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「税金リスク」は「投資」の天敵。ー ”後出しジャンケン” の恐ろしさ。

 ”富裕層の「合法的資産隠し」タワマン節税が見直しへ「相続税ゼロが3億円」の激変に”

 前々から話題に上っていた「タワマン節税」”税務上の評価額が1階も最上階も同じ” という市場価格を無視した税務の穴を狙ったスキームだが、むしり取る事に躍起の税務署にしてみれば恰好のターゲット。記事に示された実例では*ゼロだったはずの相続税がいきなり▼3億円に跳ね上がるというから、まあ株やFXも真っ青の巨大リスク

 *ビットコイン長者株と同じ分離課税で無い事を知らずに翌年巨額の所得税を掛けられて破産、なんてニュースもあった。+4,500万円を超える収入には@10%の住民税を合わせて@55%もの税金が課せられる(  標題添付税率表ご参照)。+1億円儲かっても▼5,500万円国に持って行かれる訳だから何ともやりきれない話。「節税」したくなるはずである。

 「あなたの所得税が私の年収より多い!」

 英銀に転職した「損切丸」は何年か経って幸か不幸か(?)自分で税金を申告する立場になった。成績の良かったある年、申告した税額が奥さんの年収を超えてしまい、彼女も軽くショックを受けたようだ。「一体何の為に働いているのか...」。まあ家計全体で損したわけではないのだが、虚しい気持ちになるのはやむを得まい。

 「日本の消費税@10%はヨーロッパに比べて高くない」

 財務省を中心にそういう言説が良く出て来るが本当にそうだろうか?

 例えばイギリスや北欧は酒税が高く、お酒はとんでもなく高い。聞けば飲み過ぎてアル中になる人を減らすため、ということもあるらしい。確かに彼らは平均的日本人とはかけ離れた量の酒を飲む。飲食店の数が圧倒的に多いため  、東京の外食費は日本の方が安い。今の「円安」なら尚更だ。

 それなのにどうして日本はこんなに息苦しいのだろう。退職して感じたのは社会保障費の高さ「無職・無収入」の期間は健康保険料が殆どゼロで、各種補助金も貰えて本当に嬉しかった(笑)。これらを加えて**日本人が使える可処分所得は「お給料」の40%程。これでは余裕がない。

 **ちなみにヨーロッパも重税だが、例えばドイツの国立大学は留学生でも学費が無料(州によっては1学期500~1,500ユーロ≓6~18万円程かかる)のように、払った分のリターンも得られる。日本はやはり「少子高齢化」の中「皆保険制度」が重くのしかかりリターンを感じられない

 見えない「税金」はまだまだある。例えば「固定資産税」↓ 

 「土地・建物」×「固定資産税@1.4%+都市計画税@0.3%」の4層構造。確かに住宅には土地分の負担を6分の1にするなどの軽減措置があるが、自宅を持つ身には結構な負担。それで「相続税」だけでも「節税」しようとすると、今度は「タワマン税」のように ”後出しジャンケン” 建物からは消費税も取るしまさに2重、3重課税。これでは資産が残るはずがない。相続税ゼロのシンガポールに「お金持ち」が逃げ出すわけである。

 それからもう一つ狙われているのは「退職金税制」↓

 ざっくり言うと***退職金は課税対象を半分にできる。一種の優遇措置で勤続年数が長いほど有利に出来ているが、「終身雇用」が崩れる中、これも必ずしも有効とは言えなくなってきた。そんな状況なのにここにも「増税」の手を入れようとしており、まさに江戸時代以来の "お役人様" 。その点、この国はあまり変わっていない。

 ***ちなみに外資ではこのメリットを生かし、退職金を厚くするプログラムを走らせている。他にも賃貸住宅に住む社員には会社が社宅契約をして従業員の給料から差し引いて所得税を軽減する措置も取っている(会社側にも節税メリット)。こういう所、外資は「お金」に厳しい「清貧思想」など微塵も感じられない

 「税金リスク」は「投資」の天敵

 「インフレ」投資研究。 ー 「賃貸経営」と「REIT」(不動産投資信託)|損切丸 (note.com) でも例示したが、「税金」の扱いによって「投資」の実質リターンは随分変わる。必死に対応を研究して「投資」しても ”後出しジャンケン” ではたまらない。T.I.J.(This Is Japan)と言ってしまえばそれまでだが、30年もの間「お給料」も日経平均も上がらなかったのは、案外この辺りに原因があるのではないか。成熟期を迎えた今、発想を変えていかないとパイが拡大しない

 同じ矛盾①労働者を守りすぎる労働基準法②賃貸人の権利を守り過ぎる借地借家法にも見られ、かえって経済を阻害している。①解雇が容易でないため柔軟性を失っている雇用市場や、記事にもなっていたが②問題を起こした賃貸人を退去させされないため大家が募集に消極的等、「弱者」を守るための仕組みが皮肉にも「弱者」を追い詰める結果となっている。

 今の税制、法体系の多くは「昭和」、それも「高度成長期」のままであり、時代にそぐわなくなってきた。政府の都合で ”後出しジャンケン” を続けるのではなく、今後5年、10年のグランドデザインを示しつつ国全体をリフォームしていく必要があろう。そのためには ↑ の①雇用や②賃貸市場のように「逆転の発想」が必要だ。

 やり方をちょっと変えるだけで、冗談ではなく日経平均は楽々と@50,000円を超えていくだろう。変えようとしなければ何も変わらない。ー「現状維持」「先送り」の限界。「リスク」は必ず存在する。|損切丸 (note.com) あとは変える勇気だけである。

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