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借金が増え続ける国・日本。ー「国家債務=国民資産」? ”にわかMMT” の危うさ。

 ”普通国債残高は932兆円に上る=一般会計税収の15年分に相当”

 財務省のホームページに行くと「国債関連資料」でこういうグラフがいろいろ出てくる。精緻な資料が作り込んであって感心するが「財政健全化至上主義」をベースに作られている事を忘れてはいけない。要は:

 「日本は借金が増え続けていて大変です!!」

と言いたいのだろう。国民が望んだ借金でもないのに半ば「脅迫」に近い

 そして官僚らしくいかに財務省が頑張っているかをアピール

 「でも財務省は利払いが増えないように頑張っています」 ↓

利払費と金利

 確かに平成10年(1998年)以降、国債の発行額が3倍以上に膨らんでいるのに利払い費は減っている。これは日銀との協力によって為された技で、ゼロ金利政策、マイナス金利政策の賜物である。

 本来利払いは3倍の30兆円でも不思議ではないのだが、この▼20兆円分の利払い減少を「隠れ増税」と見なせば、消費税にして@+8%分にもなる e.g. 消費税@+2%=約5兆円税収増。これでは消費が活気づくわけがない。

 *日本人が貧しくなった一因がこの「得べかりし利息」を国に削り取られたこと日本の ”富裕層” が金融資産1億円程度に定義されているのも実に寂しい ↓ 。アメリカや中国なら桁が2つは違うはずだ。しかも世帯数全体のたった@2.5%程度日本人は「お金」に優しすぎる

富裕層

 一般社会で借金がどんどん増える債務者に金利を減免する金貸しがいるだろうか。むしろ逆。「ウシジマ君」なら「トゴ」(10日で5割)を「ヒサン」(1日3割)に上げてしまうか、その前に「強制回収」だろう(笑)。

 「財務省のウソに騙されてはいけない。国の借金は「国民の財産」なのだから国債が増えても何も問題ない」

  ”にわかMMT” (現代貨幣論、Modern Monetary Thoery)なのか、最近ネット上でこういう言説が飛び交っていてとても不安になる。確かに「国債=国民に対する国の借金」と想定すれば、国民は債権者ということになる。

 だがちょっと待って欲しい。それではこの「借金」一体誰が返すのか?

 国には「お金」が湧いてくる「打ち出の小槌」やドラえもんの4次元ポケットはない。あくまで「税収」が返済原資だ。そして国は債務者であると同時に「徴税権」を持つ「取立て人」でもある。この点を ”にわかMMT” は無視している。「国債増加は問題ない」と言っている人にも当然ツケは回る

 少しMMT側の味方をするなら方法がないわけではない全ての国債発行を止めて、代わりに日銀券をガンガン刷れば良い「財源」は求めない。確かに「デフォルト」はしないかもしれないが、**強烈なインフレに見舞われるだろう。いわゆる「インフレ税」というやつだ。

 **今回菅内閣に経済参与として呼ばれた元ゴールドマンのアトキンソン氏も先日テレビ討論で、1人当たり「10万円」給付金を「1兆円」にしたら100%インフレになると極論を述べていた。「損切丸」でも以前同じ主旨のことを書いたが、1人「1,000万円」=総額で1,000兆円の資金調達に相当、でもインフレになること請け合い。おにぎり1個@1,000円なんてことも。

 筆者は「財政健全化至上主義」を応援するつもりはさらさら無い。むしろ逆で日本の成長を止める ”元凶” にさえなっていると考えている。ただネットSNSで蔓延る ”にわかMMT” には感心しないMMTには ”インフレにならなければ” などと都合の良い条件が付いているが、 ”インフレになるかどうか” がまさに問題なのであって、実務的には何の意味もなさない。「資金繰り」も無視しており、いささか乱暴な ”物言い" である。

 安倍政権下で冷や飯を食わされた財務省だが、ささやかな ”抵抗” として "一般会計税収の15年分に相当" なんて脚注(嫌味?)を入れている。税収全部を国債償還に充てられるはずもなく、実務ベースでは100年経っても返せるかどうかわからない。つまり5年ぐらいの担当期間では官僚として打つ手はなく、事実上の「ギブアップ宣言」「もう知らん」と言う事だろう。

 これは何も日本に限ったことでなく、アメリカもヨーロッパも中国も同様。まさに「呉越同舟」①中国が「ドルベース」の通貨政策を放棄してガンガン輪転機を回して超インフレにする②アメリカが強烈なドル安政策を取る e.g.  ドル円@50円 ③新デジタル通貨を現・法定通貨と兌換率2:1で発行する等等、何か借金棒引きのための「特別な措置」が必要なレベルだ。

 トランプ大統領が「コロナ危機」を「戦争」(=Under War)と表現していたが、もしそれが的確な捉え方だとしたら歴史が繰り返される公算も高い。「戦後」は一体どうなるのか我々も「今は戦時中」という認識を持った方がいいのかもしれない

連邦政府債務残高


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