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「オーストラリア特急」発車。 ー "資源通貨国" の金利上昇と「インフレ」。

 「5~6年前からインフレは始まっている」

 これは「損切丸」の自説。基本的に日本における消費、サービスの価格変化の実感をベースにしている。特に「団塊」8百万人引退に伴う慢性的な人手不足 → 人件費上昇が根源的理由として存在し、20年余り続いた「デフレ」後の経済循環周期的な反動も見込んでいる。

 グローバルに見ればやはり財政・金融当局の「リフレ政策」が大きい。これだけ主要国が揃って "借金漬け" になるのは史上初めてであり、「通貨」価値を否定する「マイナス金利」政策など前代未聞である。

 そこへ戦後最大の経済危機「コロナショック」。これが駄目を押した。

 危機の始まりは人の移動制限による消費の崩壊から経済が急減速。失業者は増え、企業倒産も相次いだ。だが常に「先」を読むマーケットは「現実」とは違う動きを見せた。湯水のように注がれた膨大な「お金」は株を中心に債券や商品にまで流入。これが "第一段階"

 今は "第二段階" ともいえる動きに突入しており、ビットコインなどの仮想通貨に加え貴金属や穀物等の商品市場が急騰している。特にこの1年でほぼ倍近い@$9,000.-に達した「銅」 ↓ 等の工業用鉱石急騰は「コロナショック」による倒産多発後の「供給力不足」に起因しており、今までと全く違う動きだ。世界的半導体不足も根っこは同じだろう。

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 この動きの中、にわかに金利市場で脚光を浴び始めたのが「オーストラリア特急」。資源輸出が多い同国は「資源国通貨」と冠されており、資源価格と連動することが多い。「インフレ連動型通貨」と言い換えてもいいかもしれない。オーストラリア10年国債今日(2/22)1日で+0.17%も上昇@1.60%、隣国ニュージーランドも同様に@1.62%(+0.13%)に到達。

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 為替レートも着実に復活し、対円で@80円を突破 ↓ *一時@70円割れの低迷から見事に復活している。

豪ドル円(5Y)

 とにかく日本人はオーストラリアドルが大好き(だった)。かつては@5~6%台の金利が当たり前で、為替レートも@100円を優に超えていた時期が長く続き、オーストラリアドル絡みの「高金利商品」も随分販売されたものだ。だからつい最近の@1%割れの金利には驚きを隠せなかった

 それがここへ来ての急復活劇。やはり「コロナショック」の後押しが大きい。資源価格の急落後に反発、と言う展開は日本の商社株も同じような動きを見せたが( ↓ 三井物産株ご参照)、今振り返るとバフェット氏が買いに行ったタイミングは絶妙だった。

三井物産株(1Y)

 氏は確か「金」そのものではなく「金」の鉱山会社株も買っていたが、これこそ ”先見の明” といえよう。「コロナ後」の供給力不足まで見通した上での投資だったと推測される。

 オーストラリア金利もかつてのような@5~6%台に戻ることは難しいかもしれないが、2020年前半の10年国債@0.70%台から今の@1.60%への急上昇を考慮すれば近い将来の@3%台は十分射程圏内だ。そしてこの金利動向は世界的な「インフレ」を量る1つの ”指標” となり得る

 目下金利上昇は株の上値を抑える ”目の上のたんこぶ” 的に嫌われているようだが、ものは考え様。この金利上昇に耐えて値持ちすれば「イールドスプレッド」から見た割高感は解消し、逆に上値余地を広げることになる。

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 とにかくオーストラリアドルも米ドルも円もポンドも金利水準はまだまだ低い。株価や商品も「法定価値」の減価リスクを考慮すれば「バブル」とまでは言えまい。「金利」も他の資産市場からの資金移動を促すほど ”魅力的” 水準には達しておらず「金利が邪魔」と考えるには時期尚早だろう。

 筆者も小市民ながら「預金」「現金」はなるべく保有比率を減らすように心掛けてきたが、ビットコインの急騰を見ると「もう少し ”努力余地” があったかな」と反省しきり(苦笑)。まあこの辺が ”実力” というもの。だが「専門」のはずの「金利」については、最終的に「お金」を戻すタイミングだけは間違えないようにしたい。まだまだ先は長い。

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