「分断」に向かう世界。 ー 為替レートが示唆する ”パラレルワールド” 。
FXで現在「世界最強通貨」がある。ドルではない。ルーブルである。
”SWIFT" が「戦争兵器」になるなんて...。 ー どちらも本当に心配なのは「銀行」。|損切丸|note で一時対ドルで@150台まで暴落したルーブルだが、驚くべき復活。5/5時点のドル/ルーブルは何と@65台。 ”侵略” 前より高くなっている!。
とここまで書くと、まるで ”大統領” の国内向けプロパガンダのようだが、経済に詳しい人でも「ルーブル高マジック」には騙されそう。自国の行為正当化には十分だ。
だがこの「マジック」、もちろん "タネ" がある ↓
これはドルでも円でもそうだが、母国の銀行が国外からの「自国通貨買い」を拒否すれば他国の企業、投資家は「売る」ことが出来ない。結果、一方的な「通貨高」になる。一昔前の韓国や東南アジア諸国が自国からの「資本流出」、特に「ドル流出」を阻むために取った手法だが、これをGDP世界11位の国が行えばこういうことになる。
本来「通貨高」なら輸入物価は下がり商品は安くなるはず。だが実際は「インフレ」で、さすがに国民も「何かおかしい」と気付き始めている。輸出側から考えればわかるが、「売る」ことが出来ないルーブルで代金を受け取る訳にはいかない。当然ドルやユーロでの支払を求めることになるので、保有外貨の範囲でしか商売は成り立たない。
だが交易がゼロになる訳ではない。既存のエネルギー契約分は日本や欧州から円、ユーロは入ってくるし、それ以外でも中国、インドから人民元やインドルピーは手に入る。前者は今後先細りが確実なので頼りは後者。ただその大部分は戦費に充てられるため、国内の物不足は解消しない。
例えば中国、インドは市場価格の▼10~30%安の「ディスカウント」でエネルギー資源を購入できたらしいが、一方で*この1ヶ月間「買い一方通行」のルーブルに対し人民元、ルピーは▼30~40%も売られ「ディスカウント」はほぼ帳消し。「自国通貨安」による「資本流出」、輸入全体の交易条件悪化を勘案すれば、必ずしも「お得」とはいえない。
「輸出大国・中国」としては、この「人民元安」を利用して輸出ドライブをかけ、景気回復、不良債権処理の一助にしようと考えた節がある。だがこれも空振り気味。米中2陣営に「分断」した ”パラレルワールド” では、既に見た目の「安さ」だけで輸入を増やしたりはしない。「安全保障コスト」が遙かに上回るからだ。”安かろう、悪かろう” である。
ほぼ2年前の投稿 コロナ後の世界 Ⅱ - これから起こりそうなこと。|損切丸|note を引用するが、これが結構当たり始めている(手前味噌。苦笑)。「インフレ」を中心に「分断」に向かう世界が現実となりつつあるが、まさか本当に「戦争」が起きるとは想定できなかった。
この中で筆者は ”グローバルチェーンの再構築と共に各国の金利を引上げたらどうか” と "提案" しているが、これも今まさに起きつつある。オーストラリア、アメリカに次いでイタリア、ギリシャが@3%、イギリス、スペインが@2%、そして ”財務の優等生” ドイツも@1%に。
もう世界は「Democratic(D)」 vs「Communist (C)」に分断した ”パラレルワールド” に移行したと考えるべき。投資や相場も "依って建つ基準" が違うのだから、「D」基準での「C」への投資は危険ですらある。「C」は国の都合で「売り」が中止になったり市場が閉まったり、突然ルールが変わる。「最強通貨ルーブル」というような「D」的捉え方は全く無意味だ。
そんな中異彩を放つ「日本」。外交、安全保障ではアメリカべったりの「D」なのに「金融政策」は「C」的。中国の「安い」製品頼りで未だに「値上げ忌避」から抜けられないのも、依存度が10%程度の「原油」を禁輸できないのも「C」的だ。一体この国はどこへ向かおうとしているのか。
”T.I.J.(This is Japan)”
JGB(日本国債)等が特異な動きをすると、海外の同僚に半ばジョークでこう説明していたが、「不思議の国・日本」と思われているのは間違いない。心配なのは、この歴史上の転換点でそれが裏目に出る事。 ”パラレルワールド” では今までのような "曖昧戦略" は通用しない。いよいよ ”覚悟” を決める時が近付いている。一番分り易いのは「金融政策」。 "総裁の任期" なんていう事務的な理由で大局を見誤ってはならない。
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