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「値上がり」の時代Ⅱ。ー 身近に迫り来る「インフレ」=「お金」の価値の下落。

 「値上がり」の時代。(4/30 ↓ )の続編になるが、今回はより身近な変化に着目してみた。

 ”食用油大手3社 8月からことし3回目の値上げへ”

 6月に続き主要メーカーは食用油を1㎏+50円値上げに踏み切る見込で、3回合計で+100円以上の値上げになる。表向きには中国の景気回復を主な理由にしているが、さて...。

 「Ooープマスク50枚3,278円(1枚@約65円)」

 「Made in India」(某スマホの付属部品)

 「Made in Vietnam」(ある衣料品)

 「すだれ@500円」(某 ”百均” ショップ)

 コロナ後の世界 Ⅱ(2020.4.18. ↓ )で1年以上前に少し ”大袈裟” に書いたことが具現化しつつあり、少しほっとしている(笑)。

 マスクに関しては未だ1枚@10~20円程度の安い「Made in China」も出回っているが、日本の消費者マインドも大きく変わっているのだろう。「安全」を買う層が着実に広まっている。インドや東南アジアへのサプライチェーン移行も進み、「人民元高」も動きを加速させそうだ。

 行く度に@200~500円の商品が増える「100円ショップ」は有名無実化。安い「Made in China」で成り立っていた業種だけに影響が大きい。

 木材大豆に着目していたら、今度は一時景気減速+グリーン政策で価格が落ち込んでいた原油価格( ↑ 標題WTIチャート)もいつの間にか復活。今やレギュラーガソリンも@152円/Lに達し、今後化学製品電気・ガス料金等、幅広い「値上げ」に繋がっていくと推定される。

 それにつけても不思議でならないのが日本の消費者物価指数(CPI)だ。米国を追うように、直近発表された欧州主要国のCPIも軒並み@+1~2%台に急伸する中、主要国でマイナスを ”維持” しているのは日本だけもともと物価がバカ高いスイスの低インフレはしょうがないとしても、20年もデフレだった日本の「マイナス物価」は不自然そのもの。当然金利も動かない。

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 筆者は「マイナスCPI」は ①日本国債の低金利と②低賃金を維持するための一種の「国策」と見ているが、いくら我慢強い日本人でももう限界「お金」がないならまだしも、企業は400兆円以上もの「剰余金」を溜め込んでおり、なぜ今のような「いびつな構造」を維持するのか、理解に苦しむ。

 長期デフレの間、日本企業は「人件費抑制」「ステルス値上げ」等で耐えてきたためCPIに反映されにくかったが、ここまで身近に「値上げラッシュ」が起きると「マイナス物価」はさすがに無理がある。よく一時的な現象と捉えられがちな「エネルギー・食品」を除いたものを「コアCPI」と言ったりするが、需給が崩れている今、これらを除去するのは適当ではない

 「GOTO」による ”政府補助金” を無理矢理「値下げ」に振り替えたり、スマホ料金の値下げを指数に取り込んだり、やはり「無理は通っても無理」。消費者の「生活コスト」を勘案すれば、ここ数年、かなり「インフレ」=「お金」の価値の下落が進んでいたはずだ。

 政府や経済団体は「最低賃金引上げ」などの ”掛け声” や精神論ではなく、きちんとCPI等「発表指標の正常化」に努めるべき。財務省が猛烈に反対しそうだが、結果として「金利」が上昇するのは極めて自然な反応であり、「金利」を起点に様々な ”矛盾” が解消されるはずだ。そういう意味では人為的に「金利」を押しつぶしてきた日銀の責任も重い

 もっともワクチン接種が進めばアメリカ中国を追って日本でも「消費爆発」が起きるのは確実。加えて既にコロナ前2018~2019年にも兆候が見えていたが、団塊世代▼800万人が抜けた構造的な労働力不足の ”穴” は全く埋まっておらず、強烈な「人手不足」に見舞われるだろう。「黒字倒産」も頻発しそうで、そうなれば「人件費引上げ」は待ったなし。さすがの "日本CPI" も "JGB金利" も上昇せざるを得ない

 1年前のコロナ後の世界 Ⅱのように、本稿も1年後の日本を(部分的にでも)言い当てることができるだろうか。

 " I'm NOT a GOD ! "

 現役時代、相場見通しについてあるオーストラリア人のトレーダーと言い合いになった事がある。筆者(日本人)としては「神の預言」などではなく、できるだけ「状況証拠」を積み重ねた「将来予測」が「相場」の鍵と言いたかったのだが、時々の変化に対応する欧米流の ”Trend is Friend" と噛み合わなかった。最終的には個々の特性に合わせて、というところだろう。

 現在では引退して1生活者に過ぎない「損切丸」としては、ひたすら「インフレ」に備えるのみ。可能ならとかガソリンとか保存しておきたいところだが...(保存コストが高すぎる)。後悔だけはしないようにしたい。

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