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2024年は金利低下の年? - 猛烈に突っ走る株式市場と「日銀」の動向

米5年債入札: 最高落札利回り@3.801%<入札前取引(WI)@3.815%
応札倍率 2.5倍
 過去6回入札平均に一致
間接入札者(含.外国中銀・大手機関投資家)比率 70.6%>過去6回入札平均66.4%

 一昨日(12/26)の2年米国債に続き昨日の5年債にも投資家から強い需要が見られ、米国債金利は急低下FRBによる「利下げ」を控え、年金などコアな金利等投資家は一定程度「金利」を確保したいのだろう

 金利水準としては5月から3月に「利下げ」開始時期が早まった事になる

 年末越えの短期の「キャリートレード」狙いでドル円を買っていた向きには "スレッジハンマー" (Sledge Hammer)が振り下ろされ、あえなく叩き落とされてしまった。やはり油断は禁物、「キャリートレード」は万能ではない ー 非情の「ドル円相場」|損切丸 (note.com)

 欧州国債もまあ走る、走る。ドイツ10年国債金利は@2%を割り込み政策金利@4%との「逆イールド」は▼2%超。確かに不景気感は強いが、これはリセッションを織り込んだ水準だ。CPIが@1%台まで落ちないと▼2%もの「利下げ」は難しいが果たして実現可能なのか

 突っ走る国債市場と同等、あるいはもっと突っ込んでいるのが株式市場。2022年からの恨みを一気に晴らさんばかりの勢いだ。イールドスプレッド(10年国債金利-株式益利回り)もS&Pで一時ゼロに接近していたのが▼0.9程度まで "回復"ヒストリカルな標準偏差▼2%からはまだ乖離しているものの極端に割高になったとも言えない。逆に言えば株式市場がいかに「金利」に振り回されたかを物語っている

 毎年この時期になると 「なさそうでありそうな」2022年10大ニュース予想。|損切丸 (note.com) なんて note. を書くのだが、今年は手が止まった。あまりにも不確実性が高すぎる。かろうじて「インフレ」の部分は当っているが、イスラエルで「戦争」が起きるなんて全く虚を突かれた

 筆者が最も怖れるのは「トランプ大統領の再登板」突然中露と握手するかもしれないし、何をやるのか本当に読めない。特にベビーブーマー世代の現役引退で世界で▼1億人ほどの「人手不足インフレ」が潜在する中、FRBに「利下げ」を強要する羽目になればおそらくマーケットは滅茶苦茶になる。正直「トランプ相場」はもう御免(苦笑)

 次に不確実性が高そうなのが日本と日銀の「利上げ」。特に政治の「裏金疑惑」がここまで大きくなる事は完全に想定外で、政治に翻弄されがちな日銀の動向にも不透明感が増している

 「実質金利」≓名目金利-物価上昇率の観点から見ると10年JGB▼2.69%が飛び抜けて低く+1.5%程度の「利上げ」はあって然るべし。だが政権交代に繋がるような "動乱" に発展すればもうどうなるか判らない。日銀が最も心配しているのはその点で、だから物言いがはっきりしない。

 FX(外国為替)は「ドル売り」を2024年のテーマにしたそうだが、日欧の情勢次第ではどう転ぶか予測が難しい。特に「トランプ大統領再登板」の場合、間違った「利下げ」で「インフレ」が再加速 → 米国債の急落(金利上昇)を招けば①金利に釣られて「ドル買い」になるのか②1970年代の高金利時代の再現で「ドル売り」=「アメリカ売り」になるのか判断が難しくなる

 「実質金利」でもう一つ気掛かりなのはBRICS(Brazil, Rusia, India, China)の金利高止まり。どこも「お金」、特に「ドル」が足りなくてしんどそう鍵は「中国」巨額の不良債権処理にはいわゆる「公的資金」投入が不可欠だが、これを「人民元」だけで賄おうと輪転機を回せば「ハイパーインフレ」を招く怖れがある。必要な「お金」はそのぐらい巨額だ。

 CPIがマイナスになるなど一見「デフレ」に見える「中国」だが、潜在的「インフレ」≓法定通貨価値の下落リスクは高い。これはルーブルレアルも同じ。発表指標を信用するならロシアのCPIは+7%台に再上昇している(プライドの高い国だけに経済指標でプロパガンダはしないだろう)

 「金利」だけに絞って言えば「2024年は金利低下の年」??

 やはり300兆ドル(≓4.2京円)もの「借金」でばらまかれた「お金」の量は圧倒的日本は「増税」で一部回収しようと努力しているが、欧米は「インフレ税」に傾きつつある「お金」の回収もままならないまま「利下げ」転換するのがその証拠で、生活苦はなかなか改善しそうにない。イスラエル-パレスチナ問題が示唆するようにこういう時に起きがちなのが「戦争」。もうウンザリだが、来年もどこから火の手が上がるのか予想は困難。「黒い白鳥」「灰色のサイ」には引き続き要注意となる


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