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トイレアレコレ・3 奈落のような

恐怖のトイレ


小学生の頃の記憶で、かなり恐怖感が残っているトイレがある。

それは友達の家のトイレだ。

友達の家は、ちょっと隠れ家チックな場所にあった。

道路から入って、用水と名の付く小さな川沿いの細い砂利道を進んでいくと、やがてその道が右にカーブして、その先に家があった。
まっすぐ進んでいるときは、家が見えない。
そして、見えたと思ったら、隣接する家の無い平屋建てだった。

家の周囲は空いていて、ボール遊びなども余裕でできた。

友達の家は、クリーニング屋さんで、構造も普通の家とは違っていたが、すごく大きいというわけでもなかった。

クリーニング屋さんといっても、そこに直接お客さんが来るのではなく、クリーニングの作業場が自宅に併設されていた感じだった。

その友達の家で遊んだ時、トイレをお借りした。

ぼっとん、だ。

トイレの場所を教えられ、行って見ると、とっかかりも、今までにないパターンだった。
トイレのドアまで、広めの階段が数段あり、平屋建てだったが、トイレは中二階的位置にあった。

で、そのトイレが、すごかった。

なにがって、トイレの便器の下に広がる空間の深さと広さだ。

あまりのことに、心底、ビビった。


トイレアレコレ・1で、絵にもしたが、自宅のトイレは、便器の穴の部分が、そのまま下に掘り下げられていた。(今思えば、汲み取りのマンホールに繋がる横穴があったと思うが、自分で見える部分は基本、円筒形だった)



しかし、そのトイレは、便器の穴から見えるのは2~3mはあろうかという深い底だけで、横の壁が見えない。

しかも、トイレの構造自体は、自宅同様、一段上がって便器、だったが、床が木製で、歩くと響くし、「したもの」をためる大空間の上に板で足場を作って、穴を空けた、みたいな感じの頼りなさ。

不安を倍増させたのが、その下の空間が、どこからか光が入る構造らしく、薄明るいのだ。
だからその高さや広さ、「したもの」の様子も、鮮明ではないものの、見える。

万が一この穴から落ちたら死ぬかも、しかもキタナい・・と恐怖に震えつつ、何とか用を足した。


恐怖のトイレ


随分と昔ゆえ、詳細はあいまいなものの、奈落の底を下にして怯えた感覚は今も確かだ。

とはいえ、数十年前、しかも、小学校3..4年のスケール感である。

大人になった今では、へっちゃらだろうが、過去に戻って今の感覚で、もう一度あのトイレを体験したいとも思うのだ。



トイレ、次の話↓



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