グローバル投資家の苦悩。ー 2022~2023年の成績表。
パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸 (note.com) で「利上げ」に転じたのが2021年12月。それ以降グローバル投資家は苦悩してきた。
↑ 標題にも添付したが、2021年終値比でプラスのリターンをもたらした資産は主要市場にはほどんどない。一時@120ドル台まで急伸した原油価格は2022年の "救世主" かと思われたが、2023年に入り急落。途中上手く利益確定できれば良かったが、*相場はそんなに上手くいくものではない。結局2年間でほとんど儲けが出なかった。
最も悲惨だったのは米国債の投資家。2021年末には@1.5~1.6%台だった10年債が今では@3.85%。今その米国債を買いたくても@1.5%の国債を持ったままだとまず「損切り」が必要。その "やられ" はざっくり(@1.5% - @3.85%)×残存年数。その「損」は取り戻せない。ターミナルレート(中銀の政策金利の到達点)をせいぜい@2~3%とたかをくくった投資家が "大やられ" したが、最たる例が潰れたシリコンバレー銀行だ。
FRBの金利が@5%にもなれば銀行預金やMMF(マネーマーケットファンド、短期債を中心に投資するファンド)も@4%を超え、アップルも利用者に@4%の金利を払っている。日本人なら「100万円おいておけば1年で4万円も利息がつくのか。いいなあ」となるのだろうが、どっこいアメリカではそうならない。何しろ住宅を始め物価が猛烈に上昇しているので@4%では実質「損」。だから住宅ローンが@6%を超えても買う人が後を絶たない。
実は単体のリターンが高かったのは「日経平均」であり、あのタイミングで日本の商社株を買っていたバフェット氏はまさに "慧眼" という他ない。もっとも「円」が猛烈に売られた分はドルやユーロベースでは管理が難しかったので、バークシャーのようにサムライ債(非居住者による円建て債)を発行して為替リスクを排除するやり方が最適だった。
ここで我々日本の小市民も気を付けなければいけないのは、こういう多くの投資家、特に「お金持ち」がやられる時は誰かに「損」を押付けようとしてくる事。「円安」しかり、トルコ建等の「仕組債」然り、まさに 続・日本人にとっての「最適投資」2023。- 跳ねるか ”卯(うさぎ)年” 。|損切丸 (note.com) を真剣に考える時である。
繰り返しになるようで恐縮だが、やはり2023年の鍵は日銀。苦悩するグローバル投資家も「YCC再引上げ」や「利上げ」のタイミングを虎視眈々と狙っている。ここまで引っ張った「円安」もドテンするタイミングだし、JGB(日本国債)も売りで一気に「損」が取り戻せる。逆に 1年半の猶予。ー 対称的に「利上げ」を続ける「借金大国」アメリカ。|損切丸 (note.com) が続くようなら引き続き「円売り」+「日経平均+不動産買い」になる。
筆者が抱く植田総裁のイメージは「上がったら売ります。下がったら買います」タイプ。マーケットと対話をして先手を打って勝負に出るようなことはせず、いわば ”流れに竿は指さない” 。前稿.荒れ狂う「円」、動かない「ユーロ」「ポンド」。(参照)2023.6.日銀短観|損切丸 (note.com) でも書いたが、「インフレ」に対する世の中の雰囲気、そしてそれに伴う政権の意向を汲んだ政策運営になる。
FRBの「利下げ」転換の時期との兼ね合いもあるが、何れにしろ「利上げ」といってもせいぜい+1~2%程度。無理な借金をしている個人や会社にはある程度ダメージはあろうが、日経平均やドル円のクラッシュには繋がるまい。「利上げ」初期にはドタバタするだろうが、「円高」が起きてもせいぜい@120円程度。TOPIXは銀行株主導で上がる可能性さえある。
とにかくCPIが+3~4%も上昇、食品、電気代など生活費も+10%以上も上がっていく中で「マイナス金利政策」は異常。+1~2%は「利上げ」というよりも金融政策をゼロに戻す作業に過ぎない。これで潰れるような企業はいわゆる ”ゾンビ企業” であり、生産性を上げて「お給料」を上げていくにはむしろ "淘汰" が望ましい。不要に怖れる必要は無い。これでようやく「昭和」が終わることになる。
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