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「来るべきモノ」が来た。 ー ”寅、千里を爆走中" 。

 今の感染状況ではないが、株式市場の展開が速いFRBが引締め姿勢に転じて以来、株価の調整は「来るべきモノ」ではあったが、まさかたったの1ヶ月でナスダックが▼12%も下落するとは想定していなかった。これもAI時代の特徴なのか。 "感情" を交えず淡々と下がっている

 前稿 「どうせ戻るでしょ」 相場の終焉Ⅱ。 ー 「引け」の雰囲気の悪さ。|損切丸|note で「株本位制」アメリカについて触れたが、アメリカの消費行動は株価に左右されるピークで43兆ドル(@2021.12。約4,800兆円)はあった株の ”含み益” をベースに借金したり家を買ったりするので、影響は時価総額が10分の1の日本の比ではない。▼20%強下げたビットコインも含めると、今回の下落でおそらく▼4~5兆ドルは失っただろう。今後の消費行動にはマイナスの影響がモロに出るはず。


 もっともバイデン政権が「インフレ退治」を標榜するなら、消費、需要をを抑える「株価下落」は不可避な ”必要悪” 。問題は大統領選の中間選挙を控え支持率が低下する中、政府(民主党)・FRBが堪えられるか

 そして「インフレ」を考える上で最も重要なのが「人件費」の高騰。これは世界的には「ベビーブーマー」、日本なら「団塊の世代」の大量退職による構造的「人手不足」であり、「株価の下落 → 消費減退」で解消するような代物ではない。だから世界中の中央銀行が「雇用」「給与水準」に神経を尖らせており、今回のFRBの「方向転換」にも影響している。

 つまり株価の▼20%程度の調整は覚悟していて、その水準に達してから「打ち方止め!」と号令しても「インフレ」が収まらない可能性がある。2022年に中間選挙があるのは判っているのだから、*2021年初から「利上げ」を開始し、今頃は政策金利が2~2.5%に達して株価が底値を打っているのが「理想的再選戦略」。現在のやり方は典型的「泥縄対応」で、戦略性が全く感じられない

 同じ民主党政権でも「利上げ前倒し戦略」で見事再選を成し遂げた大統領もいる。今は奥方の方が全面に出ているクリントン大統領である。時のFRB議長は彼のグリーンスパンであり、忘れもしない(筆者も酷い目に遭った)1994年2月に非農業部門雇用者数がまだマイナスだった時に突如「利上げ」を開始「議長は頭がおかしくなった」と当時マーケットで散々叩かれたが、その後米経済は急回復たった半年で政策金利は3%→@4.5%に引き上げられ、議長の判断が正しかったと証明された。米経済は巡航速度に戻り、見事中間選挙も勝利、再選を果たしている。

 バイデン大統領が高齢でパンデミックが起きるなど時代背景も大きく異なるので、今までの政策と単純に比較はできない。共和党側からは「株価下落」について厳しい攻撃が予想され、今後のFRBの政策への言及が再選への試金石となるだろう。また「泥縄対応」で「利上げ停止」を言い出すようだと「インフレ」が加速し、選挙は厳しくなる。デイトレーダーには材料満載でボラティリティー(変動率)が上がっていいのかもしれないが...。

 さて選挙という意味では我が日本も参議院選挙を控えており、「株価下落」アメリカほどではないにしろ影響があるだろう。自民党内からも株価を上げたと自負する「アベノミクス」一派の反発もあるし、感染症対策もここまでは良かったが、現在の "マンボー" 移行については世論とのズレも生じつつある。どこまで今の高い支持率を維持できるか。

 「実際の物価は+5~10%に感じる」

 そして今、国民最大の不満は給料の上がらない中上がる「物価」だ。+5~10%の「体感物価」に筆者もほぼ同意で、公式CPIの+0.6%(2021年12月、年率)を信じる消費者は皆無だろう。通信費の▼34%を除くと+9%に達するという推計も有り、こちらの方が実態に近い

 国土交通省の「統計不正」がメディアを賑わしているが、「不正」とまでは言えないまでも、CPIも大分 ”鉛筆ナメナメ” の部類春闘など給与水準もこれがベースになるため、実は我々の暮しに甚大な影響が及ぶ。そんな中、公的年金は▼0.4%と2年続けて "不自然に" マイナス改定され、** さすがに "カラクリ" に気付く人も増えてきた

 **日本という国はFACT=事実の上に政府が ”盛る” のが得意。株価については日銀、年金に大量に買わせてモロに ”盛っている” し、物価指標は "都合" に合わせて ”掘っている” (苦笑)。これは江戸時代から続く ”伝統” でもあり「理想の社会主義」と言われる所以。教室では誰も手を上げない ”不文律” があり「和をもって貴しとなす」「物言わぬ国民」を着々と作り上げてきた。どおりで「損切丸」が邦銀で浮いた訳である(笑)。

 相場格言通り、寅は「千里」を爆走中AI宜しく動きがシャープ過ぎるため、戻りも「V字型」になるかもしれないが、今回の「落ちてくるナイフ」恐ろしく切れ味が良いので、掴むのは慎重の上にも慎重を期した方が良い。一旦底を打てば、上がる過程で出動しても十分に間に合う。「辰巳天井」(2024~2025)までは2年以上もある

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