やっぱり「インフレ税」しかない ー 「時間的余裕がある」日銀と「利下げ」に走るFRB
「個人的には」とわざわざ冒頭に付けた所に ”本音” も感じるが、日銀総裁との会談後流れたこの発言をきっかけに「円安」が驀進。ドル円は@147円台、日経平均も再度@39,000円に接近した。首相なのだから「個人的」も何も無いと思うが、「早期解散」を宣言してしまっただけに「株安」はまずいのだろう。筆頭野党のトップに就いた元・首相と国会論戦をして下手に議論が噛み合ってしまえば選挙に不利、という計算も働いている
「(利上げには)時間的余裕がある」と言っている植田総裁とは "あ・うんの呼吸" なのだろうが、 続・マーケットは「円キャリートレード」中毒 ー きっかけさえあれば「金利差」に群がる "飢えた狼達" |損切丸 (note.com) は容赦が無い。再び 「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。|損切丸 (note.com) が発布されれば「円キャリートレード」に走る
「ドル建日経平均」で見ると実は@263ドル程度まで▼4ドル程「下落」しており「実質価値」は失われている。だが「XXショック」などと罵ってばかりの日本人のほとんどはそんなことには無関心。「新NISA」を始め名目株価は上がった方がいいと感じている
この点はアメリカも一緒。11月の大統領選が迫っており現政権は人気取りに必死。こちらも「株高」が至上命題であり、FRBが「利下げ」に走るのも無理はない。 ”もしあの御仁が大統領に返り咲いたら...” 。「利下げしろ!」とさんざん小突き回されたパウエル議長の心境は想像に難くない
ただアメリカは日本と違って政治だけでマーケットが動くわけではない。昨日(10/2)も雇用統計の前振りとも言えるADP米国非農業部門雇用者数が予想を上回り米国債の売り材料となった(金利は上昇)
それでも次回11/7のFOMCでは最低限の▼0.25%「利下げ」は行うだろう。ただ市場は既に@3.25%までの政策金利引下げを織込んでしまったいるだけに、どうしても金利上昇材料に反応しやすい。そこはFRBも悩み所だ
こうして「時間的余裕のある」日銀と「利下げを急ぐ」FRBを見てくると「金融正常化」の道のりは険しいと言わざるを得ない。レポファシリティーが機能不全に陥りつつあるFRBは▼2兆ドルも回収してきた「QT」(量的引締)が "壁" に当っており、これ以上「お金」を回収するのが難しくなってきた。 やっと始まる日銀の「QT」(量的引締)|損切丸 (note.com) も3ヶ月でたった▼4,000億円では必要な▼500兆円もの「QT」達成はいつになるやら。事実上FRBも日銀も「正常化」を完全にやり遂げるのは無理
(参照) 押し寄せる「利下げ」の "波" Ⅲ ー どうなる? 世界債務312兆ドルの行方|損切丸 (note.com)
▼4.5京円まで膨張した「借金」を増税や「金融引締」だけで回収する事は不可能であり、通貨価値を落とす=「インフレ」しか方法がない。そんな事は日銀も財務省もFRBもECBも百も承知。つまり生活民に「インフレ税」がのし掛かり続ける事になる。「預金大国」で「円安」に見舞われている日本が最も "重税" だ
名目株価が上がったのはいいが、そうでなくとも尋常ではない社会保険料を ”天引き” されている日本人がこの "重税" に本当に耐えられるのか。政治的にも甚だ疑問。再度ドル円が@150円を超えていけば不満が噴き出すだろう。その時にまた手のひら返しするのか。まだまだドタバタが続きそうだ
"デフレ脱却" ??
「損切丸」も含め首を傾げた人も少なくないはず。今は燃えさかる「インフレ」の真っ只中。*「XXノミクス」支持派に配慮した政治的発言なのだろうが違和感しかない。 続・日本の「インフレ」の正体。ー 「家賃」が決め手の「低インフレ」。|損切丸 (note.com) も最近では頼みの「家賃」もジワジワ上昇し始めており、物価上昇に歯止めが効かなくなりつつある
問題はそれが一国の首相の発言で影響が大きいこと。これでは「デフレ論者」は後を絶たないし「消費税廃止」なんていう無責任な主張が幅をきかせてしまう。筆者だって税金は安いに越したことはないが、その対価で「インフレ税」が増えてしまっては元も子もない。この国もちゃんと "FACT" (事実)に基づいて議論していかないと「円」はマーケットの "オモチャ" にされたまま。「金融正常化」はその第一歩になる
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