【映画ルックバック感想】正反対な2人の、宝物みたいな日々
ルックバックめちゃくちゃよかった。
公開の翌日に行ったらまだ入場特典(なんと原作ネームを製本したもの!)が貰えて、あるのを知らなかったので嬉しかった(ただ、もうこの日になくなったらしい。嘘でしょ。公開翌日なのに)。
グッズも結構売り切れていて、観客の熱量が高いことを感じられた(私もオリジナルスケッチブックほしかった…)。
感想書きます。ネタバレあり。
めちゃくちゃ長いです。
ストーリーと好きなところ
まずは、あらすじ。
好きなところは、正反対の2人のでこぼこ感と、各々のキャラクターの良さと、2人の初対面のシーンと、2人が頑張って少しずつ結果を出していくところ。
私、誰かが褒められてるシーンが好きなのよね。
だから『耳をすませば』で一番好きなシーンは、主人公・雫が初めて書き上げた小説を地球堂のおじいさんに見せて、「よく頑張りましたね。あなたは素敵です」って言われるところ。
雫が他のことを後回しにして小説に没頭して頑張っている描写から胸が熱くなっていって、その後その頑張りを認められるシーンが来るので、ここで毎回泣いてしまう。
ルックバックも私にとっては同じで、全てを投げ出して漫画の練習に没頭してきた藤野が、「どうせこの京本って奴よりは上手くならないし、もう漫画はいいや」と諦めたところでずっとライバルだと思ってた京本に「ファンです」って認められる展開がとても良い。「これ、藤野すっっごく嬉しいだろうな〜!」と思って泣いちゃうのだ。しかも京本は年季の入った本気のファンで、「5年生ごろから絵も話もどんどん上手くなって…」とずっと藤野のことを見ていてくれていた。友人も家族も認めてくれなかったのに、京本が心から褒めてくれるのだ。そして京本の前では強がって喜びを抑え、1人になってから顔を真っ赤にして喜んで踊り狂う。めちゃくちゃかわいいじゃん藤野。
そして1人で頑張っていた藤野が、京本と2人で頑張っていくシーン。なんだか涙ながらに心から応援してしまうのだ。
連載も決まって、ずっとこのままでいてほしい…と思った矢先に、京本の自立と2人の解散、そして事件があって、悲しい話にはなるのだけど。
たった数年の出来事だと思うけど、2人にとってお互いに出会えたことは、人生で1番の財産だと思う。
藤野は京本と離れてからしっくりくるアシスタントに出会えなかったし(これは映画で追加されたエピソードだったかな?)、事件を知ったとき真っ先に京本に電話をかけた。
京本は美大での勉強をしながら、藤野の連載をずっと追いかけてアンケートも出して応援していた。
離れてからもずっとお互い想いあっていたその関係性が、キラキラした宝物みたいに愛おしいなと思う。
「藤野ちゃんは何で描いてるの?」に対する答えは、京本に褒められたいから・京本がキラキラした目で隣で読んでくれるから、なんだろうな。
後半の事件に関して思うところもあるのだけど、正直前半の素晴らしさだけでページが埋まってしまうな。
質感が伝わる映像
まず、原作者の藤本タツキがめちゃくちゃ絵が上手いと思う。あと表情描くのが本当に上手い。
そのめちゃくちゃ上手い絵が笑っちゃうくらいまんま再現されてた気がする。
眉毛の動きや口の歪み方、漫画でも今にも動き出しそうなくらい伝わってきてたけど、これ映像にするとこうなるんだ〜、と思って感動した。
びっくりしたのは京本の動き。2人の初対面で、藤野に近づいてくるときの動きが挙動不審で、でもなんかカワイくて、ちょっと笑ってしまった。
他、藤野や京本がひたすら描いて描いて季節が流れる描写のとき、映像はパッパッと切り替わってしまうんだけど、「えっ今の綺麗な絵もっと見せて!」と思っちゃうくらい、一つひとつに力が入ってた。書き込みも細かいし、あとうっかりすると見逃しそうな背景にも遊び心がある小ネタが仕込まれてたりして(冒頭のシーン、ドリアンの授業してたよね?wスタジオドリアンだから?)、目が離せない映画だな〜と思った。
ぴったりの声
藤野と京本の声、聞いた瞬間「これだ〜〜!」と思った。めちゃくちゃぴったり!!!!
(あとお姉ちゃんとか、細かい他のキャラの声も合ってた)
藤野の喋り方と声は、生意気な小学生感があったし、自信あってコミュ力ある感じが出てた。
自立しようとする京本を引き止める強がりな演技は、本当に喉がキュッてなって泣いてしまった。
あと、京本ってあんなに訛ってたのね。漫画では分からなかったわ。
でも確かに、家族にすごく訛ってる人いたらそれがうつるよね。社交的な藤野と違って京本は引きこもりだから、他の友達の影響を受けて喋り方が変わるとかもなさそうだし。田舎だし、祖父母と一緒に住んでる子だととくにありえそう。だから訛ってたのはびっくりしたけど、違和感はなかった。
そして犯人役の男の演技が怖くて怖くて…もう本当怖かった…一瞬で、映画館にも緊迫した空気が流れたのがわかった。
あと原作にもある話し出す時のどもる感じとか(京本だけじゃなくて、普通人間ってそんなにセリフみたいにきれいには喋らないじゃない?それがよく出てる漫画なんだよな)、会話のテンポが再現されてたと思う。
この映画、原作めちゃくちゃ理解してる人たちで作ったんだな〜と思った。
エンドロールの間も、(私が見た回では)誰も席を立たなくて、エンドロール終わってからも、余韻がすごくてしばらく席を立てなかった。
誘ってくれた夫に「誘ってくれてありがとう!!!!」と心からお礼を言った。
もう本当に、劇場で見るべき作品を劇場で見れて幸せ!と思ったのでお礼を言いたくなったのだ。
事件の前後はもちろん前半の幸せなシーンでも涙が出てくるので、本編中私は何度も泣いていた。泣き疲れて帰路に着いた。
見れてよかった。
余談:家にルックバックが4冊ある話
うちにはもともと、ルックバックが2冊あった。
夫とまだ付き合っていたとき、デートで本屋に寄って別行動した。
私はルックバックを衝動買いすることにしたのだが、夫がレジに並んでいる私の手元を見て「そう言えば俺も気になってたんだった」と言い、ルックバックを手に取って私の数人後ろに並んだ。
真似すんなよwとか言って笑ったのだが、その後結婚して同居したことで家に2冊同じ本がある状態に。
もうこれどっちかいらないじゃんwとか言いながらも、2人とも手放すことはしなかった。
そして今回映画にも2人で行ったので、入場特典の原作ネームを2冊もらい、ルックバックは4冊に…。
でも、藤野が連載を始めてからの、『シャークキック』の同じ巻が何冊も重複して本棚に並んでいた光景と似てるな、と思うと少し嬉しくなるのだった。
京本の部屋にも同じ光景があったの、ほっこりしたなぁ…
あー、本当に映画館で見れてよかった。
上映時間1時間なのも驚き。テンポが良くて、満足感があって濃い時間だったから気づかなかった。
話の構成が上手いんだろうなすごいな〜…
もしサブスクでも解禁されたら何回も見返しちゃいそうだ。
あー、本当に良い映画だった。
以上!
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