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遂に「不動産バブル崩壊」!? ー  "路線価" が6年ぶりに下落。

  " (7/1) 国税庁は相続税や贈与税の算定基準となる2021年分の "路線価" (1/1日時点)を公表。標準宅地の評価基準額は全国平均で前年を▼0.5%下回り、6年ぶりに下落 " 

  " 全国の評価対象地点のうち、最も下落率が高かったのは大阪・心斎橋筋の▼26.4%。同じくインバウンド(訪日外国人旅行者)需要などで地価の上昇が続いていた東京・浅草でも▼11.9%、岐阜・高山でも▼12.7%下落”

  " 路線価の最高額は、東京・銀座の鳩居堂前(標題画像)で、1㎡当たり4,272万円(36年連続)、前年比▼7.0%減で9年ぶりにマイナスに転じた”

 「遂に不動産バブル崩壊か!」

 高騰するマンション価格等に不満を持っていた層の中には溜飲を下げた人もいるかも。だが本当にここから不動産価格の崩壊が始まるのだろうか?

 どうも現場の情報を拾っていくと少しニュアンスが違う。例えば都心の「中古マンション」では品不足が顕著だという。要因としては:

 ①新築は高すぎて手が出ない  ← e.g. 職人不足による人件費の上昇、 ”ウッドショック” など材料費も高騰

 ②パンデミックの影響で住宅やマンションの供給が止まっている

 ③テレワークの対応などで広い間取りの物件の需要が増えている

 今朝もどこかのニュースで見たが、そこそこ収入のある若年世代が埼玉の川口等のタワーマンション購入に動いているらしい。見る限り*「需要」>「供給」の状態が続いており「崩壊」には程遠い状況だ。

 今回の「路線価」下げは、インバウンド消滅で「賃料収入」の減った「富裕層」に対する「補助金」の側面もありそうだ。確かに都心の空室率は目処とされた5%を上回っており都議選衆議院選挙を控えた時期なので「政治的配慮」は十分に考えられる。

 国外に目を向けると不動産については「全く別の光景」が広がっている。

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 ↑ グラフは1980年以降の主要国の「住宅価格」の推移。為替レートが「円高」になった訳でもなく「日本」は目を覆いたくなるような惨状だ。バブル時の価格が高過ぎた事を差し引いても「置いてけぼり」感が半端ない

 筆者は前職でシドニーに自宅を持つニュージーランド人と知り合いになったが、グラフにあるように旧・「高金利国」オーストラリア、ニュージーランドの不動産高騰が凄まじい。今もその状況は続いており、良い物件は見に行くこともできない=即決で購入を決めないと買えないという。元々金利が@5~6%もあった国だけに、不動産が割安に見えるのかもしれない。

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 NYでは東京に似た現象が起きており、↓ のように超高級地マンハッタンでは価格が下落しているが、周辺部のニューヨーク市クイーンズ地区(ジョン・F・ケネディ空港の近く)では逆に価格が高騰している。

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 金融機関の ”BREXIT” で価値下落が心配されたロンドンだが、周辺部を中心に不動産価格の上昇は続いており、こちらも「崩壊」には程遠い

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 「東京都心の不動産は高すぎて買えない」

 こういう声が巷では大勢だが、ロンドンやNYではもう20年以上前からそう言われていた。そして未だに価格が上昇している。「K字型」経済を象徴するような事象だが、今やシドニー、オークランド(ニュージーランド)、シンガポール、上海、クアラルンプール、バンクーバー(カナダ)、チューリッヒ、フランクフルト等等、世界の主要都市は皆同じような状況「東京」がやっとこれらを追いかけ始めた、というのが正しい認識だろう。

 これからの「投資」を考えると、不動産なら「路線価」などの "全体" ではなく、**個別の物件を精査する「眼力」が問われる。確かに不動産は①地形②ハザードマップ③近隣住民④交通利便性等チェックポイントも多い。海外不動産も本気で「投資」するならシドニーでもバンクーバーでも現地に出向いて確認するのは必須税制や規制などもきちんと調べる必要がある。

 **株なら「日経平均」のような全体指数よりも個々の企業の中身を吟味する「眼力」が必要になろう。特に今回の「パンデミック」あるいは「インフレ」のような "歴史的転換点" では、淘汰される企業と飛躍する企業がはっきり分かれる「投資家」として先を見通す力が問われる事になる。

 「自宅」を持つ身としては固定資産税が減るのは実はうれしい。ワクチンを2回打って(筆者の所はようやく「接種券」が届きそうだ)動きが取れるようになったら、川口でもシドニーでも実際に行ってどうなっているのか、この目で見てみたいものである。「投資」するかどうかは別にして(笑)。

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