「お金」も「モノ」も減っていく世界で私達はどう生き抜いていくのか。
話題のジブリ作品を見てきた。一部酷評もあったようだが、どうしてどうして。数多ある作品のエッセンスを所々に組み込んであり、監督の「さよなら」メッセージとしては十分と個人的には感じた。平日というのにほぼ満員の観客がその事を如実に物語っている。
「損切丸」も30年近く「金利」の側面からマーケットを眺めてきた。そういう意味では今の激動のマーケットも過去の要素をふんだんに組み込んでいる。その最たる要素は「過剰流動性」だろう。
なんとなくモヤモヤしていた中国の不良債権問題の ”FACT” (事実)がやっと表へ出てきた。2008年に破綻したリーマンブラザーズの負債総額が60兆円だったというからその大きさが窺い知れよう。「日本の不良債権は約▼100兆円」と海外筋に指摘された時にも政府が必死に否定していたが、実際はかなり正確だった。中国の発表もまだ控え目な数字かもしれない。
いずれにしろこれで中国景気が上向くわけがない。若年層の失業率が@20%を超えているというのも尋常でなく、ゼロ近辺のCPIは「デフレ」状態といっていい。最近アメリカや日本に対して硬軟織り交ぜてゴチャゴチャ言ってくるのは彼らなりの "SOS” ではないのか。ミサイルでしか会話できない北の国同様、 "面子" が全ての独裁国家とのコミュニケーションは難しい。
投資銀行と不動産会社の違いがあるとはいえ、完全に放置できないのが難しい所。アメリカも日本もヨーロッパも経済的に深く結び付きすぎている。
思い起こせば「リーマンショック」危機を救ったのが中国。それこそ「お金」の蛇口を全開にして世界を救った。安い中国製品を日米欧に大量に送り込み、「グローバリゼーション」「ディス・インフレ」の主役に躍り出た。結果、「金利が死んだ」と言われた世界的「低金利時代」=「過剰流動性」がマーケットを席巻し、中国の存在感が大きくなった。皮肉にもその事が独裁国家の台頭を許し現在の「米中対立」に繋がっている。
欧米にも一定の「教訓」が残った。1970~80年代の「悪性インフレ」に苦しみ「ブラックマンデー」や「メキシコ・アジア通貨危機」、「欧州通貨危機」と続き、「LTCM破綻」そしてトドメが「リーマンショック」。危機感を抱いた金融当局がようやく「バーゼルⅢ」など厳格な金融規制に乗り出し、大手銀行を中心に「資本・流動性規制」を敢行。年間数千億円もの ”保険料” を各行に負担させて危機を未然に防ぐ対策が取られた。
人の往来を完全に止めた「コロナ危機」は「リーマンショック」を上回るクライシスになってもおかしくなかったが、日米欧の財政・金融当局が「お金」の蛇口を全開する事によって凌いだ。これも「教訓」のお陰で、銀行に掛けさせた ”保険”= 「資本・流動性規制」も効いた。
だがその代償として残った「3京円の借金」はあまりにも重い。中には不良債権の元になった中国の、特に地方財政による8,000兆円も含まれる。
これを解消する方法は2つしかない:
「借金」の多い欧米は①、「預金大国」日本は②の方策を主に取った。
欧米国債市場の「逆イールド」は「お金」の "回収" が進んだ事を示唆する「金利」のメッセージであり、FRBの政策金利も@5%に達し終わりが近い。大きな痛みも伴ったがマーケットを味方に付けている分効率的で、結局最終コストは安く済む。今のところ「増税」にまで踏み込んではいない。
そしていつものことだがマーケットを敵視する日本は効率が悪く、ツケは国民を直撃。結果②「インフレ税」「通貨安」のみならず、*①「増税」、そして「利上げ」まで必要になりそうだ。生活が苦しいのは当然だろう。
世界経済は奇妙な "股割き" 状態。ー 日本は "ゴルディロックス" ?|損切丸 (note.com) を考慮すると、ここからは欧米の景気動向だけでなく、中国の「デフレ」がマーケットにのし掛かってくるかもしれない。日本も "ゴルディロックス" などと呑気なことばかりも言っていられまい。
**「金利」が上がれば「借入利息」という形で「お金」を取られる。「インフレ税」なら文字通り「お金」がドンドン出て行く。
「お金」も「モノ」も減っていく世界で私達はどう生き抜いていくのか。そうそうおまけに「人」も足りていない。宮崎監督の最終作品ではないが、崩れたバランスをどうするのか。かなり重い課題を突きつけられている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?