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@5%の「民主主義」 ー 「ドル高」による ”インフレの輸出” 。

 アフガニスタンにおける電撃的な政権交代が取り沙汰されている。武器や暴力による社会体制の変更香港ミャンマーに次ぐものであり、見方によっては一種の「革命」と言うことになるのだろう。今回は "社会科学" 的なアプローチになるが、これらの動きを「お金」の視点で考えてみる。

 そもそも現在のマーケットの根幹を成すのは「民主主義」をベースとした「資本主義」であり、平たく言えば先進国の「お金」=法定通貨が基本。その中でもアメリカの「ドル」の影響力が圧倒的で「ドル本位制」と言って良い。それにユーロポンド等が絡んできている。

 実際今回のアフガニスタンについても20年間に渡って巨額の「お金」+「人」=軍隊の支援をしてきたアメリカの撤退が引金。そして象徴的なのが米政府がアフガニスタン政府の資産を凍結したこと。保有資産の8割程が ”差し押さえ” られた模様で、そのほとんどが「ドル」だったことがわかる。銀行用語でいえば顧客の「不渡り」「取引停止」扱いである。

 「民主主義国家」の "数" は@5%以下

 こういう推計もあり、標題添付のグラフが示すように近年の「民主主義」の退潮は明らか「民主主義」をどう定義するかは議論の余地もあろうが*「覇権国家」アメリカの衰退と中国の台頭が主因だ。ミャンマー、アフガニスタンなど約@95%を占める「非民主主義国家」を中心に ”反乱” が起き始めている。他にもベネズエラトルコなど不穏な国情の国は多い。

 筆者の私見だが、アメリカの衰退は初めて米国本土を ”攻撃” された2001年の「9.11」から始まっており、2008年の「リーマンショック」で決定的になった。それ以降米国は他国の面倒を見る ”経済的余裕” がなくなり、トランプ大統領が登場 ”America First" とは即ち「他国のことは知らん」という意味である。

 マーケットに目を移すと「お金持ち」国家・アメリカの ”勝ち逃げ” 現象「ドル高」「米国株高」に見られる。反面中国株や日経平均の不調、或いはブラジルやトルコの「通貨安+金利上昇」が起きている。

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 そもそも「リーマンショック」「コロナ危機」で膨らんだ巨額の国家債務の尻拭いのためにばらまかれた「民主主義国家」の「お金」。だが、あろうことか「請求書」は借金をした国そのものではなく、まず「ドル高」というフィルターを通して「非民主主義国家」に回る「インフレの輸出」と呼ぶべき現象であり、コストを払わされている国々はたまったものではない。

 これらの ”反乱” をバックアップしているのが中国。そもそも "毛沢東" 的政治体制を目指しているのであれば、為替レートや株式市場などはアメリカが勝手に創り出した「幻想」に過ぎず、基本どうなっても構わない。最近のIT企業や学習塾への締付けを見ているとそういう ”思想” も強く感じられる。

 だが中国が経済的にここまで大きくなったのは米国向輸出で得た「ドル」のお陰なのも厳然たる事実。ミャンマーアフガニスタンを援助するにしても「お金」が要る。「ドル」を無視して「人民元」を刷れば「お金」は用意できるが、最近通貨ボリバルを100万分の一にデノミ=「減価」したベネズエラが証明したように、無秩序な通貨供給は「インフレ」を引き起こす。その辺りは中国政府も理解しており道のりは平坦ではない国内不動産の不良債権処理に手を焼いている中国にそんな "ゆとり" があるだろうか。

 一方米国債金利が上がっただの下がっただの、FRBテーパリングがどうのと「損切丸」でも書いているが、所詮「5%」の中での話。ただその「5%」「お金」の95%以上が注がれているのも事実であり、「ドル高」の恩恵として米国株が買われている。おそらくビットコイン辺りもそう。

 しかしミャンマーやアフガニスタンの "動乱" を見るにつけ、「95%」にも目を向けておく必要性も感じる。その辺りの政治情勢に「お金持ち」の意向が如実に現れるからだ。今は相場的に「ドル買」「米国株買」が正解なのだろうが、よくよく慎重に臨むべき。「お金持ち」が「請求書」を回す先は「95%」の国々だけではない。「5%」の中の "一般庶民" も含まれる 

 現在のドル、円、ユーロの "異常な低金利" は膨大な量の「お金」を刷った結果であり、「通貨価値」が大きく減じている証拠。どこかで相場の "途転(ドテン)" があるかもしれない。”ババ” は引きたくないものである。

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