見出し画像

加速する米中の「チキンレース」。

 標題チャートはCSI300(1年)だが、かなり下落トレンドがはっきりしてきた。これはハンセン指数(1年)↓ も同様。中国と経済関係の深い日本がこれに引き摺られている可能性 "大" だ(前稿.ああ日経平均...。ご参照)。

画像1

 これはアメリカが仕掛けたというより中国側がIT企業などの規制強化に動き出したことが主因。見方によっては ”自殺行為” とも思える政策だが、なぜ中国政府はこんな手に打って出たのか。

 1つの可能性として取り沙汰されているのが「米民主党と中国の経済的結び付き」。元々オバマ元大統領バイデン大統領「親中派」として知られ、中国企業からの多大な経済的恩恵があると言われている。今規制の対象として挙げられているのがその「民主党銘柄」ということらしい。確かにこれなら「攻撃」の名目は立つ。

 だがこれこそ ”諸刃の剣” だろう。恒大集団(英語名:Evergrande   ↓ )を筆頭に "不良債権爆弾" を抱えている中国にとって、いかに共産主義とはいえ株価下落は避けたい「学習塾叩き」が高い教育費に苦しむ中間層から拍手喝采を浴びているようだが、これこそ ”ポピュリズム” であり理解に苦しむ。それほど追い詰められているのかもしれない。

画像2

 「お盆」という時節柄、第二次世界大戦の特集番組を良く目にするが、当時の日本と今の中国を置き換えると妙に話が一致する。当時はヨーロッパではドイツが、アジアでは日本が勢いに乗って「戦線拡大」する "脅威" だったが、領域を広げすぎたことが最終的に敗戦を招く*蒋介石率いる中国はイギリスやアメリカを巻き込むことに腐心し、長期戦に持ち込むことで戦局を打開していった。「クアッド」を組む今の日本とよく似ている

 * " We Shall Never Surrender ! " (我々は絶対に降伏しない!)。最近見た映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」が興味深かった。地下鉄車内で市民に「ヒトラーにイギリス本土が征服されても良いか」というような問いかけをすると、乗客全員が「NEVER!」(絶対に嫌!)と叫ぶ。これをきっかけにチャーチルがドイツと戦う事を決意する。映画なので若干の誇張もあろうが、残念ながら今の日本にはチャーチルも「NEVER!」と叫ぶ市民もいない。筆者も20年以上「イギリス流」に携わってきたが、残念ながら「社会的成熟度」が違う。この国には世代交代を含めもう少し「時間」が必要なのかもしれない。

 **ドイツが暴走するきっかけとなった1936年の「ベルリン五輪」と来年初の「北京五輪」という奇妙な一致もあり、ヨーロッパで「ナチスの亡霊」が蘇るのはある意味自然な流れ。「人権問題」もある。英独仏が揃って Far East (極東)にまで軍艦を派遣するのは「同じ過ち」を繰り返したくないからだ。 ”開戦前” はこんな雰囲気だったのかもしれないが、当事者は意外と気付きにくいものなのだろう。

 **初めて聖火ランナーが走ったのがこの「ベルリン五輪」そのルートをその後のヨーロッパ侵攻に利用したというのだから恐ろしい話である。

 「戦線拡大」の事例としてアジアではミャンマーアフガニスタン ”事” が起きている。特に後者について ”アメリカの失敗” という論調が目立つが果たしてそうだろうか?

 筆者にはこれは ”罠” に見える。中国に押しつけたのではないか?

 アフガニスタン侵攻が「ソ連崩壊」の引金になったという見方が専らだし、アメリカが20年かけても統治できなかった厄介な国だ。それでも "対イランの橋頭堡" として「お金」も「人」も割いてきたが、自国でシェールガスを採掘できるようになって戦略物資としての「石油」の重要性が低下「脱炭素」に向かう中、中東に介入する必然性が失せたというのが本音だ。

 アフガニスタンには地下資源が眠るそうだから中国にとって多少のメリットもある。だが全体的に "Pay" するかどうかは未知数であり、最悪 "ソ連の二の舞" もある(その辺りは中国側も気付いているようだが)。

 「戦わずして勝つ」

 「孫子の兵法」よろしく中国が南シナ海等で取っている戦略だが、そう上手く事が運ぶとは限らない。軍需産業をバックにしたアングロサクソン国家は戦争をしたくてたまらない。「挑発」は常套手段であり「株価」もその1つ。実際大手ヘッジファンドは次々と中国株売却に動いており ↓ 統一された「意志」を感じる。

画像3

画像5

 現在の様な "特殊" な情勢下、投資や相場を手掛けるには経済指標や業績だけでなく政治情勢の見極めも大事。特に中国からの情報は「プロパガンダ」≓「大本営発表」も多いので "真実" は株価や金利の "プライスアクション" から推し量るしかない

 筆者の目には「お金持ちリーグ」は既にかなりのリスクを減らしているように映る。「有事」の情報が共有されているのではないか...***不安定な米国債市場や最近の中国株の叩き売りを見ているとその思いを強くする。「大借金」は「戦争」で帳消しになってきた歴史もあり、割を食うのはいつの時代も一般庶民である。

 ***昨日(8/17)は米株価の下落にも関わらず、米国債金利は低下せず少し雰囲気が変わった。ショートのトレーダーや金利系の投資家など「米国債を買わなければいない人達」が減ってきているのかもしれない

画像4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?