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「利下げ」期待を完全には排除しなかったパウエル議長。続編。ー "金利は株やFXとは違う"。

 「利下げ」期待を完全には排除しなかったパウエル議長。|損切丸|note の続編。

 1月米雇用統計 
 失業率 3.4% 予想 3.6% 前月 3.5%
 非農業部門雇用者数 +51.7万人 予想 +20万人 前月 +26万人 ← +22.3万人
 時間当り賃金(年率) +4.4% 予想 +4.9% 前月 +4.6%

 1月ISM非製造業総合景況指数 55.2 予想 50.5 前月 49.2
 
ref. 1月ISM製造業総合景況指数 47.4 予想 48.7 前月 48.4

 想定を大きく超えた米雇用統計 ↑ で、ウォール街が煽った② ”クラック” シナリオ ↓ は①「利下げ」できない方向に大きく修正を迫られた

 ①「雇用」逼迫が続き「利下げ」できない、もしくは「再利上げ」
 ②米経済が急速にリセッション入りする ”クラック”(崖落ち)シナリオ

 発表前の「利下げ」予報

 ①ターミナルレート(政策金利上限)は@5%に届かない
 ②2023年央から「利下げ」開始。年内に▼0.50%
 ③2025年にかけて▼2%近く「利下げ」。政策金利は@3%まで低下

  発表後の「利下げ」予報は大きく後退

 ①ターミナルレート(政策金利上限)は@5%に到達
 ②2023年央から「利下げ」開始
 ③2026年にかけて▼2%近く「利下げ」。政策金利は@3%まで低下

 どの国でも国債市場を牛耳る銀行「お金」を扱う性質上、どうしても「製造業」に目が向く。自らも「大リストラ」を敢行中でもあり「相当な不況」に見えてしまうのだろう。だから「早期利下げ」が正解になる

 ところが日米欧のいわゆる先進国はサービス業などの「非製造業」が中心の社会に移行しており、銀行の支配が及びにくい。実際ISM指数でも明暗がくっきり出ており、現在の「雇用逼迫」から起きている「賃金インフレ」の主戦場は「非製造業」FRBが注視している所はまさにその1点であり、マーケット、もっといえば銀行界とのギャップはそこに起因している。

  聞こえてきた「資金繰り」の "悲鳴" 。ー もう "お金” や "銀行" が「真ん中」ではない。|損切丸|note でも書いたが、やはり銀行は社会の真ん中に鎮座してはいない

 1つ肝心なポイント:"金利は株やFXとは違う"

 例えば1億円の個人トレーダーと1,000億円のファンドが闘った場合、株やFXなら金額の大きい方が圧倒的に有利*ところが「金利」は違う要になる「政策金利」を中央銀行が決める ”絶対感” があるため、1億円が1,000億円に勝つことがままある。

 特に2年以内の「短期金利」はいかに中央銀行と同じ気持ちになれるかの勝負。10~30年の長期債は株やFXに近い性質もあるが、それでも「短期金利」の影響は強く受ける。筆者同様、長く「金利」に携わっていると頑固になるのはそのため(苦笑)。そうでないとやっていけな世界でもある。

 現在の欧米国債のような強烈な「逆イールド」だと、「利下げ」がほんの少し後ずれするだけで昨日のような売りを浴びる。一昨日(2/2)にECB、BoE(英国中銀)が揃って+0.5%「利上げ」したのに国債が▼0.20%も低下したことに "違和感" があった。

 だが「相当な不況」が当たり前の銀行にとっては「利上げ」などとんでもない → 国債買い(金利低下)が正解となってしまう。ただ「政策金利」を決めるのは民間銀行でなくあくまでも中央銀行2023年「雇用の壁」- 蘇る ”1994年の悪夢” 。|損切丸|note を改めて認識する年になるだろう。

 まあそれでもこれだけ深い「逆イールド」が残っているところを見ると、まだ市中銀行 vs 中央銀行の戦いは続きそう。2023年は "叩き合いによるサバイバル相場" を予想していた「損切丸」としてはある程度想定内だ。

 ここまでの相場推移を見ると「2022年に儲かった相場」 ↓ の "逆" が1つのテーマなのがわかる。

 ①金利:米国債売り
 ②FX:ドル買い、円売り(円安)
 ③株:ナスダック、中国株、韓国株売り
 ④ビットコイン売り
 ⑤商品:WTI買い

 ④ビットコイン⑤WTIは市場規模が違う ↑ ので単純に比較できないが、上がっていたものは売り、下落していたものは買いで進んでいる、いわゆる ”いじわる相場” (2021年終値比参照)。

 ただ①金利:米国債は気を付けた方がいい

 確かに金利系のファンドに「お金」は流入している。これは2022年央に米国債金利が@3%に達した時にも起きた現象で、「お金持ち」が何%かを金利の「固定収入」(fixed income)に振向けた結果。銀行やウォール街がそれを膨らましていると考えるのが妥当だ。HFT(高頻度取引)などの機械取引も動きを増幅する。

 「金利」の場合、最終的には**いかにパウエル議長や黒田総裁と息を合わせられるか、が勝負の分かれ目。次の ”山” は2/14発表の1月米CPIだが、議長の言うように "a lot of work left to do” となりそうな雲行きである。

 **海外勢もまさか 日銀が10年国債を100%以上保有??? ー JGBマーケットを壊し続ける「国債無制限買取オペ」。|損切丸|note の暴挙に出るとは想像していなかったであろう。これは日本の "官僚文化" についての認識不足。特に高級官僚は "出世" のためなら国債市場が壊れようが日本経済が駄目になろうが気にも留めないお隣の ”大国” とも共通する "面子の文化" だ。「損切丸」の英訳でも読んで貰えれば少しは理解出来るのに(英訳は一度トライしたが余り読まれなかったので止めた。苦笑)。

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