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アメリカは ”間違った方向に向かっている” ? ー "引金" を弾くのはWTIか、ビットコインか、はたまたドル円か。

 6/29 シカゴ大学世論調査センター:
 米国は間違った方向に向かっている 成人の85%
 正しい方向に向かっている 14%
 (5月調査)悪い方向に向かっている 78%
 概ね正しい方向に向かっている 21%

 昨日(7/1)のニュースを見て驚いた。85%ものアメリカ人が "国が間違った方向に向かっている" と考えているという  。しかもこれを流したのが民主党寄りとされるCNN。まさかトランプ大統領がいいという訳でもないだろうが、5月から悪化が続いている。おそらく不満の中心にあるのは「悪性インフレ」。現政権の失政と言っていいだろう。

 この辺の "空気" を米国市場は良く現している。慌てふためいたような急速な「利上げ」で調整色を深めている株式市場もそうだが、やはり米国債市場の "大荒れ" が印象的だ。住宅ローン金利の急騰住宅市場に冷や水を浴びせ、株の「逆資産効果」で個人消費減退を招いた。

 大事なのは「先を読む目」。ー もっと大事なのが「一歩踏み出すこと」。|損切丸|note で米国10年債金利が一旦@2.80%(あるいはそれ以下)へ低下する可能性に言及したばかりだが、タイミング良く(苦笑)一気に@2.8%台に突入明らかに局面が変わった

 ここまで金利が低下しないと株式市場も住宅市場も回復できない程ダメージが深刻化しつつある証でもあるが、「インフレ」がそれを許すだろうか

 QT(量的引締)が引き起こす「お金」の大移動 Ⅱ 。ー 中国株 → ナスダック → ビットコイン → ? 「レパトリ」(損失穴埋め)で原油、ドル円も売り?|損切丸|note でも指摘したが、WTIが一時@104ドル台、ドル円が@134円台に落ちたりと「レパトリ」(他市場での損失を穴埋めする動き)も見られたが、米国債の急騰(金利急低下)を受けてそれぞれ@108ドル台、@135円台に戻している

 こういう急騰急落を繰り返す相場はマーケットが不安定化している証拠でもあり、余り良くない兆候。悪く捉えればクラッシュへのプレリュード(序曲)の可能性も。筆者にはプスプスと焼け焦げる臭いがしてきている。

 1つ ”リアル” があるとすれば、富裕層からの「現ナマ」が@3%台の米国債に着実に流入していること長い間「低金利」に苦しめられたため、保有資産の何割かをとりあえず「固定収入」に振向けるのは自然な動きだろう。

 ヘッジファンドは米国債ショート(売り=金利上昇)で仕掛けたようだが、この世界「現ナマ」には適わないいつか買い戻さなければいけないトレーダーと買いっ放しが可能な "リアルマネー" では自ずと勝負は見えているかつてJGB(日本国債)に売りで挑んで敗れたパターンと同じだ。

 それでも「ドル」が買われているうちはまだいい問題は「ドル売り」に転じた時。いわゆる「ドル安・株安・債券安(金利上昇)」が「クラッシュの3点セット」であり "総投げ" 状態になる。直近では2020年3月の「コロナ暴落」がそれに近いが、その時は「インフレ」は顕在化しておらず「金融緩和」で凌ぐことが出来た。だが今度はそうはいかない

 "引金" を弾くのはWTIか、ビットコイン(BTC)か、はたまたドル円か

 "LUNAショック" のようにBTCが暴落して "引金" になる可能性もあるが、筆者が今一番警戒しているのがWTI=原油価格「相場はみんなが嫌がる方向に動く」原則に照らせば、今下落して困るのは原油だ。多くのトレーダー、ファンド、投資家に中東の王族も侵略戦争を仕掛けている専制国家も相当困るはず今後マーケット全体の鍵を握るかもしれない

 WTIが@100ドルを割り込んで@80~90ドル台まで落ちれば一時的に「インフレ」懸念は後退するだろう。だがそうなると ”虎の子” を失った投資家、ファンド勢が一斉に「リスク減らし」に走る株に加え「資金繰り」対策として国債も売る事になれば「クラッシュ」である。

 ただ「インフレ」に関しては例えWTIが@80ドルを割り込んでも収まるとは思えない。巷では「コストプッシュ・インフレ」との主張が多いが、「インフレ」の正体。ー 「平均時給」上昇の衝撃。|損切丸|note は「ボトルネック」型の「真性インフレ」「人口動態」の変化による「構造的人手不足」が主因だ。2016年以降 ”種火” は燃え続けており、「コロナ危機」で一時的に覆い隠されたが、ちょっとやそっとで消える類いのものではない日本人の多くが期待する(苦笑) ”デフレ的なもの” は訪れないだろう

 仮に「クラッシュ」があってもかなり紆余曲折があるだろうし、その間はしっかり何かに掴まって振り落とされないようにするので精一杯かもしれない。今は音無しを決め込んでいる中国の不良債権という「灰色のサイ」が暴れ出さないとも限らないし、考え得る最悪のシナリオは原油価格の暴落で追い込まれた専制国家が「第3次世界大戦」に打って出ること。そうならない方がいいに決まっているが、 ”願望” とは別に "心構え" は必要だ。

 自然災害と同じで ”備えあれば憂い無し” 。準備しているかどうかで運命が変わる事もある。 "後悔しない" というのは案外難しいものである


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