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米国「株」本当に強い? - ”マグニフィセント7” その影響力は?

 米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) からの続編

 筆者は株は素人同然なので詳説は専門家にお任せするが、昨今の米株はいわゆる ”マグニフィセント7” (通称M7)の影響が大きいという。直近の株価上昇率が約+80%というから驚異的。時価総額合計は約30兆ドルもあり米株全体の3割。世界的な株価指標MSCIでもM7の比率が日本、中国、英国、フランス株を合わせた額より大きい ↓ というからまさに ”エース級” 

 「新NISA」でも「分散投資」が声高に叫ばれているが、この状況はどうなのだろう。例えば株の初心者が「投資」を始めるとすれば個別株ではなく日経平均やS&Pなどのインデックスになる。 ”オルカン” (オールカントリー、eMAXIS Slim 全世界株ファンド)にしても「M7」の比率が大きくならざるを得ない「分散」どころか知らない間に局所に「集中」する事になる

 推計では年初からの「新NISA」流入額は月2,000億円、年間2兆円にもなる。その半分は海外株だというから巨額の「新規マネー」が「M7」を買う事になる。これはかなりのインパクトだろうし、日本の証券会社もウォール街も在庫確保に必死。裏返せば "いい儲け口" でもあり、この規模になれば「需給」の観点からもしばらく相場が下がらない事を彼らは熟知している

 これはJGBなどもそうだが、顧客に価格提示を行う「マーケットメーカー」の立場で考えると、まずは "ヘッジ" として先回りして「M7」を買い込み後に顧客に売却気が利いたトレーダーなら「買い」が細るタイミングを見計らって「売り」に "ドテン" し、往復で儲けようとする

 「金利」が低下したのに「ナスダック」が売られた - "慌てず勇気を持って挑む" 2024年|損切丸 (note.com) でも書いたが "米株弱気派” は意外に多い。ただこういう「新規マネー」が入ってくる時はいくら「割高」でも売り向かうのは無謀。その辺は彼らも ”プロ” なので逆に利用しようとする。「新NISA」の影響は意外に大きいと筆者は見ている

 こうも言い換えられる:

 ” 「ドル円」本当に強い?”
 ” 「日経平均」本当に強い?”

 この分析に必要な変数は「海外勢の日本株買い」2023年後半から2024年初にかけて兆円単位の「日本株」を非居住者=海外投資家が買っていることは統計に表れている。①「円安」リスクを負っているか②為替ヘッジしているか、あるいはバフェット氏(バークシャー社」のように③「サムライ債」などで「円」を調達して為替リスクを回避しているか「円安」「円高」への影響は変わってくるが、どちらにしろ「新規」で「円」を売るわけではない少なくともニュートラル(中立)だ

 おそらく「ドル円」に関しては依然金利差を狙った「キャリートレード」が相場の主役。だが日銀が動き出した今、2022~2023年のように「買いっ放し」と言うわけにはいかない。だから「金利」を見ながらよりアクティブな売買が必要になる。先週末の雇用統計が典型だ

 海外からの日本株買いを考慮すると①「米株」②「ドル円」③「日経平均」の中で「新規マネー」による「需給」が一番良いのが③「日経平均」、次いで①「米株」②「ドル円」の順だろうか。あとは日本人の海外株、特に米株 ≓「M7」買いが相場の焦点「新NISA」のニュースは「日銀」同様大きな相場の転換点になりそう

 「損切丸」では マネーマーケットの「鯨」。|損切丸 (note.com) など "日本のグローバル市場への影響は思ったより大きい” と書いてきたが、2024年はその典型。「円資金市場」で取引して実感したが、単一取引額が1,000億円を超える頻度が高いのが「円」「ドル」でさえせいぜい50本、100本(1億ドル≓100億円)で、1,000本を超える取引はなかなかない。それだけ日本人は「お金持ち」だということ

 これは英銀の東京支店で「円」を統轄していて実感した事だが、それだけ「日銀」や「邦銀」「円」の動向に関して海外の注目度は我々日本人が想うより高い。ついでに言えば財務省が管轄している1.2兆ドルの「外貨準備」もその運用動向が米国債市場やドルのマネーマーケットに大きく影響する

 2024年の「新NISA」に関しては、今まで「邦銀」を通して間接的に海外に流れていた「円」が直接出て行くわけで、その動向には注目が集まりそう。おそらく年央から年後半に掛けて勢いが衰えて「需給」が逆転するタイミングが相場の転機になる(筆者もどちらかというと "米株弱気派” )

 あとはウォール街宜しくその流れを利用して「買い」から乗っていくのか、それともドテンのタイミングを計るのか「円安」や「株高」の動向によっては「日銀」の動きが変わる可能性もあり目が離せない。バシバシ短期トレードを仕掛ける向きには動いて好都合とも言えるが、ボラティリティーによっては一気に「損」を強いられる可能性もあり、攻守共に高次元の "プレー" が求められる。いつも "一方向に動きがちな日本人" にとっては厄介な相場かもしれない

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