「燈火親し」く読み聞かすのに便利なもの
【スキ御礼】共鳴*子と燈火親しく人魚姫に会ふ
「燈火親しむ」は、秋の季語で「燈火の下で読書や団欒をすること。秋涼の日が続き夜も長くなるころの季節感。」をいいます。(『合本俳句歳時記』角川書店編)
中国の詩人、韓愈の詩「符 書を城南に読む」(『全唐詩』巻三百四十一「符讀書城南」)を出自とします。
「秋になって雨も上がり、涼しくなったばかりの風が郊外の家にも吹いてきた。『灯火稍く親しむべし(ともし火の下で夜更かしすることも多くなり)』、書物を開くにはもってこいだ」
という意味の詩の一部です。
さて、さはさりながら、夜も更けて子供を寝つかせようとして、布団の中で絵本を読み聞かせるときの難点があります。
早く寝つかせたいから部屋を暗くする。それでは読めないから枕元に電気スタンドなどの明かりだけを点けておく。でもそれでは寝転んで開く本の上側だけが照らされて、読むべき紙面は影になってしまうのです。
絵本なので肝心の絵が暗くなって親も子もよく見えません。
下から照らす明りが欲しくなるのです。
さてどうしたものでしょう。
今、重宝に使っているのがヘッドライトです。
頭にこれを付けておけば、寝転んでもなにしても正面にだけスポットで明りが向けられるのです。
部屋を暗くして、枕元の電気スタンドも消しておいて大丈夫。
絵本の紙面だけがライトアップされて明るくなるので、一段と読みやすくなります。
寝転んで読むと両手が塞がってしまうが、頭を動かせばスポットで照らされる位置も動くので、絵や文の「この部分」を指したいときには、頭を動かすだけでよい。ポインター代わりにもなります。
読み終えたら、額のスイッチで消灯できるので、電気スタンドのスイッチように手であたりをまさぐる必要もありません。
きっかけは、子の歯科健診でした。歯科の先生は、診療台で横になる子の口を開かせて、明りを引き寄せて「ほら、歯の裏側に歯垢が溜まっていますね。この白いのがそうです。」と言っていました。
ウチでは毎晩、子に歯磨きをさせて、仕上げ磨きまでやってあげているのにこの指摘には困りました。
「この白いの」は診療台の明かりに照らされればはっきり見えますが、家の洗面所ではよくわかりませんでした。歯科の専門の診療台なら、そりゃはっきり見えるでしょうけど、と悔しくもなりました。
そこで、思い当たって、だったら家でも歯科のように口の中まで明るく照らすことができれば「この白いの」がよく見えるのではないかと思ったのです。
さっそくネットでヘッドライトを買いました。
ヘッドライトのおかげで、歯磨きは洗面所だけではなく、布団という診療台に仰向けになってもらい仕上げ磨きをすることもあります。
ヘッドライトがあるとほかにも便利なことがたくさんあることに気づきました。家族同じ部屋で寝ていますが、寝る時間、起きる時間がそれぞれ違います。夜中にトイレに行ったり、部屋の探し物をしたりもします。
自分だけの用事であれば、部屋を暗くしたまま起き上がって家族の睡眠を妨げることもなくヘッドライトで用を済ますことができます。トイレに立って妻の足を踏んだりすることもなくなりました。
今では、風呂上りから寝るまでにヘッドライトを付けるか持ち歩くことにしています。
夜の読み聞かせに限らず、ヘッドライトは眠る環境を妨げないためにも便利なので、もっと前から気付いておけばよかったと思っています。