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QT(量的引締)が引き起こす「お金」の大移動 Ⅱ 。ー 中国株 → ナスダック → ビットコイン → ? 「レパトリ」(損失穴埋め)で原油、ドル円も売り?

 QT(量的引締)が引き起こす「お金」の大移動。ー 「危ない所」から「安全な所」へ。|損切丸|note の続編として。

 既にウォール街を中心に「リセッション」(景気後退)の大合唱が始まっている。「俺たちは "低金利" "過剰流動性" が好きなんだ!」|損切丸|note ということなのだが、今最大の障壁になっているのが6月に▼475億ドル ≓ ▼6.5兆円の「資金吸収」が始まったばかりの "QT" (Quantitative Tightening)だ。「リセッション」→ 金利低下 → 株価上昇というロジックも一種の自己矛盾だが「金融引締」がどうにも邪魔らしい。

 まずは5年前からの「米中対立」で 逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸|note で売られたのが中国株。中でも「ドルペッグ」で欧米と繋がりが深かったハンセン指数が標的になった。あらかた売り物が終わって出直し感もあるが、かつて程の「お金」は戻ってこないだろう。

 その次に標的になったのが「低金利」の恩恵で膨れていたナスダック指数。そしてテスラなど何かと関連が深いビットコインBTC ↑ 標題添付)が続いた。後者は高値@60,000ドル台の3分の1以下に下げており、ETFやファンドに「お金」を突っ込んでいた向きは死人続出価値がほぼゼロになった "LUNA騒動" などは "QT" の犠牲者と言っていい。

 2022年「一人勝ち」状態だったのが原油相場で、一時資産は倍近くに膨らんだ。その後ブームになったのが「ドル買い」から派生した「円売り」。どちらも今利が乗っている数少ないポジションだが、マーケット全体がこうも ”貧しい” と、「レパトリ」「安全地帯」も怪しくなってくる

 *トレーダー・投資家の "頼みの綱" であるWTIやドル円も下がりそうになると "懸命な買い戻し" が見られるが、それもどこまで持ち堪えるか。これは金利上昇・流動性減少に起因した ”クラッシュ” お決まりのパターンでもあるが、あとは一気に落ちるかずるずる落ちるかの違いのみ。中途半端に値を戻す分、時間をかけた下落の方が実は質が悪い不良債権処理の結果、20年ずるずる下げ続けた日経平均 ↓ が典型例だ。 

 まるで2021年から2022年にかけて下落したBTCを見るよう。@40,000ドル、@30,000ドル、@20,000ドルと節目節目では粘るが、ポイントを抜けると下落が加速する。原油が "頼みの綱" の彼の専制国家などもルーブル同様 "力業" で買い支えている可能性もあるが、このパターンは崩壊した時のダメージが大きい。過去に同じような相場を何度も見てきた。WTIなら@100ドル、ドル円なら@126円が転換点になるだろう。

 そう言う観点から、FRBやECBがまず「インフレ」潰しで+0.50%以上の「大幅利上げ」を続けるのは正しい処置だ。短期決戦の方がコスト安なのを彼らは熟知している。対照的ダラダラと政策を変えない日銀はまた「同じ過ち」を繰り返そうとしている

 とはいえ "QT" +「大幅利上げ」はWTIやドル円の「レパトリ」を促すのは間違いない。一時的な「円安」修正でほっとするのはいいが、逆に「インフレ」の解消は欧米に遅れることになるだろう。**人件費 → サービス価格の上昇が早かった欧米に比べ、人手不足の日本でそれが顕著になるのはこれからいずれ「金融政策」の対処が必要になるはずだ。

 **東京の飲食店数の多さ ↓ に象徴されるように、この国では小規模企業・店舗が多すぎるみんなで支え合って生きていく「和の国」日本の美徳でもあるが、それも程度の問題バブル崩壊以降、長期に渡る極端な低金利政策であまりにも多くの「ゾンビ企業・店舗」を延命させたため、生産性が落ちてイノベーションが起きなくなっている「団塊」中心の政治的背景が色濃いが、70代の大臣、総裁、会長が牛耳る世の中もそろそろ潮時。

 ただこの国も全く希望がないわけでもない。昨年も「流行語対象」にノミネートされた「Z世代」様々な起業、NPO、NGOなど、最近はメディア等の露出も増えているが、彼らの提言は傾聴に値する。何よりしがらみの無いストレートな言い様が清々しい。良く勉強しているし、これから50年、60年この国で生きていく "気概" も感じる。我々 ”終わり行く世代” とは見えている風景がまるで違うのだろう。

 筆者(58歳)はもう席を譲ったが一応80歳まで生きる予定(苦笑)なので、せめて20歳になる娘世代のお荷物にはなるまいと決意はしている。そのためには向こう20年の「資金繰り」を考えなければいけないが、これが結構悩ましい最大の懸案が「インフレ」なのは疑いの余地はないどうやって「お金」の価値を減らさないように「投資」「リスク」を取っていくのか資産の種類とタイミングは真剣に考えざるを得ない

 特に2022年のような「荒れる年」はみんな損を回避しようと死に物狂いで向かってくるので、”巻き込み事故” に合わないよう細心の注意を払いたい「お金」が増えていく過程で誰でも儲かる ”バカチョン相場” と違い、「お金」の減る相場は究極の「ゼロサム」で激しい叩き合いになる。「危ないもの」「不要なもの」を見極めつつ、場合によっては「レパトリ事故」も回避する必要がある。攻め30:守り70ぐらいの心持ちで丁度良い気がする。


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