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「金利」の ”磁力”

 米国債金利上昇 = 債券価格下落 ≠ ドル買い

 米国債の動きを見ながら売り(金利上昇)→ ドル買い、買い(金利低下)→ドル売り、で日々短期トレードを一所懸命手掛けているデイトレーダーには申し訳ないが、1980~1990年代に「ドル安・株安・米国債安」のトリプル安を散々見てきた「損切丸」は ↑ のイメージ

 例えば日本人が為替リスクを負って米国債を買う場合、金利が上がって新規に買う場合はいいが、例えば@3%台で手を出した投資家にとって米国債下落は恐怖以外の何者でもない。つまり米国債を「損切り」してドルも売らなければならなくなる。これは欧州の投資家も同じ

 昨日も1月FOMC議事録で改めて多くのメンバーが「利下げ」に前のめりではない事が確認され金利上昇傾向が続いた。現状では最短で夏以降の7月「利下げ」がメインシナリオに変わりつつある

 今はまだ「新NISA」による「オルカン」やS&Pファンドの買いが継続しているのでドル円もしつこく買いが入る「ニューマネー」が入ってくる時は逆らわないのが必ずポジションを閉じなければならないトレーダーの性"弾" が尽きるまで同じ様な展開が続きそうだ

 ただ今の米国市場に投資家を惹き付ける ”磁力” が十分残っているかというと疑問も残る。金利に関しては@4.5%を下回る長期債にはほとんど ”磁力” がない短期MMFが@4.7~4.8%で推移している以上、大きなリスクを負ってまで無理に買う局面ではなかろう

 では 米国「株」本当に強い? - ”マグニフィセント7” その影響力は?|損切丸 (note.com) ある記事で「M7の株をショートにしているファンドが多い」と出ていたがさもありなん。他の株とのパフォーマンスが乖離しすぎている ↓ おそらくS&Pなどのインデックスロング(買い)と組み合わせてリスクを調整しているのだろう。対「新NISA」の戦略とも読める

 今朝方M7の一角、エヌビディアの好決算があって時間外で+9%近く上昇しているようだが、さて…。 ↑ のファンドはおそらく同じポジションを積み増してくる。この辺り、ファンドは「投機筋」などではなく意外に正統派「過剰流動性相場」で一時苦しんだが、FRBの「利上げ」を経てマーケットはようやく「正常化」の道を辿っている

 米株はどうか?

 「イールドスプレッド」↓ やPER等の株価指標から過熱感が伝えられて久しいが、「お金」の価値 - "一度一方向に走り出すと止まらない日本人" |損切丸 (note.com) の性質上「新NISA」マネーの流入が続く内は逆らっても無駄。ここはそれを目一杯利用して "防御" に徹し、「正常化」の流れを待つのみ。 "M7ショート戦略” はその一環

 こうなるとFRBと共に日銀の動向が鍵を握る

 「金利」の ”磁力” という観点からは低金利慣れした日本人には@4~5%なんて必要無い@1~2%で十分「預金」に利息が付けば個人も無理にリスクを負わなくなるし*生損保、年金、銀行もJGBに「お金」を戻す金融機関を通じて海外に流れた「お金」は500兆円とも推定されており、仮にその半分が "帰国" するだけで影響は絶大。1,000兆円の「預金」に@1%付けばそれだけで+10兆円の収入増変な「給付金」より "平等" で効果がある

 *生損保が20~30年JGBの@1.4~1.8%の買いに出ているのはその動きの端緒。確実に変化は生じており+6%なんて「賃上げ」の原資にもなっている。ただ、彼らの「外債投資」のほとんどは為替直先(FX Forward)を使ったいわゆる「ヘッジ付外債」であり、ドル円には影響しない

 そうなるとポイントは「新NISA」を含めた「円安」勝負の個人投資家逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸 (note.com) で「脱・日本」の感覚が強いが、果たして政府・日銀を信用して "帰国" 出来るのか。その辺がファンドが注視しているFX戦略の一環でもあり、 "M7ショート戦略” とも関係してくる。**「円安」をヘッジしながら「日経ロング+ドル円ロング」を持っているとも推定されるのでかなり影響は大きい

 **最近の市場を見ていると「日経ロング+ハンセン・上海ショート」のような取引も人気のようだ。昨日も香港ハンセン指数反発の局面では同時に日経にも売りが入り、引けにかけては逆に動いた。当局は色々と「株売り規制」を布いているが、実質的な効果はともかくこういう "組み合わせ取引" の解消を促すので短期的には有効かもしれない

 だから 我々は一体何に「投資」しているのか? - 「新NISA」開始に当って|損切丸 (note.com) は改めて自問してみる必要があろう。そうしないと「利食い」「損切り」がハッキリ出来なくなる何に拘って何をあきらめるのか。事前にシナリオを持って相場に臨むことをお勧めする

 ちなみに個人的に ”磁力” を感じるのはドル建てMMF@4.7~4.8%。生活拠点がアメリカなら迷わずそうするし、そうでないと「インフレ」を凌げない。現時点で円は安すぎると判断しているので日本人として外貨リスクを負うのは躊躇うが、円建資産で最も危ないのが「長期JGB」次いで「円預金」日本人にとっての「最適投資」2024 - 優先するのは「円安」それとも「インフレ」?|損切丸 (note.com) の選択肢は狭く相変わらず難しい日銀には金利を「正常化」して早く分かり易くして欲しい

 ついでに。どんなに「実質金利」が高くてもいつ没収されるかわからないBR (I?) CSの国債には手が出ない。リスクは完全に別物。「金利」は高ければいいというものではない「危ない」というサインでもある

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