価どうなってんの、というタレだけのビジュアルだが、美味しい。甘い醤油と、ネギ油か何かだろうか、薫り高い油の風味。

子ども達も気に入ってしまい、ガンバンミエンガンバンミエンと盛り上がりながら2杯ぺろりと平らげた。どこの国でも、鼎泰豊は裏切らない。国外で食べる鼎泰豊は、なぜか桁違いに美味しい。米の違いなのか、炒飯もイケていて、私は排骨炒飯が好き。

*フィッシュボールヌードル

恐ろしいことに、2日連続で食べてしまった逸品。これは正直ノーマークだった。

注文すると、2つの椀に分けて出してくれる。1つは和え麺。またこれも憎いほど謎に旨いタレを和えてある。もう1つは、出汁の効いたフィッシュボールスープ。

スープはしみじみと旨く、胃に染み渡るシンプルな味。魚のつみれは、ふわっふわではんぺんに近い食感だった。(台湾の魚丸湯にも似ているが、台湾はブリブリの食感で全くの別物、これはこれで好き)

この日、夫と息子が長すぎる昼寝からなかなか起きず、晩ごはんは不要だと言い張るので娘と散歩がてら買いに出かけたのだけど、ほんとうに美味しくて「ああ~わたしきてよかった!きてよかったわ!!」と娘が目を見開いていた。

持ち帰り用にもう1つ買いに行くとき、お店のおばさんに「娘が美味しすぎると言っているのでもう一杯ください」という注文の仕方をしてしまうほど幸せな1杯だった。

*フレッシュジュース

ジューススタンドに並ぶ鮮やかな南国フルーツも、心がときめくポイントだ。さっぱりとしたライムジュースや、娘が食べたことのない果物のジュースも、旅の高揚感と相まって食卓に乗り込んでくる。

ショッキングなピンク色のドラゴンフルーツのジュースは、娘が飲んでみたい!と言い、実現したもの。英語には苦手意識のある娘だが、「this one please」と「thank you」だけで手に入れることができると気づいたよう。一口飲んで、「へえ、おいしい!」と笑顔になる姿がたまらなかった。

*サテー

鶏・豚・羊の肉を炭火でこんがりと焼き、ピーナッツソースに付けて食べるサテーは、言わずと知れたインドネシア料理。もう絶対の絶対に食べようと決めていたため、メインは別に注文しておきながら、リピートして食べてしまった。

炭火の香ばしい香りが鼻をかすめると、どうしても注文してしまうのだ。サテーで有名な場所まで行ったわけでなはなく、そのへんのデパートのフードコートで食べたのに、どうしてこんなに美味しいの!

サテーバイザベイやラオパサのフードマーケットで、より本格的なサテーを食べていたら、私は一体どうなっていただろう。自分が怖い。

はじめは「なにこれえ」と言っていた息子も、一口食べて、「グー!」と親指を立てにっこりと笑う。もしかしたら、鬼に金棒、子連れ旅にサテーなのかもしれない。

まだ、これを書きながら悶えている。あの美味しいソースが多すぎて余ったことさえ、辛すぎてもったいないお化けが出てきそう。

*ライチティ

シンガポールと言えば、ハイティ(アフタヌーンティ)文化。とっても素敵だとは思っていたけれど、いかんせん貧乏性だし、昼から全力で食べてしまうのでなかなかタイミングが合わなかった。

そんな中、ホテルの近くで比較的リーズナブルな軽めのハイティを発見。そこで食事よりも美味しかったのが、ライチティだった。

ガラスのティカップにライチがお団子のように3つ、串刺しにして乗っている。そこへ冷たいアイスティを注ぐと、ライチの軽やかな甘い香りがふんわりと広がり、すっきりと美味しいライチティに変身する。

無論、我が家は品が無い系の家族なので、ハイティ自体は完全に場違いだった。隣の席のインスタグラマーたちが、写真を撮ってばかりでなかなかお菓子に手を付けない中、ここは富士そばですか?という勢いで子ども達は立ち食いしていく。「焦らないで!」「ゆっくり!」と何度言ったことか。

*鶏肉油麺

料理名が違うかもしれない。ホーカー(フードコートのような場所)からミシュランの1つ星を取ったお店。夫が行ってみたい!と言っていたので、ある日のおやつの後、まあ麺もおやつ…?と行ってみた。

店内は欧米の観光客でごった返していて、15時とは思えない賑やかさ。麺は、ごく細いもので、醤油ベースのタレの上にざっと置いてあるものを和えながらいただく。

肉は柔らかく、同じ醤油ダレで味付けされている。辛い醤も添えてあるし、セルフコーナーにチリソースや青唐辛子がある。ああこれは、本来タイガービールが必要なやつだ。子ども達もぱくぱく食べ、チャーシュー麺バージョンも追加で注文してしまった。随分と激しいおやつだった。

ちなみに、店のテレビではオーナーの小さいおじさんがミシュランに選ばれる姿をドキュメンタリーのように映し出していて、シンデレラストーリーのような高揚感があり、私は麺を食べながら少し泣いた。

*肉骨茶(バクテー)

漢方みたいなもの?と思っていたため、気が進まなかったが連日看板を見ていると、ここまで浸透しているものが不味いはずがない…!と俄然食べたくなってきた。

フードコートの脇にあったお店のおばちゃんに、フードコートへ持ち出せるか聞くと、快諾する代わりに大椀を勧められてしまった。

他にも食べるから小さいほう、と言ったら「いやねえこれくらい食べられるわよ、こっちがおすすめなの」と押し切られてしまった。どこの国もおばちゃんは手ごわい。食べきれるかなぁ…と思っていたら、はいサービスで小さいお椀にもスープいれとくね!とうっかり倍量に。

肉骨茶とは、柔らかく煮込まれたスペアリブのスープで、漢方に用いる生薬を醤油味で煮込んだマレー料理。

ひとくちすすってみると、胡椒がたっぷりと効いていて、もう!旨いじゃないか。これだけで飲み続けるには味が濃いが、白米があったらいくらでもいける美味しさ。

お肉もほろほろに柔らかく、沖縄料理に近いものを感じる。ファーストフードのような気軽さで、こんなに美味しいスープが飲めるなんて、信じられない。

*ロティプラタ

最後の日、空港でようやくありつけたインド料理、ロティプラタ。ガイドブックで、「薄い生地が層になっている」と読んで絶対に好きなやつだとわかっていた。私は粉もんにも目が無い。

しかし恐ろしいことに、その隣に添えられた小さな入れ物、真っ黄色のカレーが、驚くほど美味しかった。溶けたじゃがいもと、スパイスの後からドッとくる辛さ。ロティプラタに付けて口に入れ、タイガービールをぐびぐび飲むと、もう最高としか言いようがなかった。

そのパンケーキみたいなの食べたぁーいと言う子ども達に、ほんのちょっとだけ分けて、あとは彼らに大きな肉まんを買い与え、ロティプラタは自分のものとした。母親としてあるまじき行為を取るほど、美味しいものは美味しい。



キリが無いので、このあたりでおしまいとしよう。気でも狂ったように書いてしまった。胃もたれしそうだ。軽い気持ちで開いてくださった方、すみません。

これら以外にも、皮の厚い鍋貼(焼き餃子)も、LIHOの黒糖タピオカミルクティーも、自販機で売っている生搾りオレンジジュースにさえも、胸元で十字を切る美味しさだった。口福の神様よ、ありがとう。

シンガポールは多民族国家ゆえ、中華料理(しかも各地域ごとの料理)・インド料理・マレー料理・インドネシア料理…本格的なものがひしめきあっている。1週間では、とうてい食べきることが出来なかった。

ただ1つ言えることは、子連れ旅にアジア飯、最高である。

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