「 "高金利" には気をつけろ」。ー 中国不動産と地方政府の「自転車操業」。
しばらく東欧の方に目が行きすぎていたので、ここは目先を変えよう。もう一つの「灰色のサイ」中国の不動産について、3/10付.日経ビジネス(WEB版)に興味深い記事が載っていたのでご紹介(抜粋) ↓ 。
筆者は従来から「中国不動産」の動きには強い関心を寄せてきたが、こういう詳細な記事はとても助かる。もやもやした ”霧” の一部が晴れた。目の前で見てきた日本の「バブル崩壊」と比較してきたが、社会体制の違いもあって随分違う側面もある。
まず最大の違いは「地方財政」が不動産市場に果たしてきた役割がかなり大きいこと。日本に例えれば、都道府県が地方債をガンガン発行して不動産開発を促進してきたことになる。2017年以降は「国有地使用権」の譲渡による収入を当て込んで「専項債」なるものを前倒しで発行しており、5年後の期日が到来し始める今年は、まさに「2022年問題」と言っていい。
これが「社会融資残高」≓47兆ドル(5,450兆円) ↓ のかなりの額を占めるのだろう。しかも大枠で俯瞰すると、日本を後追いするように中国も「人口減少社会」に突入している。人口規模が大きいため、 "人口減少に伴う不動産需要の蒸発" も半端ないはず。即ち、多くの地方都市が収入急減→デフォルトリスクに直面することになる。
筆者はずっと中国国債の「実質金利」がなぜこんなに高いのか、e.g. 10年名目@2.83% ≓ 実質@+1.39% > アメリカ@▼6.06%、気になってきたが、これでやっと腑に落ちた。「借金」の額が大きいのもあるが、何より「人口減少社会」の到来により「国有地使用権」の譲渡による収入の激減が見込まれるからだ。厳しい言い方をすれば巨大な「自転車操業」そのもの。
だから輸出に不利と判っていても「お金」を外から集めるためにある程度の「人民元高」を容認せざるを得ないわけで、「高金利」との組み合わせでなんとか「資金繰り」を回そうとしている。だが、企業融資の経験もある「損切丸」の見立てでは、どんなに大企業、それこそ世界2位の会社でも、返済原資の目処が立たない先に「お金」は貸せない。おそらく市場全体でそういう "当り前の判断" が働いたが故の「高金利」だ。
社会主義連合は他国を脅したりいかにも「強面」だが、「お金」の内情は "火の車" 。こんな状況で「SWIFT攻撃」など喰らったら、それこそ*「デフォルト」一直線。まあ、それを覆い隠すための「強面」でもある。
「 "高金利" には気をつけろ」
これは今も昔も変わらない「金利の鉄則」。「過剰流動性」で覆い隠されていた ”刃” が、いみじくも今回の危機で露呈した。世の中、そんなうまい話がある訳がない(苦笑)。「投資」する側は "吟味" が必要になる。
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