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”棚からぼた餅” ?-「利下げ」大歓迎の株式市場

 3/1 フィッチ:ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の長期発行体デフォルト格付けを「BBB-」からジャンク級(投機的格付け)の「BB+」に引き下げ。格付け見通しは「ネガティブ」

 米ISM製造業業況指数の予想を上回る低下(@47.8 < 予想@49.5、前月@49.1)を見ると「インフレ」「ドル高」の影響でアメリカの製造業が苦闘しているのは事実なのだろう。だからこその「逆イールド」なわけだが、昨日の米国債の買い(金利は低下)の主要因はNYCBの経営危機 ↑

 2023年のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻時を想い出して頂きたいが、あの時の反応ソックリRTGS( Real Time Gross Settelements、即時決済)等金融システムが強化された現在、G-SIBs(Global Systemically Important Banks, グローバルなシステム上重要 な銀行)の破綻がなければ緊急「利下げ」など起らない銀行破綻→利下げはいわば古臭い ”パブロフの犬”

 ミシガン大学指数の1年後、5年後のインフレ期待値も+2.5~3%で不変だし、物価連動債のBEI(予想物価率)↓ を見ても最近はジワジワ上昇。NYCBの影響はほとんど見られない

 コントロールが難しいのはむしろ「量」の方。NYCB危機が大きく影響しているのだろうが、FRBが提供しているレポファシリティーの利用額が漸増している ≓ 一部銀行の「資金繰り」が苦しくなっている

 FRBは「利上げ」と共にQT(量的引締)も進めており、今年も昨年に続いて約▼1兆ドル「お金」を引き上げる計画。その過程で中堅銀行危機が相次いでおり*いかに「過剰流動性」にかまけていたか。まさに 世界は「過剰流動性」中毒Ⅲ ー  それでも彷徨い続ける「お金」|損切丸 (note.com)

 *「お金」というものは面白いもので ”余っているのに足りない” という事が起り得る。要は 物価上昇率は+2%へ収束? - 問題の核心は「お金」の偏在|損切丸 (note.com) ドルはFRBの口座に集中しており全体では必ず帳尻が合う。ところが個別に見ると「お金」の偏在が顕著で、足りない所はどんどん足りなくなる「破綻」はいつも「資金繰り」が引金

 株式市場は金利低下という ”棚からぼた餅” でNYダウ、ナスダック、S&Pとも(嫌々?)押し上げられている。まさに ”漁夫の利” 状態。ビットコイン(BTC)やWTI(NY原油先物)もその恩恵を受けている

 最も 続・「本物の危機」の時、金利は上昇する。ー 「逃げ惑うお金」の帰結は?|損切丸 (note.com) の原則から考えれば、金利が下がるうちは大したことはない。冷たいことを言うようだが、SVBが潰れようがNYCBが破綻しようが米全体に危機は訪れない

 これは 日本が「リセッション」入り? - 「相場」が売買するのは「将来」|損切丸 (note.com) の日本にも当てはまる

 先物の推移から見て来週(3/4~)の日経平均は@4万円超えが確実。一方中小企業の倒産は高水準で続く。これは不思議でも何でも無く景気回復初期には良くある事。「デフレ」期と決定的に違うのは「人手不足」で失業者の受け皿が豊富にある点。だからこその植田総裁の「インフレ」発言であろう

 1つ懸念があるとすれば30年も「金利ゼロ」が続いていわば ”寝たきり状態” の邦銀。まともに「資金繰り」をした経験がなく「金利のある世界」で右往左往するかもしれない。ただ ”Crush & Build” のアメリカと違って未だに「護送船団方式」の日本では、日銀、金融庁が手取り足取り面倒を見るだろう。おそらく合併や経営統合が進む

 多少の投機や はっきりした「ドル建日経平均」戦略 - 注目すべきは「FX」フロー|損切丸 (note.com) による「キャリートレード」の膨張はあるにせよ、海外投資家はそういう整理・統合後の「新しい日本」を買っている日経平均の@4万円超えとはそういうこと。上昇のペースが速いため多少の調整はあろうが大きな流れは変わらない

 やはり「デフレ」→「インフレ」の転換が大きい

 「デフレ」の国では物価も株価も「名目価値」が上がらない。それは現在の中国株がよく現しており、株価維持のPKO( Price Keeping Operation)も「空売り禁止」も効果は薄い。その点も**「バブル」崩壊後の日本とよく似ており、隣国の日本に「お金」が流れるのは当然だろう

 **ちなみにもう一つの隣国・韓国の株が不調なのは、やはり中国依存が顕著なことに加え、経済全体に多様性が欠けている事が挙げられる。人口の半分がソウルに集中していることも驚きだが「サムソン」一本足打法では厳しい。今や世界を席巻しつつある(ように見える?)K-POPも売上高は日本が断トツで1位でアメリカの2倍、中国の6倍もある

 ただ金利低下という ”棚からぼた餅” を考えると株価には一時的な波乱があるかもしれない。そして何と言っても最大の関心事は「日銀」***「利上げ」の足音は徐々に大きくなって来た

 **地銀勢などを中心に「投げ売り」が続くJ-REIT@1,700割れ、利回りベースで@4.6%台に乗せてきた。完全に「利上げ」モードJGBと共に日銀・金融庁から厳しい "指導” が入っている可能性が高く、もう「値段」の問題ではなくなっている。まさに  「お金」の価値 - "一度一方向に走り出すと止まらない日本人" |損切丸 (note.com) の典型

 筆者の住居の周りを見ても知らぬ間に不動産価格が上昇J-REITの下落とは相容れないが、おそらく株を売って儲かった向きが現物資産に向かっている「インフレ」が続く以上「お金」を抱えるのはリスクでしか無く、このスパイラルは結構続きそう日経平均が@4万円を超えると ”景色” が変わる可能性もある。予想通り政府も「デフレ脱却宣言」(→ 総選挙?)を検討し出したようだし「日銀」と共に「変化」には気を付けたい

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