見出し画像

日本人にとっての「最適投資」2024 - 優先するのは「円安」それとも「インフレ」?

(参照) 日本人にとっての「最適投資」は...。 ー 2022年に儲かったのは誰?|損切丸 (note.com)
 
日本人にとっての「最適投資」2023。- 円金利上昇で狭まる選択肢。|損切丸 (note.com)
 
続・日本人にとっての「最適投資」2023。- 跳ねるか ”卯(うさぎ)年” 。|損切丸 (note.com)

 「グローバル・ソブリン」(通称「グロソブ」↑ 標題添付グラフ)って覚えているだろうか?

 一時人気を博した「積立型投資信託」の1つで世界中の国債や公社債を買いまくった。当時は ”投信と言ったらまずグロソブ” というぐらい人気があり、ピーク残高は5.8兆円まで積上がった超大型ファンド。ただ値動きで言うと運用を開始した1997年12月(基準価格10,000円)以来翌年8月に@11,686円付けたのを最高値にその後は下落の一途。2012年以降は解約に次ぐ解約で2018年には残高が5,000億円弱にまで減ってしまった

 SNSやメディアでは「儲かった!」の話ばかり。「損」した人は大概口をつぐむ。実際には「グロソブ」で資産を減らした人がほとんどで、その後の「投信不信」に繋がっている。不幸中の幸いはその後2021年から始まった「米国債大暴落」に巻き込まれなかった事。急激な「円安」をもってしても「損」を賄えなかったはずだ

 老婆心ながら言うと、どうもこれが「オルカン」 = eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とだぶる。若年層を中心にマーケットリテラシーが上がっている現状では同じ事の繰り返しにはならないと思いたいが、1つアドバイスすると相場やトレーディングでリスクを取る時は ”二兎を追う者は一兎をも得ず” 「投資」のテーマは絞った方がいい

 「NYダウやナスダックが下げても円安になるから大丈夫」

 こういう考え方は危ない。「グロソブ」でも「円より海外の金利の方が高いから大丈夫」というような一種の "甘え" があったはずで結果は見ての通り。裏を返せば ”せっかく米株価が上がったのに円高で台無し” 或いは ”円安は当ったがインフレのぶり返しで米株価が急落” という展開も考えられる

 「新NISA」がスタートした事で、市場推計では1日2,000億円もの新規資金が市場になだれ込んでおり、そのうち半分は「オルカン」、米株ファンドなどの外株投資だという。これだけニューマネーが入ればそりゃー日経平均が一気に@36,000円をつけるわけだ

 「円安」もさもありなん、だがそれでもドル円が@145円台で留まっているのはそれだけ「ドル売り」も出ているという事。こんな "化け物" みたいな「お金」の流入はずっとは続かない数ヶ月でペースは衰えてくるから、そこからが本当の勝負

 単純に「円安」に賭けるなら、筆者は2年以内の米国債かMMFで@4%以上の「金利」を取りに行く。まあ個人的には*@130円程度まで「円高」修正が進むと見ているので、@145円台で入るのは何となく躊躇われる

 *気掛かりなのがずるずると金利が下がっているJGB「ゼロ金利廃止」が1月から4月に延びれば、順イールド(長期金利>短期金利)のJGBではその3か月分キャリーが取れるので買いが入るのは理解出来る。だがそれにしても、である。どうしても過去の "日銀の嫌な思い出" が想起される

 「オルカン」に関しては中国株が入っているのが気掛かり「お金」がいつ没収されるかわからないのは「投資」リスク云々以前の問題だ。同様にいくら金利が高いからと言ってトルコやロシアの国債を買いたいとも思わない

 「インフレ」に的を絞るなら、「円ベース」の日本人にとっての「最適投資」は不動産や日本株がメインになる。世界的に割安で放置されている事もあるし、手数料や売買のしやすさを考えると投信よりも日経ETFあたりが人気が出るのも判る。アメリカに拠点がある「ドルベース」の投資家なら米国株も選択肢に入るだろう

 いつの時代も「投資」やトレーディングには難しさが伴うが、特に2024年は歴史的転換点。何しろ30年以上も続いた日本の「超低金利政策」に終止符を打とうとしているのだから。これは同時に「低金利時代」「過剰流動性相場」の終焉を意味する。マーケットの "生成過程" を「お金」「資金繰り」の観点から20年以上見続けてきた筆者が抱いている危惧でもある

 意図的に「インフレ税」で「借金」取り立てに来ている財務当局には腹が立つし、価値がダダ下がりの「法定通貨」にもウンザリだが、かといってWTI(NY原油先物)や暗号資産のような "止まり木" に大事な「お金」≓「資産」を託すのも気が進まないビットコインなんて買ったらボラティリティー(相場変動)で夜も眠れない(苦笑)

 既存の枠組みで「投資」するならやはりエントリーポイント(入るタイミング)が鍵。今年はいつも以上に大事になる。「為替リスク」なのか「インフレヘッジ」なのか、焦点を絞って臨むことをお勧めする

 最後に:「グロソブ」「仕組債」がいい例だが、他人の懐から「お金」をふんだくってやろうとする魑魅魍魎が跋扈するマーケットでは「負けても構わない」という参加者は必ず喰い物になる。 "やるからには勝つ" これが決定的に日本人に欠けているメンタリティーのように思う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?