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英語は話せた方がいいのか?

2000字

私は話せて、書けて、読めた方がいいと思っている。なぜなら世界が拡がるから。

私は作業療法士の資格を取ってから病院で働き続けた。ある程度、仕事ができるようになった後、ヒョンな出会いから英語の勉強を始めた。31歳だった。そもそもの話だが、私の脳裏には大学受験の失敗が常に浮かんでいた。だからこれまでずっと頑張れてこれたのだ。仕事をしながらの勉強を地道に続け、7年が過ぎた。片田舎の病院では英語が必要なく、勉強を始めた頃は孤独を感じた。せめて志を同じくする人が一人でもいてくれたら状況は違ったのにと思う。


そんな私は青年海外協力隊へ行く道を選択した。しかし、派遣国にはピジン語と言われる現地語があった。英語を崩したような言葉である。当時、TOEIC400点の私は、現地で会うオーストラリア人、フィジー人の英語をうまく聞き取れず、”Yeah、Yeah”と一方的に話をしてくる彼らに返す言葉がなかった。結局のところ、海外でやりたいことが明確になった私は、国際英語検定(IELTS)の点数を取るため、その為の学習環境の重要性を感じ、2年の派遣期間満了の3ヶ月前に、日本に帰国した。ただ、想像はしていたが、どんなに頑張っているつもりでも、その努力がすぐにスコアに反映されるものではない。今日まで着実に伸びている実感はあるが。

ソロモンにいた頃、首都ではオーストラリアのABCニュースを見る事ができ、隣国のオーストラリアの情報が入ってきた。そして、中国、オーストラリア、韓国などからも旅行や仕事のために住んでいる人、また観光で来る人も目にする。世界地図で探すのが、大変な島国であるにも関わらず、国際色豊かであった。ソロモンではオーストラリアから入ってくる情報が全てと言っていい。こうした状況は、まるで日本がアメリカから伝えられる情報に大きく左右されるのに似ているなと感じた。日本の外に出てみないとわからないことだが、世界にはアメリカ以外の大国もあるのに、日本のマスメディアの報道がアメリカの影響を多く受けていることに正直驚く。

世界を見渡してみると、日本語は話す国はない。もしかしたら、第二次世界大戦で日本が勝っていたら、状況は随分と違っていたかもしれない。しかし、現状は日本語だけでは、少ない情報しか入ってこない。そう考えると危機感すら感じた。

世界から日本を見た時、例えるなら、日本は限界集落だ。日本人は、その限界集落に住む高齢者のようなものだと思っている。

現代では、代表的な自動車メーカーだけが、メイドインジャパンとして世界的地位を維持している。それ以外の電子産業では、隣国を代表する巨大カンパニーであるサムソンやファーウェイに追い抜かれている。世界に誇る有名企業はトヨタで、世界で知られている起業家はソフトバンクグループの孫正義社長くらいで、パナソニックやソニーの社長の名前は知られていない。

隣国の韓国では、受験や就職のための競争が過熱している事が原因で、未婚率が上がり、出生率が下がっているそうだ。相当な過酷な競争社会である事が容易に想像できる。その結果もあり、韓国では大学卒業時にはある程度の英語が話せるようになっている。アジアにおいても、途上国は文法こそ下手くそでも、英語が第二言語になっており、日本はアジアの中でも孤立している気配を感じる。

本田圭佑が、プログリットのCMで「アジアの中でも日本の英語は弱い」と言っているが、同感である。

話を自分に戻すと、

病院に勤め始め、主任という役職をもらうところまでは昇進できたが、それには6年かかった。これでも順調だっからかもしれない。しかし、12年働いたが、係長への昇進の道はなかった。役職は年功序列で、残りの人生ここで働き続けても、係長職を得るのに、あと10年はかかりそうな未来が容易に想像できた。どんなに腕が良くても、どんなに部下を管理できても、役職は順番に与えられるものでしかなかったので、病院を去った。

自分の挑戦できる事に集中する事にした。それが英語である。病院を出て、ボランティアとしてソロモンに住んだ事で、世界を肌で感じ、視野が10倍以上に広がった気がする。今はやりたい事だらけだ。資格に英語が加わると幸運にも世界で働く事ができる。作業療法士として他の国で働く事ができるのだ。話し、書き、読み、聞けるだけで。それらを習得するのに、たとえ10年かかったとしても、80歳を寿命とすると、成人して残りの人生60年、つまり、人生の1/6の時間を我慢して勉強するだけで、人生を楽しむ事ができる。自分の可能性を試す事ができると思った。目標が明確な今、英語を勉強するのが苦ではない。

ちなみに、海外における作業療法士の年収は平均が400〜800万という。さらに無駄な残業などない。果たして、日本の作業療法士の場合、普通の会社員(本業以外の収入なし)で、800万までもらえるだろうか?日本では、作業療法士としての独立した職域が、海外のようにあるだろうか?今度の日本に期待できるだろうか?




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