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「過剰流動性」が生んだ "怪物" ビットコイン

 不気味に上がり続けるビットコイン(BTC)。ブロックチェーンとか半減期とかマイニングに電力を消費するとか、とにかく断片的な知識しかない筆者にはいくら値が上がっても手が出ない代物。まあ「わからないものには投資しない」を是としてきたので、価格形成メカニズムが不明のまま「お金」を投じることはできない

 「テスラ」とBTCとWTI。ー 「過剰流動性」はどの程度影響していたのか。|損切丸 (note.com) を書いたのがおよそ1年半前だが、1つはっきりしたのはBTCが「過剰流動性」が生んだ "怪物" だということ。マーケットの ”止まり木” =緊急避難的役割を果たしてきたのは間違いないが、時価総額が1兆ドルを超え、無視できない規模に膨らんできたのも事実

 それでもNYSE(NY証券取引所)の20分の1にも満たないわけで「過剰流動性」の一部が染み出せばこういうプライスアクションを起こすのは想像に難くない。ドル円やNYダウよりも余程動かしやすい

 今のBTCを見ていて筆者が思い出すのは1999~2000年「ITバブル」真っ只中の「光通信」2014~2015年「上海バブル」↓ とにかく 問答無用の株式市場 ー 「高値波乱」?|損切丸 (note.com) で「売りは悪」という雰囲気。「どこまで上がるか」しか議論の対象にならなかった。まさに ”熱狂” 

 前者は高値@24万円台を付けた後@3,000円台まで急落、後者も@5,000台から半値に。筆者の元・同僚も売りそびれて大火傷を負った。「株は損切りしなければ儲かるのに...」なんて言う人もいるが、それは結果論。暴落相場のプレッシャーは凄まじく、無理な我慢は精神衛生上も良くない(苦笑)。ちなみに両方ともまだマーケットで生き残っており「光通信」は@26,000円台、上海は@2,900台で推移している

 もっとも 米国「株」本当に強い? - ”マグニフィセント7” その影響力は?|損切丸 (note.com) でアップルとかエヌビディアとか時価総額2兆ドル超えの企業が続出すれば何が ”熱狂” なのかということにもなる。1つ言えるのはHFT(High Frequency Trades、高頻度取引)などマーケットのAI化が進むにつれ ”人間味” は減っている「戦争」でも無人機が猛威を振るいつつあるが "躊躇いのないマシ-ン" は攻撃も「損切り」も何も怖れない

 ドル円"マグニフィセント7"HFTやAIが相当な高速回転で「お金」を注ぎ込んでいる。そこには ”熱狂” も ”高揚” もなくひたすら上がっていくだけ。ただ「儲かったかどうか」だけで判断される投資銀行業界では四の五の言っている余裕はなく ”勝つ方” につくのみ。その辺りは「バブル期」の日本の証券会社も今のウォール街も何ら変わっていない

 主要市場が上昇の限界を迎えて余った「お金」がBTCに向かっているとすると、市場規模から考えて今ぐらいのラリーは当然かもしれない。経済学で言ういわゆる「信用創造」の乗数が加速している今のAI市場でその圧力は凄まじいはず。時価総額が1兆ドルから2兆ドルになっても不思議はない

 ではこの流れを変えるきかっけは何か。やはり「金利」になるだろう

 FRBが+5%、ECBが+4%も「利上げ」してさぞかし「金利」が上がったと思うかもしれない。だがこれは「インフレ」の後追いに過ぎず、いわば "Behind the Curve" ≓「実質ゼロ金利」に戻しただけQT( Quantitative Tightening、量的引締)は遅れており「過剰流動性」の回収は進んでいない。まだまだ「金余り」で、それを引き寄せるには 「金利」の ”磁力” |損切丸 (note.com) は不十分

 1月CPI(年率)+2.2% 予想 +2.5% 前月 +2.6%
 コアコア(除.食品・エネルギー)+3.5% 予想 +3.5% 前月 +3.7%
*エネルギー▼12.1%、外国パック旅行費+62.9%

*2月CPIから政府の電気・ガス代負担軽減策による▼0.5%が剥落

 こうなると問題になるのが唯一「実質マイナス金利」を維持している日銀≓「過剰流動性」の震源地。丁度今し方CPIの発表があったが、見た目の低下とは裏腹に市場関係者(日本)の見方はいつになく ”タカ派” 。確かに食品・エネルギーを除くコアコアを見れば実質物価は+3%を優に超えているし、来月からエネルギー補助金効果▼0.5%も剥落する。+6%を超える「賃上げ」もこれから植田総裁の「インフレ」発言もここに起因している

 筆者の経験的に言うと、FRB+ECB+日銀の間では①まず日銀が「利上げ」②その後の市場の反応を確かめてから「利下げ」の手順を策定していそう。「利下げ」先行では株や原油などコモディティ(商品市場)、あるいはBTCなどの暗号資産の膨張を支援してしまう懸念がある。だからまずは日銀「利上げ」による「過剰流動性」ストッパー効果を見極めたい。市場が混乱するようなら「利下げ」はその時に切る札として使える

 QTという観点からは、実は日本の「増税」路線が先行。ここに「利上げ」が加わった場合どうのような化学反応が起きるのか。特にドル円が注目されるのは「円売り」によって供給されたドルが逆流するのかどうか回転速度の速いAI相場がどう動くのかは未知数日銀が怖れているのはまさにその点。それでも "マシ-ン" は無慈悲に売買を繰り返すだろう、何の "後悔" も "感情" もなく…「新NISA」には試練になるかもしれない

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