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「淘汰」「整理」を怖れなくていい。ー Crush & Build(創造と破壊)の功罪。

 "1992年に384校だった私大は、2022年に620校となった。一方、この間に18歳人口は▼4割減少し、同年5月時点の定員割れ私大は半数近くに上る"

 日本の大学を巡り、こういう記事を目にした。私大を運営する564学校法人のうち、78法人(@13.8%)が経営難に陥り、今年3月に学生募集を停止した恵泉女学園大(東京)のような事例も起きつつある。

 同様の事例は枚挙に暇がない。総世帯数を上回る住宅供給(  標題)も多すぎる飲食店舗 ↓ もそう。これらは全て「昭和」の高度成長期を前提とした政策の歪みであり、「失われた30年」の元凶となっていた。

 圧倒的な "数" をバックに60歳以上の「団塊の世代」が仕切ってきた「シルバー民主主義」。つまりこの国は未だ「昭和」の精算が終わっておらず、50歳以下の世代にツケ回しをしてきた。その結果が「平成デフレ」「和の国」もいいが、このままでは共倒れである。

 ”品切れになるのが一番悪い。それなら余った方がいい”

 筆者が学生時代にバイトした食品小売店でまことしやかにこう言われたものだが、これもドンドン需要が伸びた時代の「昭和」主義。いまや「脱炭素」「SDG’s」が声高に叫ばれ、時代は大きく転換。食べ残しを持って帰る容器の提供をする飲食店も増えた。「令和」なら差し詰め:

 ”余るのが一番悪い。それなら品切れの方がいい”

 そういう観点から今のアメリカ、特に大手IT企業やウォール街で起きている大量の「首切り」を眺めると、今の「利下げ」騒ぎに違和感を感じる。そもそも投資銀行業界で "リストラの嵐" は日常茶飯事。じゃあそれで大変なことになるかというと、いつの間にか人員の数は元へ戻っていたりする(いや、増えることさえある)。つまり今の米国債買いはFRBへの "脅し" 

 今の金利水準だと2024年末には政策金利が@2.75%まで低下することになるが、1年半で▼2%もの「利下げ」は非現実的。これはやはりウォール街の巨大な「モラルハザード」(倫理の欠如)が原因だ。

 日本の「XXXミクス」もそうだが、日米とも「金融緩和」さえすれば何とかなるという "幻想" はもう捨てるべき日本では先に証明されたが、もはや世界の中心は「銀行」ではない。莫大なボーナスや高い給料など過去の栄光は捨てがたいのだろうが、170年も続いたクレディスイスがなくなってしまった今、ウォール街もいい加減気付くべき。今の暴力的な米国債買いを見ていると、散々内情を見てきた「損切丸」は辟易とする。

 一方、この「インフレ」転換は日本にとっては大チャンス「お金」がなくて築40年、50年の建物を ”ビフォー・アフター” 的に継ぎ接ぎ増築で凌いできたが、やっと建て替えでペイするようになった。アメリカ流の "Crush & Build" は無理かもしれないが、今の日本には必要な措置でもある。

 「コロナ対策」「ゼロゼロ融資」を返済できなかったり、仕入れコストの増加を価格に転嫁できずに潰れてしまう店舗、企業も出るだろう。だが、いたずらに「淘汰」「整理」を怖れなくていい「人手不足」の今、働き口はかつて無い程多く、 "やり直し" のきっかけぐらいに考えればいい。

 「Z世代の人は本当に優秀。良く勉強している」

 若い医療スタッフのことをこう評するお医者さんがいたが、筆者もこの意見に賛成。娘の大学受験を見てきたが、今の「センター試験」は我々の時代の「共通一次テスト」とは比較にならない程難しい。ただの暗記勉強ではとても太刀打ち出来ず「自分で考える」ことを求められる。私立大学の試験然りで、有名国立大学に受かっても私立で落ちたりすることもしばしば。

 新入社員の約3割が3年以内に辞めてしまうようだが、これも一昔前のように否定的に捉えるのは正しくない。彼らは既に「終身雇用」など考えておらず、職場が合わなければどんどんチャレンジすればいい。 "逃げられた企業" の方こそ、その原因を究明することが必要になる。

 ベビーブーマーの引退で人員に穴が空いているのは世界的「人口動態」現象であり、「安い日本」は恰好のターゲット中国や東南アジアまで人件費が上がり、安くて優秀な若年労働力はどのグローバル企業も欲しい「円安」効果もあり、現にグーグルのデータセンター開設など日本を狙った施策は動き始めている。こと日本に関しては「インフレ」は好機到来である。

 だから 日本人はもっと「お金」に拘っていい。 ー 「清貧思想」の呪縛からの開放。|損切丸|note。おそらく日本のZ世代や若年層の人達は自分達が思うよりその価値は高い。合う、合わないはあるが、外資もそんな怖いところではないですよ(苦笑)。むしろ「昭和」を引き摺ったたままの日本企業の方が恐ろしかったりする。

 さて明日(4/7)は "天下分け目" の米雇用統計。マーケットは弱い数字が出るものと決め付けているようだが、さて...。仮に米国債が更に買い進まれて「利下げ」観測が進んでもあまり慌てないように。筆者には「逆イールド」や株式市場の不調、更にはSVBの破綻などで苦しむ米銀が "ダダ" をこねているようにしか映らない

 「銀行」が世の中の中心で無くなった今、政策の焦点が違う所に移るのは必然。引退したベビーブーマー、e.g., アメリカ▼4,000万人、の穴埋めには相応の時間が必要で、やっと抑え込んだ「インフレ」がぶり返すような拙速な「利下げ」には動かないだろう。おそらく ”駄々っ子” ウォール街の思惑通りに事は進むまい。それは2022年初から展開した「金利@2%運動」「金利@3%運動」の失敗からも明らかで、SVBの破綻というおまけも付いた。国家というものは非情なものである。

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