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「安くなる日本」。- 続く巨額の ”貿易赤字” 垂れ流し。

  9/15 日本貿易収支 ▼2兆8,173億円 13ヶ月連続赤字、1979年以降最大 < e.g., 2014年1月 ▼2兆7,951億円、年間▼12兆8,161億円

(輸出)8兆619億円、前年比+22.1% 予想+24.1% 前月+19.0%
18カ月連続プラス、輸出数量指数▼1.2%
(輸入)10兆8,792億円、前年比+49.9% 予想+46.9% 前月+47.2%
19カ月連続プラス、輸入数量指数+2.8%

ドル円平均値@135.08、前年同月比+22.9%(円安)> 昨年8月@109.89

 大きな溜息。覚悟はしていたが貿易赤字が月▼2兆円以上...日本人の懐から巨額の「お金」が海外に渡っている。これでは生活が楽になる訳がない。

 国全体としての「経常収支」↓ はかろうじて「黒字」を保っているが、それもほとんどは「直接投資」による儲けのおかげ。個人や事業に例えれば本業が赤字なのを株や不動産の「投資」で補っているようなもの225銘柄にもそういう会社があるが(苦笑)、「投資」がコケたら大赤字に転落。まるで「投資ファンド」である。

 「投資」には波があり、この状況が続くと「預金過多」の「日本株式会社」↓ では「お金」が減っていくことになる。

 「日銀バランスシート」↓ 銀行券+当座預金-貸出を比較すると:

 ・「コロナ前」@2020年3月 450.5兆円
 ・@2022年8月 537.7兆円 差額+87.2兆(内.国債増加分+61.7兆円)

 全体ではまだ「黒字」を維持
しているようにも見えるが、8月に「当座預金」が前月比で▼21兆円も減ったのは気掛かり

 「速すぎる円安」「ドル売り介入」とマーケットでは喧しいが、為替レートは長期的にはこの「国際収支」に連動して動く。今回気になるのはこれだけの「円安」にも関わらず「輸出」が伸びていない事。

 反面、原材料費などの「固定費」は必ず出ていくので「円安」は経営を圧迫する。価格転嫁しようにも「売る物」がなければ「損」を補えない「円安」でも上がらない日経平均株価がそれを示唆している。

 7/14 「サンマ1匹1万円!?」

 今年の初競りでこんなニュースが飛び交ったが、そういえばここ数年 "秋刀魚" をとんと食べなくなった。気候や海流の影響も指摘されているが、それ以外に最近良く言われるのが日本の「買い負け」中国などが高い値段でごそっと買ってしまうので、今までのように海産物が手に入らなくなった。今後は北の漁場でわざわざ "彼の国" に手数料を払って獲るカニ、鮭なども減るだろうから、お寿司屋さんや食卓のメニューに影響があるだろう。

 それもこれも「赤字」が膨らんで「貧しくなる日本」が原因*デフレの後遺症で ”安さ” ばかり追い求めても「赤字」を増やすだけ「インフレ」型に転換するにはデフレ型の「節約」「貯蓄」マインドを「お金」を使う「消費」「投資」型に変える必要がある。

 例えば日々の食費1,000円と家電1万円、家具10万円とあったら、家具から買う必要がある。なぜなら「値上げ」が同じ+10%なら、値の高い方のダメージが大きくなるから。同じ生活苦といっても「インフレ」では「お金」の価値が下がるので、「デフレ」とは「お金」の使い方が真逆になる。

 それでも「インフレ」が欧米より酷くなっていないのは家賃などの「住居費」が上がっていないためアメリカでは物価の約40%を「住居費」が占め、家賃の上昇が「インフレ」苦を加速させている。

 日本では「リモートワーク」の普及で、この1~2年より広くて安い物件を探して「脱・東京」現象が起き、電車で1時間圏に ”移住” が起きた。つくばエクスプレス開通で交通の便が良くなった守谷つくばが最たる例だろう。

 だが ”移住” 先の家賃もかなり上昇し割安感も薄れつつある。パンデミックも収束が近づき、就労形態の見直しも始まった。都心部の家賃も上昇が止まっていたが、さすがに「インフレ」による建築費や原材料費などのコスト増に抗しきれなくなってきた。この辺りは2年かけてぐるっと一巡した印象だが、日本でも生活費の3割近くを占める「住居費」の影響が表面化するのはこれから。こちらも ”安さ” ばかり追い求めていると判断を誤る「インフレ」に気付いた人の中には「家」を「買う」人も増えている

 しかし政府は相変わらず「GOTO」など観光業ばかりにご執心だが何かあるのだろうか? 

  はっきりいってインバウンドをいくら増やしても日本の「赤字」は埋まらない。オリンピックやカルト宗教の問題もそうだが、**全体というよりも一部だけに「利権」が集中する構図が明らかになっている。「日本株式会社」の経営全体を立て直そうとしているようにはとても見えない

 **「国債無制限買取オペ」などはまさに ”財務” のためだけの施策それが原因で起きた「円安」に手持ちのドルを売って凌ごうというのはまさに自己矛盾。こういう "不整合"マーケットの大好物である。

 更に言えばスイスや日本が「低金利」でいられたのは「お金持ち」だったから。その観点から言えば13ヶ月連続貿易赤字の日本は既に「お金持ち」ではない***それに見合った「金利」への修正が迫られている

 ***ちなみに今日(9/15)行われた20年国債の入札はテール(平均落札価格と最低落札価格の差)が84銭1987年12月(!)以来の高水準応札倍率も2.51倍と2012年8月以来の低水準だった。結果、20年国債金利は+7.5BP上昇の@0.925%、30年は+7BP上昇の@1.25%いくら10年だけ抑えても市場全部を押しとどめるのは無理「利上げ」などなくても住宅ローンなど長期金利には影響が出る

 それでも70代後半の総裁は「貧しくなる日本」という "FACT"(事実)を受け入れたくないのだろう。オリンピックを主導した80代の元・総理やワンマン経営の出版社社長然り。「昭和の夢」はもうこの辺で終わりにすべき。最近の出来事はそういう "時代の声" に筆者には映る。

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