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深読み探偵おかえもん引退作品『BACK TO THE FUTURE(バック・トゥ・ザ・フューチャー)』第6話「Lou(ルー)」


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映画冒頭10分間の他の部分もこうなっているのか?

ドクのガレージ、ヒル・バレー高校の廊下、オーディション会場も?

解説してくれパパゲーノ!


まあ、そう慌てるな。

慌てるベガーは貰いがリトルと言うだろ。


は? ルー大柴かよ。



カヘッ、カヘッ、カヘッ(笑)

よく拾ってくれた。まさにその話なのだ。


は?


時計台広場のシーンには、もう1つ重要な秘密が隠されている…

この映画の核心に関わる、重要な秘密が…


核心? 何それ?


もう一度このシーンをよく見てみるんだな…

目にうつる、そして耳に聴こえる全てのことはメッセージだ…



まずは「選挙カー」が映し出された…

黒人市長ウィルソンの選挙カーが、トヨタのディーラー「STATLER TOYOTA」の前を通過する…

「スタットラー」とは「スタットラー・ブラザーズ」のこと…



そして市長の選挙カーには「RE ELECT」と書かれている。

わかるか?「RE ELECT」だ。


ゴールディ・ウィルソン市長は「再選」を訴えていたんだから、選挙カーに「RE ELECT(再選)」と書かれているのは当たり前だろ?


は? 何と書かれているって?


「リ・エレクト」だよ。


やれやれ、これだから日本人は…

「右」と「左」の区別もつかん(笑)


は? なぜ右と左?


まあ、気にするな。

「RE ELECT」の次は何が見えた?


えーと、次に映し出されるのは「HONDA」の車「CIVIC」…

ステーションワゴンのホンダ・シビックだ…

クエンティン・タランティーノの映画『PULP FICTION(パルプ・フィクション)』で、ブルース・ウィリスが「スタットラー・ブラザーズ」を口ずさみながら乗っていた車…



そしてマーティはエアロビ教室へ向かうギャルのHIPに目を奪われ、ジェニファーに「エッチ!どこ見てんのよ!」と怒られる。



そんなのどうでもいいだろ。

その次には、同じくホンダのバイクが映し出される。

なぜホンダなのかな? 物語にホンダは関係ないのに…


目にうつる全てのことはメッセージだと言ったはずだ。

この場面におけるマーティは「H」のことしか頭にない。

明日の夜、ジェニファーと念願のお泊りをして、ロストバージン、童貞を捨てることで頭がいっぱいだった。

だから女の「HIP」に目を奪われ、「HONDA」の車とバイクが映し出されたというわけさ。


は?


ホンダ車のマークは大文字の「H」…

そして、ホンダのバイクは「翼」…



あっ…

大文字「H」といえば、アブラハムの宗教における「神」のこと…

そして「翼」は、天使のシンボル…

つまり『受胎告知』だ…


『Annunciation』
Fra Angelico


だから後ろには「CUPID(キューピッド)」という名のエロ本ショップがあり、隣に「BONDS(ボンズ)」という店があったわけだな。



「CUPID」は「愛の神・天使」だからわかるけど、隣の「BONDS」って何だ?


「BONDS」とは「束縛するもの・負債・債権」という意味。

その下に「ABRAMS BROKERAGE」と書かれているから「アブラハムの周旋による束縛」という意味だな。


アブラハムの周旋による束縛…

「神との契約」ってことか…


そしてマーティはヒル・バレー保存協会の背後にある旅行代理店の看板を眺め、ジェニファーは宝石店の広告がプリントされたベンチに片足を乗せる。

旅行代理店の看板には「ASK Mr. FOSTER(フォスター氏に尋ねよ)」と書かれていて、ベンチには「ZALES JEWELERS(ゼールス宝石商)NOW IN TWIN PINES MALL(ツイン・パインズ・モールにて)」と書かれていた。



「FOSTER」や「ZALES」にも意味があるのか?


当たり前だろ。

「FOSTER」とは「托卵・里子」という意味だ。

つまり「TRAVEL SERVICE」の「Mr. FOSTER」だから「トラベル・サービスのミスター托卵・里子」ということになる。


トラベル・サービスのミスター托卵・里子?

何だそれ?


「神」に決まってるだろ。

「天の父」は自ら「聖霊」となって地上へ降り、処女マリアの胎に入って「神の子」となった。

人類史上最も有名な「トラベル・サービスの托卵・里子」だ。



あ、なるほど…

マリアから生まれたイエスは、ギリシャ神話やローマ神話に出て来る「神が人間の娘に産ませた子」と違って、神と人間のハーフではない…

イエスは人間の姿をしているけど100%神であり、母のDNAは受け継いでいないんだ…


つまり神がマリアの胎を借りて産ませた代理出産みたいなものと言える。

だから「Mr. FOSTER(ミスター托卵・里子)」なんだな。


それじゃあ、あのベンチの広告は?

「ZALES JEWELERS(ゼールス宝石商)NOW IN TWIN PINES MALL(ツイン・パインズ・モールにて)」は?


このベンチは特に重要だ。

ジェニファーが片足を乗っけた後、マーティはベンチの上に立って「STATLER TOYOTA 4x4 HILUX」を指さし、それからジェニファーの手を取ってベンチに上げ、腹を撫でてキスをしようとする。

そしてヒル・バレー保存協会のおばちゃんに邪魔され、「SAVE THE CLOCK TOWER」のチラシを受け取る。

この一連の出来事は、すべてこのベンチの上で行われた。



マーティとジェニファーは未来に結婚するから宝石店の広告ってこと?



古典的な言葉遊びさ。

「JEWELES(宝石商)」という言葉には「JEW(ユダヤ人)」が入っている。

マーティ役のマイケル・J・フォックスも、ジェニファー役のクラウディア・ウェルズも、ユダヤ系アメリカ人。

そして、脚本のボブ・ゲイルも、監督のロバート・ゼメキスも、製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグも、ユダヤ系アメリカ人。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主要キャスト主要スタッフの多くは、ユダヤ系アメリカ人だった。


え?


もちろん「ZALES(ゼールス)」の創業家「Zalevski(ゼレフスキー)」氏も『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の関係者と同じくアシュケナージ、東欧系ユダヤ人の移民だった。

元々はロシア・ウクライナに住んでいたのだが、アメリカへ渡った後に苗字を英語風に「Zale(ゼール)」と改めた。

家業だった宝石商としても「Zale(ゼール)」は「sale(セール)」と発音が似ていて好都合だったわけだな。

おかげで店は繁盛し、全米のショッピングモールへどんどん出店し、アメリカ人なら誰でも知る有名チェーン店になった。


そういえば「FOX(フォックス)」という苗字も、元々はドイツ語で「狐」を意味する「FUCHS」だったけど、アメリカでは放送禁止用語「Fワード」を想起させるから英語の「FOX」に改めたんだったな…


このベンチに隠されたメッセージは2つある。

1つは「ヨーロッパからアメリカへ移民した人が苗字を変える」こと。

そしてもう1つは「宝石を扱う店がモールにある」ということ。


宝石を扱う店がモールにあるということ?

それが何のメッセージなんだ?


そもそも、なぜ広い敷地をもつショッピングセンターを「Mall(モール)」と呼ぶのか知ってるか?


モールの由来? さあ…


広い敷地をもつショッピングセンターを「Mall」と呼ぶようになったは、ロンドンの「Pall Mall(ペルメル/ポールモール)」という地名から来ている。

この「Pall Mall」はゴルフとゲートボールの中間のようなローン・ゲーム(庭園球技)の名前で、昔このエリアに専用のプレイグラウンドがあって上流階級の社交場になっていたことに由来する。

この球技は元々イタリア語で「pallamaglio」と呼ばれていたが、それがフランス経由でイギリスに入って来て「Pall Mall」となり、ブームが去った後はプレイグラウンド跡地に上流階級や新興富裕層向けのショッピングセンターが作られた。

そして「Pall Mall」がそのままショッピングセンターの代名詞となり、他の場所のショッピングセンターも「○○ Mall」と呼ばれるようになったというわけだ。



「モール」って、ロンドンの富裕層向け商店街の地名だったのか…

日本各地にある商店街「○○銀座」みたいだな…


その「Pall Mall」の中心的存在だったのが、富裕層を相手に美術品や貴金属・宝石類などのお宝を売買していたジェームズ・クリスティー氏の店…

今では世界屈指の競売会社として知られる「Christie's(クリスティーズ)」だ。



へえ。あのクリスティーズは「モール」が発祥の地だったのか…


俺様の読みだと、ボブ・ゲイルやロバート・ゼメキスは、本当はベンチの広告を「Christie's」にしたかったはず。

しかしアメリカ国内で「Christie's」はニューヨークのマンハッタンにしかない。

あんな田舎町に「Christie's」は変だから「ZALES」にしたのだな。


本当はクリスティーズにしたかった?

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と何の関係があるんだ?


そして、このシーン以外にも何かと映し出される時計台広場のエアロビ教室は「Lou's AEROBIC FITNESS CENTER(ルーのエアロビック・フィットネス・センター)」という。

オーナーは「Lou(ルー)」さん。



は? どうして急にエアロビ教室の話に…


「Lou(ルー)」と「Christie(クリスティ)」をトゥギャザーすると?


ふざけるなよ。ルー大柴みたいな喋り方はやめろって…


時計台広場のシーン…

選挙カーが「RE ELECT」を叫び、マーティは「H」のことで頭がいっぱいだった…

いつの時代も若者はそう…

マーティの母ロレインは「私たちがティーンエイジャーの頃はそんなことを考えたこともなかった」と説教していたけど、もちろんそれは嘘だ…

「H」に前のめりなマーティは、「H」に慎重なジェニファーにたしなめられるが、お構いなしでベタベタし始める…

そして二人がキスをしようとしたところで、ヒル・バレー保存協会のおばちゃんに邪魔されてしまう…

おばちゃんは「lightning strikes(落雷)」の話を熱く語った…


今度は時計台広場シーンのダイジェストか?

さっきから突然ルー語になったり、いったい何が言いたいんだ?


時計台広場のシーンに隠された「もう1つの秘密」さ。

実はこの曲の歌詞を再現しているのだ。



Lightnin' Strikes? Lou Christie?



つづく




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