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RVパークで朝食を

私が住む町は、少し西に走ればナッツの木々を育てる農家やリンゴ畑が広がり、少し東に走れば港のふもとに広がるダウンタウンに辿り着きます。多種多様な人々が暮らすため、各アジアンスーパーも手の届く範囲にある、少し田舎で、少し都会の、大変ちょうど良い環境にあります。

しかし、素敵で評判のよいレストランは、やはりダウンタウンに集中しております。そんなダウンタウンのカフェから朝食を運ぶ為、私はかなり狭い道を走っておりました。

道の両脇は路上駐車した車でびっしりと覆われ、小さなカフェには、少し田舎にあるような巨大な駐車場はもちろん併設などされておらず、ぐるぐると車を止める場所を探し、彷徨うのでした。

右半分は緑色、左半分は紫色に髪を染めた店員さんから商品を受け取り、目的地へ向かうべく、私はナビを確認しました。

どうやら南に行かなくてはならないようです。
南側はクリスの住まいがあった方角です。あまり気乗りはしませんが、移動距離が長い分、私に支払われる配送料も高くなります。

クリスの話はこちら↓


クリスの住まいより更に南下した先にある目的地には、RVパークが広がっておりました。RVとはRecreational Vehicleの略で、ここではキャンピングカーの事を指します。RVパークは、そのキャンピングカーで車中泊できるキャンプ場です。

RVパークの中には、沢山のキャンピングカーが停泊していました。しかし、楽しそうな雰囲気は皆無で、ほとんどの車からは生活感が漂っています。毎日のルーティンをこなす事への疲労感さえ感じられます。高い家賃を支払う代わりに、キャンピングカーで暮らすことを選択した人々とその家族なのかもしれません。

RVパークをぐるっと一周し、配達先のキャンピングカーを見つけました。駐車スペースに番号が付与されているので、それが住所になります。

色褪せた簡易椅子の脇を通り、住まいに向かいます。扉の前に下がる階段には、雨に濡れた犬のぬいぐるみが不思議な体勢で転がったまま私を出迎えました。その犬の一段上に、雨を避けるようにして彼らの朝食を置き、出前は完了です。

少し都会から少し田舎のRVパークまで、雨の中をはるばるやってきた私に、彼らは追加のチップをくれました。もうほとんどお昼に近い時間でしたが、彼らはやっと朝食にありつけたのでした。

所要時間:45分
配達料:$9.05
チップ:$8.97




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