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やっぱり「インフレ」しかない

 地味ながら3/21に金融政策の ”予想外” が相次いだ

 スイス中央銀行 政策金利@1.75%→@1.50%、▼0.25%「利下げ」
 トルコ中央銀行 政策金利@45%→@50%、+5%「利上げ」

 対照的な2国だが、現在の世界の経済状況を端的に現していて興味深い

 まずスイスと言えば元々 ”世界一物価の高い国” 。それだけに今回の「インフレ」局面でもCPIは+1%台で低位安定しておりそれほど「利上げ」もせずに済んだ日本とも共通するが世界一の「お金持ち」国家と言えるだろう

 これを見て 勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下げ」は危険|損切丸 (note.com) は今にも「利下げ」したくてECBがウズウズしているが、とりあえず6月まで待つらしい(苦笑)。FOMCでのパウエル発言を見ると、どうも欧米間では6月「利下げ」開始で話がついている雰囲気

 その答えは…。そう、やっぱり「インフレ」しかない

 リーマンショック(2008)以降、「過剰流動性中毒」の世界を維持するために「お金」をバラマキ続けた日米欧。そこへ「コロナ危機」がダメを押し、積もりに積もった「借金」がなんと2京円!(除.中国の1京円)。財務当局は通常の借金返済は到底無理と見切りを付け「インフレ税」に舵を切っている。道理で生活が苦しくなるわけだ

 「借金過多」の欧米が「大幅利上げ」「預金過多」の日本が「マイナス金利」で対処してきたのはあくまで当局の "ご都合" 。だがそれも前者は景気減速・株価頭打ち、後者は「円安」でいよいよ限界欧米と日本で最近逆向きに動き出した金融政策はそのことを示唆している

 「借金」棒引きのための「インフレ税」は止められない、さりとてリセッションは困る - "二兎" を追うポリーシーミックスだが、日銀・FRB・ECBが今も従前通り緊密に連絡を取り合っているとすれば、随分綿密に練られた作戦ではある。それだけ "病状" は深刻で、 "中毒" は良くないと思っていても「過剰流動性」はある程度 "ほったらかし" にするしかない

 こうなると「投資」の観点から一番危ないのがもろに「インフレ税」を喰らう「現金」「預金」次いで国債等の金利物。特に異常な低金利のままのJGB(日本国債)は 「金利」の ”磁力” |損切丸 (note.com) に欠ける

 そんな中「お金持ち」スイスが「利下げ」の先陣を切ったのは面白い。CPIが+1%台で「インフレ」に対して余裕があるからだろう。ドイツやフランスが自動車産業の不振などでヒイヒイ言っている影響も受けており、やりやすいところから手を付けたイメージ。いくら "ご都合" といっても 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) がぶり返すのは怖い

 これら日米欧の「インフレ税」の反射作用で苦しんでいるのがトルコ「ドル高」を通じた「通貨安」で「インフレ」が急加速し@50%なんて「超高金利政策」を余儀なくされている。CPIが+200%台のアルゼンチンも同様で、とにかく「お金がない」(特にドル)

 マーケットの意表を突いた+5%の「利上げ」で一時買われたトルコリラだが、すぐ元へ戻ってしまった。やはり「インフレには利下げ」などと大統領が間違った政策を強要したツケは大きい日本の「バズーカ」も同様

 そして不気味なのが独裁政権の2大国家 - ”ズルズル下がる人民元金利” と ”ジワジワ上がるルーブル金利” 

 前者に関してはとにかく「収入」が途絶えており購買力が壊滅状態。売り手も困って「値下げ」を強いられているので一見「デフレ」に見えるが、「資本流出」に伴う「人民元安」も深刻な状態。真に「お金」が余っているわけではなく「スタグフレーション」に近い。それを社会主義的に国民生活の水準を下げることで対応している

 後者も「戦争」の状況が好転しているような "プロパガンダ" に必死だが、国債金利の上昇基調を見ると台所は火の車。欧米の商取引から閉め出されており、本音では「戦争」を早く止めたい。この辺りは安いガスが喉から手が出る程欲しいドイツとの駆け引きになるが、それでは "元の木阿弥" 。また「戦争」の火種になってしまう。綺麗事ばかり言っているヨーロッパだが、その実は ”金の亡者”いつも「お金」が導火線になる

 コロナ後の世界 Ⅳ - 「インフレ」「デフレ」どちらに向かうのか?(続編)|損切丸 (note.com) で「米中対立」が生んだ ”パラレルワールド” 。いわば現代の「ブロック経済」だが今のところ「世界大戦」には至っていない。なぜなら次は「核の戦い」が確実だから。即ち人類の滅亡を意味する

 まあ我々は凄い時代に立ち会っているわけで「投資」が難しいのはある意味仕方がない。特に「法定通貨」に対する信頼が揺らいでいるのが大問題で、その隙をついて「暗号資産」が登場したことになる

 日本で好況感が感じられないのは「実質賃金」がマイナスである事に加え、中小の倒産、破綻が相次いでいるから。だがこの国は会社も店舗も数が多すぎる。故に過当競争で十分「値上げ」出来ずに苦しんでいる訳で、「コロナ危機」がいみじくも示したように ”淘汰” が進めば価格競争力は復活する。今は "生みの苦しみ" 。そう言う意味では日本の「インフレ」はまだ登りの5合目付近であり、山を下り始めた欧米とは局面が異なる

 まだまだ「お金」を持つリスクは高い。株や不動産を利食っていい気になっていると、その後「お金」で持ったままだと「インフレ税」を取られてしまう。株等で持ち続けても日銀の追加「利上げ」等々気の抜けない状況が続く。何とも生きにくい世の中だがこれが「インフレ」。サバイバルが続く

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