12回目で罪の意識に気付きました(道路交通法違反) 傍聴小景 #2
裁判ライターの「普通」です。
裁判傍聴をする理由というのはいくつかありますが、
わざわざ発信する理由というのは、それがなにかの抑止力や予防に繋がればと思っています。
そういう点で、今回の事例は皆さんにどのように映るでしょうか。
はじめに
この歳になって、道路交通法違反系の裁判を傍聴する機会が増えました。
自分自身がその注意のためにというのはもちろんですが、周りの運転者にどんな人が潜んでいるかというのも事故防止に役立つのではと思うためです。
でも、どんなに注意しても、世の中には話が通じない人もいるわけで..
事件の概要(起訴状の要約)
どんな犯罪行為でも、聞けば驚きの連続ですが、その中でも個人的には「無免許」で運転している人が結構いることに特に驚きます。
今回の人は更新の期限切れでしたが、今まで教習所にも通ったことがないという無免許の裁判もたまにあるのでさらに驚きです。
パッとの考えなのですが、車は免許書をかざさないとエンジンがかからない仕組みとかにできないものなのでしょうか。タバコの自販機みたいに。
ダメですけど、運転の技術的な部分だったら免許無くてもできないことはないかもしれません。免許の更新時に技術的な部分も見られませんし。
ただ今回のような通報義務を無視して逃走したり、例えばケガをさせたかもしれないのに救護の措置を取らなかったりということがあると、やはり運転免許は「資格」であると強く感じます。
今回の被告人、その認識がとにかく弱いんです。
検察官による証拠や供述提示
ヤマモトさん..
それにしても短い間に整理しなきゃいけないポイントがいくつか出てきました。
・なぜ無免状態で運転していたのか
・なぜ事故を起こしたのか
・なぜ現場から逃走したのか
・ヤマモトがかわいそう!(なぜ替え玉にしようとしたか)
気になる詳細な部分を確認するのは被告人質問が一番です。
被告人質問(弁護人)
このだらしなさは凄いです。
100歩譲って猶予の意味を勘違いしていた、200歩譲っていつかやらなきゃという思いはギリわかります。でも、過ぎちゃうのはダメだ。これ以上譲ったら、僕が別の事故にあっちゃう。
傍聴席には、恐らく被告人の母親と思われる女性が座っていました。
被告人は早くに結婚して家を出ていたので一緒には住んでいなかったのですが、その母親は自分の育て方が悪かったと思ってしまっているのか、ずっと下を向いています。
そのお母さんには本当に申し訳ないのですが、そのリアクションがいちいち大きいので、事件に対する感情ということでメモらせてもらいました。
お母さん、肩震えだしました。
子どものときはどうだったかわからないけど、こんなあっけらかんと、罪の意識がないことを話されると、それは辛いわな。
あ、あとお母さんのリアクションばっか見ちゃってスルーしそうになっちゃったけど、同僚が免停くらったせいみたいに言ってるけど、あんたそれ理由になってないからな。
古き悪しき2chの時代には「QBK」なんて言葉もはやりましたがもうそれは時効なので、今後は「KNK(急にナビが変わったんで)」と交通事故防止のための標語にしましょう。
だらしない、事なかれ主義、責任転嫁、たくさん出てきました。正直、ここからどう弁護しようとしているのか想像もつきません。
お母さん、ハンカチを目に当てて泣き始めました。
なんとも難しいですね。30代の人の犯行ですから、親の育て方がとは思うつもりは全くありませんが、かなり性格的な部分がも出てしまっているので親としては反省してしまうんですかね。
お母さん、号泣。
12回も捕まらないと、交通違反の危機意識って芽生えないものなの?ってか、この人のことだからもっと違反の指導歴ありそう。と、思われるようになっちゃうんだよね。
お母さん、2時間ドラマの最終盤みたいな泣き方をはじめました。役者には真似できない嗚咽です。
なんで、だらしなさエピソードが後半に行くにつれ増していくんだよ。M-1の理想的な構成みたいな人です。
裁判すらも抑止力にならないのであれば、もはや何がこの被告人を止めることができるのでしょうか。
お母さん、上を見上げて5分くらい動かなくてなってしまいました。「ちーん」という効果音がぴったり。最初マジで失神したんじゃないかとハラハラしました。
でも、この人の更正ってホントどうやったらいいんでしょうか。
悪い事とは多分辛うじて認識しているんですけど、優先順位のつけ方が狂ってるってことなんですかね。
あ、ちなみに替え玉にさせられそうだったヤマモトさんは、普通に被告人車内のドライブレコーダーの音声で、関係ないことがわかったので、特に巻き込まれることはなかったようです。
検察官も呆れ果てているのか、それ以上追求をしてくれなかったので、裁判官の質問というか、説諭に移ります。
被告人質問(裁判官)
お母さん、ハンカチを手に当てながら、ものすごくうなずいています。
それにしても裁判官って、とっさにこっちが言いたい事を綺麗に言葉にしてくれるからすごい人たちだよなぁと本当に思います。質問の場面としては「人がケガしたり、死んだりしねければわかりませんか?」までに11行使ってるのはコスパ悪いけど。
論告・弁論
後日の判決は見ることができませんでした。
今後、この被告人が、どのように生活していくつもりかはわかりませんが、こんなだらしない人にも思いっきり泣いて悲しんでくれる親がいますので、この人には迷惑をかけない生活をしてほしいと切に願います。
交通ルールはもちろんだけど、自分も親に迷惑かけないようにしようと密かに思いました。
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