見出し画像

中国に異変? 急落・低下に転じる中国株・中国国債金利。

 3/14 ハンセン指数が▼1,000.ー以上下げ(▼5%)、@19,500.ー 台に急落上海/深圳CSI300も▼3%下落(  標題)。一義的には感染拡大が伝えられ各地でロックダウン措置が取られたことがきっかけだが、先週▼4%余り急落したドイツDAXと同等のショック。 「 "高金利" には気をつけろ」。ー 中国不動産と地方政府の「自転車操業」。|損切丸|note で述べた「不良債権問題」→「資金繰り問題」が根っこにある。

 3/11 中国人民銀行発表:
 2月 新規人民元建融資 1.23兆元(1,950億ドル) 予想 1.49兆元 前月3.98兆元(過去最高) 前年同月1.36兆元

 株価下落の材料と見なされたのが国内融資の急減1月の値が "過去最高" の高い伸びだったとはいえ、2月は3分の1以下に落ち込んでしまった。いよいよ地方政府の「土地譲渡収入」の低迷で「自転車操業」が止まりつつある。いわゆる「専項債」デフォルトも表面化してくるかもしれない。

 ここで大きく変化したのが「中国国債金利」

 人民銀行が2021年12月に▼0.05%@3.80%、1月に▼0.10%@3.70%と「1年物貸出金利」を2ヶ月連続で「利下げ」したことで、10年国債金利は一時@2.70%割れまで低下。その後旺盛な「資金需要」を反映して直近@2.88%まで上昇したが、本日の貸出データ減少を機に、また@2.78%まで低下した。いわゆる「利下げ」催促相場だ。

 人民元の対ドルレートもこの金利低下を反映してか、@6.3200台 → @6.3500台に急伸(人民元は下落)。だがこれも痛し痒しだ。国外からの「お金」を引き寄せるのに「通貨安」は障害でしかない。ただ企業も国家も「資金繰り」最優先なのは世界共通デフォルトに陥れば元も子もない

 「資金繰り」だけを何とかするなら方法は簡単。MMT(現代貨幣理論)の信奉者が宣う如く「法定通貨」を必要なだけ刷ればいい(苦笑)。だがここで行く手を阻むのはMMT論者が条件として除外している「インフレ」

 今回のルーブルが証明したように、「信用のない法定通貨」はただの "紙切れ" いくら共産主義でも「お金」で経済を回す以上、この原則は同じ人民銀もそんな事は百も承知で安易に「お金」を刷る方向には向かわない

 「借金」をちゃんと返すには、個人でも企業でも国家でもきちんと儲けて利益を上げるしかない。今の「日本」貿易収支が単月で▼2兆円近 "赤字" で最悪の状態「円安」の強い根拠となっており「通貨安」でますます "赤字" が膨らむ悪循環。まるで株価が下がり続ける貿易商社の様だ。

 今の「中国」「日本」と違って、依然強力な「国内生産 → 輸出」で "稼ぐ力" はある。だがかつて「円高」で苦しんだ「日本」同様、「輸出ドライブ」による「人民元高」は自らの利益を削り込む売れば売るだけ「利益」が減る ”蟻地獄” 。しかも「借金」が5,000兆円を超えており、輸出の「利益」だけでどうなるものでもない。やはり当てにしていた「国有不動産」の売却でまとまった「お金」が必要なのだが、不動産市況の悪化で「資金繰り」の目処が立ちにくくなっている

 この半年の中国国債金利の激しいアップダウンが当局の苦悩を如実に物語っている小幅の連続「利下げ」はいかにも苦しい「金利上昇」「資金繰り」 ”穴埋め” に「国外」からの「お金」を欲している証拠であり、「金利低下」は国内銀行の「資金繰り」支援のため。人民元為替レート「金利」も、*一体上げたいのか下げたいのか、 ”自己矛盾" に陥っている。

 *「円高不況」時の日銀も同じ ”自己矛盾" に陥った。円高阻止のための不要な「利下げ」で「バブル」を起こし、結局最終コストを膨大にしてしまった。 "火事" の現場での判断は難しい。時代も状況も異なるため、人民銀の判断は困難を極めるだろう。結果は歴史が証明することになる。

 とにかく貸出データを見ると、国内銀行にあまり余力は残っていない不良債権貸倒引当金を積むなら資本不足に陥る銀行が増え、最悪「債務超過」=デフォルトもあり得る。典型的なクレジット・クランチ=「貸し渋り」が起きつつあり、現状はかなり厳しい。加えてオリンピック開催のための「借金」ものし掛かり( e.g. 開催国は不況に陥るケースが多い)、とても他国に大型支援などできる状況ではあるまい。

 そして3/16 FRBの「利上げ」で「お金」争奪戦の号砲が鳴るECBも追随するだろう。「日本」国内の円がドルなど外貨投資に逃げる兆候も高まっており、うかうかしているとあっという間に「円安」が進み、この争奪戦に乗り遅れる

 「中国」はもっと困難な局面を迎える。いくら金利を上げても人民元が高くなっても「信用」がなければ「お金」は集まらない。おまけに「借金」は5,000兆円を超える膨大な額。こうなると不動産投資家に泣いて貰う「徳政令」のような措置しかないが、果たして国民がそれで納得するのか。どの国でもそうだが、一度 ”贅沢” という甘い蜜を味わってしまうと元へは戻れないもの。こちらも実は目が離せない「灰色のサイ」なのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?