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上がり続ける中国の「実質金利」Ⅲ ー   一体「金利」はどこまで上昇するのか?

 「清華大学が支援する半導体メーカーの紫光集団は16日、同日に期限を迎えた私募債13億元(約207億円、表面利率@5.6%)の償還ができないと明らかにした。」

 「ドイツのBMWと提携している中国自動車メーカーのブリリアンス・オート・グループ・ホールディングス(華晨汽車集団)も65億元(約1,035億円)の社債で不履行が生じたと発表した。」

 11/12 上がり続ける中国の「実質金利」Ⅲ ↓ の更に続編。

 人民元の金利上昇が止まらない。中央銀行である中国人民銀行も11/16に2,000億元(約3兆1,800億円)の資金を供給したが、流動性不足を巡る不安を払拭できず、10年国債金利@3.34%に達している。

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 背景には冒頭2事例のような相次ぐ「社債」デフォルトがあり、年末までに9,000億ドル(約93兆7000億円)規模の流動性が不足すると推計されている。「社債」とはいうものの社会主義体制の「中国」では「国債」との境界線は曖昧。得られる情報も少なく、投資家の腰が引けるのは当然だろう。

 では金利はどこまで上がるのか? 金利のチャートで見ると2018年1月の@3.94%あたりが1つの目処になりそうだが、@4%を超えるようだと市場は「ざわっ」とするかもしれない

中国10年国債金利(長期)

 2020.10時点.「社会融資残高」42兆ドル「政府債務」10兆ドルから推計すると、中国全体の債務はこの2~3年で+10兆ドル余りも増えた可能性もある。円にして1,040兆円、現在の日本国債残高に匹敵する巨額だ。いくら「中国」が今やGDP世界2位の大国であるとはいえ大きすぎる。

 加えて香港の弾圧が大きく響いている。直近やや持ち直したとはいえ、2018年以降のハンセン指数の不調は香港からの資金流出を裏付けるには十分。それもおそらくドルを中心とした外貨だ。中国の米国債保有高も1兆ドル割れ寸前まで減っており、「ドル不足」を想起させる

ハンセン指数(5年)

 やはりトランプ政権による攻撃が効いているのか、それとも何か別の事情があるのか。とにかく不気味。「借金をして困っている人」というのは個人でも会社でも国でも、最後の最後まで「払えない」ことを隠す*マーケットならそれは「金利上昇」という形で ”サイン” が現れる

 *「金利が上がるなら利下げすればいいじゃないか」。そう考える方もおられるだろうが、事はそんなに単純ではない。例えばベネズエラアルゼンチンデフォルトの際で金利が高騰したのに何故利下げしなかったのかしなかったのではなく、出来なかったのだ市場に供給する「お金」の元手=「預金」等の国内純資産が圧倒的に足りないので、「国富」が大きいFRBやECB、日銀とは前提条件が全く違うのである。さて「中国」は??

 (参考)5.23.「デフォルト国」研究。↓ 

 ここでアメリカの政権が共和党から民主党に変わるのは中国にとって吉と出るか凶と出るか。何だかんだといちゃもんを付ける割には「軍事行動」には慎重だったトランプ大統領だが、「人権」「戦争反対」等正論を押し出す革新・民主党政権はどうか。だが民主党にも「第2次世界大戦」「ベトナム戦争」を主導してきた歴史もあり、「戦争」を起こさないとは限らない

 そもそもこれだけ経済成長している「中国」が、香港を弾圧し、台湾、インド、オーストラリア、日本、ベトナム、フィリピンと次々に領土、領海を巡って喧嘩をふっかけて何の得があるのだろう。これ程の「軍事行動拡張」の ”意義” を計りかねる

 「戦争準備」などと恐ろしげな記事がメディアに良く載るようになり、筆者も内心穏やかではない。 ”政治的駆引き” と思いながらも、この「軍事行動拡張」は必然ではないのか? 中国の金利上昇を見ていると不安が大きくなる。第2次世界大戦中の日本の「南進」「インパール作戦」ではないが、何か「戦争」を起こさなければいけない ”事情” が起きているのだろうか

 前段で「借金をして困っている人」の話をしたが、人も銀行も国も「お金」に詰まると皆 ”無理” をするようになる。これは万国共通。個人なら強盗などの ”犯罪” 国なら借金踏み倒し、最悪のケースが「戦争」だ。

 こういう時はちょっとしたきっかけや「ボタンの掛け違え」が怖い。特に確たる情報が得られない国なので、「金利」は重要な事実を伝えてくれるだろう。「資金繰り」だけはごまかしが効かない

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